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第一章 こちふかば
04 大人の女とフリスビー
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「で、先輩何持ってきてくれたんですかー」
ウキウキと神崎さんの持ってきた荷物を覗き込むと、私の大好きな黒糖焼酎が目に入った。ボトルを取り出しほお擦りする。
「やーっほぅ。分かってるぅ」
「酒っつったら大概それな、お前」
苦笑を返しつつ、鞄からいくつかタッパーを出した。
「昨日準備しといたから持ってきた。ちょっと家に置いてきたけど」
「アヤさんの手作り?」
神崎さんは一瞬手を止め、ちらりと私の顔を見てから、また手元に目を落とした。
うわー、睫毛長い。うらやましー。
ついついその横顔を観察していると、
「それについてはノーコメント」
「ってことは神崎さんの手作り?」
今さらこの男が何ができると知ったところで、私の中では何も変わらない。そもそもできないことの方が少ないくらいの人なのだ。だからこそ弱点をついて遊ぶのだけれど。
「ノーコメントっつったろ。ほれ」
投げられたのは未開封のカイロだった。
「どーせ暖を取るものも持ってきてねぇだろ」
あーあ、だからその気が利くところ。まあ私相手だからいいけどさ、やめときなよ、奥さんいないところで。
子連れだし、明らかに既婚者とも分かるのに、あまりの高スペックさに女子二人が目を輝かせている。口は悪いけどよく気づくーー多分そういうところも人によってはツボなんだろう。ツンデレ的な?
「まあありがたくもらっておきますけど」
「なんだその上から目線」
言いながら私の額を小突く。だーかーらーやめろっての!
跳ね退けようとぶんぶん手を振ると、神崎さんは笑った。
「ジョー達が来るまで一遊びするか。悠人、健人」
「ええ。私まだ居残りですか」
「もともと集合時間前だろ。トイレの時だけ変わってやるよ」
優しいかと思えばなかなか手厳しいことを言う。
荷物から取り出したのはフリスビーらしい。息子二人がはしゃいで空地に向かって走り出した。えー、いいなぁ、いいなぁ。私もやりたーい。
「行ってきたら?」
優しい青年、もとい咲也くんが、羨ましげに父子を見つめる私に微笑んだ。
「えっ、マジ?いいの?」
「いいよ、荷物見てるから」
ひゃっほう!もうじっとし続けてるの疲れちゃったし一運動はありがたい。もともとじっとしていられないたちだ。喜々として目を輝かせた私に、咲也くんは聞いた。
「そういえば、お姉さんの名前、聞いてなかったね」
「え?私?」
靴を履きながら振り向いた。
「私は江原あきら。先月とうとう三十路になった大人女子よ!」
ふんと胸を張ると、咲也くんは笑う。
「そんな嬉しそうに三十路っていう人初めて見た」
「あらほんと?私は大人の階段を一歩一歩登るのが楽しくて仕方ないのよー」
私は言いながら、いそいそと身繕いを整え、先を行く神崎親子に手を振った。
「江原も行きまーす!」
息子二人が両手を上げて喜び、神崎さんは苦笑して咲也くんに目礼した。
ウキウキと神崎さんの持ってきた荷物を覗き込むと、私の大好きな黒糖焼酎が目に入った。ボトルを取り出しほお擦りする。
「やーっほぅ。分かってるぅ」
「酒っつったら大概それな、お前」
苦笑を返しつつ、鞄からいくつかタッパーを出した。
「昨日準備しといたから持ってきた。ちょっと家に置いてきたけど」
「アヤさんの手作り?」
神崎さんは一瞬手を止め、ちらりと私の顔を見てから、また手元に目を落とした。
うわー、睫毛長い。うらやましー。
ついついその横顔を観察していると、
「それについてはノーコメント」
「ってことは神崎さんの手作り?」
今さらこの男が何ができると知ったところで、私の中では何も変わらない。そもそもできないことの方が少ないくらいの人なのだ。だからこそ弱点をついて遊ぶのだけれど。
「ノーコメントっつったろ。ほれ」
投げられたのは未開封のカイロだった。
「どーせ暖を取るものも持ってきてねぇだろ」
あーあ、だからその気が利くところ。まあ私相手だからいいけどさ、やめときなよ、奥さんいないところで。
子連れだし、明らかに既婚者とも分かるのに、あまりの高スペックさに女子二人が目を輝かせている。口は悪いけどよく気づくーー多分そういうところも人によってはツボなんだろう。ツンデレ的な?
「まあありがたくもらっておきますけど」
「なんだその上から目線」
言いながら私の額を小突く。だーかーらーやめろっての!
跳ね退けようとぶんぶん手を振ると、神崎さんは笑った。
「ジョー達が来るまで一遊びするか。悠人、健人」
「ええ。私まだ居残りですか」
「もともと集合時間前だろ。トイレの時だけ変わってやるよ」
優しいかと思えばなかなか手厳しいことを言う。
荷物から取り出したのはフリスビーらしい。息子二人がはしゃいで空地に向かって走り出した。えー、いいなぁ、いいなぁ。私もやりたーい。
「行ってきたら?」
優しい青年、もとい咲也くんが、羨ましげに父子を見つめる私に微笑んだ。
「えっ、マジ?いいの?」
「いいよ、荷物見てるから」
ひゃっほう!もうじっとし続けてるの疲れちゃったし一運動はありがたい。もともとじっとしていられないたちだ。喜々として目を輝かせた私に、咲也くんは聞いた。
「そういえば、お姉さんの名前、聞いてなかったね」
「え?私?」
靴を履きながら振り向いた。
「私は江原あきら。先月とうとう三十路になった大人女子よ!」
ふんと胸を張ると、咲也くんは笑う。
「そんな嬉しそうに三十路っていう人初めて見た」
「あらほんと?私は大人の階段を一歩一歩登るのが楽しくて仕方ないのよー」
私は言いながら、いそいそと身繕いを整え、先を行く神崎親子に手を振った。
「江原も行きまーす!」
息子二人が両手を上げて喜び、神崎さんは苦笑して咲也くんに目礼した。
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