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第一章 こちふかば
05 一足お先に始めましょう
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フリスビーでしばらく遊んでいると、神崎さんのズボンのポケットからスマホが飛び出た。
「わ、た、と」
持ち前の反射神経で落下をせき止め、ほっと一息つく神崎さんに、長男悠人くんが笑って手を叩く。
「ナイスキャッチ」
神崎さんは苦笑と共に手を挙げた。
「あ、ジョーから連絡来てた」
「え、そろそろ来ます?」
場所取りをし始めてからもう数時間経つ。いい加減エネルギーを充電したい。
神崎さんがメッセージを確認する。
「十二時頃になるって」
「今何時ですかー」
「十一時」
「あと一時間ー!?」
耐えられないという気持ちを込めて肩を落とすと、神崎さんが苦笑した。
「先始めてるか」
私の目が途端に輝いた。
「始めてましょう!そうしましょう!」
神崎さんは笑って、
「子どもたちトイレ連れてってから戻るわ。つまみとか、適当に出しといて」
「ラジャー!」
張り切って敬礼を返すと、場所取りをしたシート目掛けて走り出す。
場所をシェアすることになった不動産屋さんの仲間はおおかた集まっているようだ。先ほどの三人に加えて、中年の男女が二人ずつ。
「あ、お集まりですねー」
「そちらは?」
「あと夫婦が来るんですけどまだで。もう我慢できないんで先に始めることにしました」
咲也くんに問われて答えると、中年のおじちゃんがおっ、と声をかけてきた。
「なぁんだ、大澤くんもなかなかやるねぇ。ずいぶん可愛い子見つけたじゃない」
可愛い、と言われたい歳でもないんだけどなぁ。この手のおじちゃんは得意でも苦手でもない。曖昧な苦笑を返していると、
「水冷てぇー。ハンカチ鞄の中に忘れた」
手を振りながら神崎父子が戻って来た。
「あらま!イケメン!」
途端に盛り上がる中年のおばちゃま方と、何故かドヤ顔になる先ほどの女性二人。
「ええと、どうも」
神崎さんが曖昧な苦笑で応じる。
神崎さんの魅力は子どもからおばあちゃんまで守備範囲だ、とは仕事の経験上知っている。やれやれと思いながら、いい大人は放っておこうと、ちびっ子二人に声をかけた。
「二人とも、何飲むー?」
「しゅわしゅわ!」
「ジンジャーエール!」
私の笑顔がわずかに引きつった。もしかして、子どもを自分の好みにつき合わせたんじゃなかろうか、この人。
もの言いたげな目で神崎さんを見やると、何とも思っていないらしい顔で首を傾げてきた。
ちっ、と舌打ちして、袋の中にジンジャーエールとウイスキーを見つける。あーやっぱり、いつものあれでしょ。検討をつけつつも、神崎さんを甘やかす気はない。大人はセルフサービスでどうぞ。
子どもに炭酸を入れてあげると、二人は喜んで受け取った。
「わ、た、と」
持ち前の反射神経で落下をせき止め、ほっと一息つく神崎さんに、長男悠人くんが笑って手を叩く。
「ナイスキャッチ」
神崎さんは苦笑と共に手を挙げた。
「あ、ジョーから連絡来てた」
「え、そろそろ来ます?」
場所取りをし始めてからもう数時間経つ。いい加減エネルギーを充電したい。
神崎さんがメッセージを確認する。
「十二時頃になるって」
「今何時ですかー」
「十一時」
「あと一時間ー!?」
耐えられないという気持ちを込めて肩を落とすと、神崎さんが苦笑した。
「先始めてるか」
私の目が途端に輝いた。
「始めてましょう!そうしましょう!」
神崎さんは笑って、
「子どもたちトイレ連れてってから戻るわ。つまみとか、適当に出しといて」
「ラジャー!」
張り切って敬礼を返すと、場所取りをしたシート目掛けて走り出す。
場所をシェアすることになった不動産屋さんの仲間はおおかた集まっているようだ。先ほどの三人に加えて、中年の男女が二人ずつ。
「あ、お集まりですねー」
「そちらは?」
「あと夫婦が来るんですけどまだで。もう我慢できないんで先に始めることにしました」
咲也くんに問われて答えると、中年のおじちゃんがおっ、と声をかけてきた。
「なぁんだ、大澤くんもなかなかやるねぇ。ずいぶん可愛い子見つけたじゃない」
可愛い、と言われたい歳でもないんだけどなぁ。この手のおじちゃんは得意でも苦手でもない。曖昧な苦笑を返していると、
「水冷てぇー。ハンカチ鞄の中に忘れた」
手を振りながら神崎父子が戻って来た。
「あらま!イケメン!」
途端に盛り上がる中年のおばちゃま方と、何故かドヤ顔になる先ほどの女性二人。
「ええと、どうも」
神崎さんが曖昧な苦笑で応じる。
神崎さんの魅力は子どもからおばあちゃんまで守備範囲だ、とは仕事の経験上知っている。やれやれと思いながら、いい大人は放っておこうと、ちびっ子二人に声をかけた。
「二人とも、何飲むー?」
「しゅわしゅわ!」
「ジンジャーエール!」
私の笑顔がわずかに引きつった。もしかして、子どもを自分の好みにつき合わせたんじゃなかろうか、この人。
もの言いたげな目で神崎さんを見やると、何とも思っていないらしい顔で首を傾げてきた。
ちっ、と舌打ちして、袋の中にジンジャーエールとウイスキーを見つける。あーやっぱり、いつものあれでしょ。検討をつけつつも、神崎さんを甘やかす気はない。大人はセルフサービスでどうぞ。
子どもに炭酸を入れてあげると、二人は喜んで受け取った。
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