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第一章 こちふかば
11 子どもたちの友達認定
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「お兄ちゃーん、一緒にあーそーぼっ」
いきなり咲也くんにタックルをかましたのは次男の健人くんだ。座っていたとはいえ、十キロを超える衝撃に咲也くんが体制を崩しかけて慌てる。ちょうど日本酒を並々と注がれたところだったので、コップの中のものが零れ、彼のズボンを濡らした。
「うっわ、すみません」
神崎さんは慌てて、荷物の中に入っていたタオルを取り出した。
「これ、使ってないから使って。ーーこら、健人!」
「ごめんなさぁい」
「ああ、大丈夫ですよ。そんな気をつかうような服じゃないんで」
咲也くんは笑って手を振る。
「そうは言っても。あーあー、結構濡れてるぜ」
咲也くんの足の上に神崎さんがタオルを乗せ、軽く叩くように拭いた。咲也くんが途端に慌てる。その目元が赤くなったのは気のせいか。
「だ、大丈夫ですから。ほんとに」
「でも」
「じゃ、じゃあとりあえず、そのタオル借ります」
咲也くんは自分のズボンの上に置かれたタオルを神崎さんの手から取り、服の水気を吸わせるようにたたいた。
「風邪引いたら俺のせいだな」
神崎さんが苦笑する。
「そ、そんなことないです」
なんとなく落ち着かない風情でいた咲也くんは、しばらく服をトントン叩いていたが、心配そうな顔でその様子を見ている健人くんに気づいて手を止めた。
「怒ってないよ。大丈夫。一緒に遊ぼうね」
健人くんの顔は途端に華やいだ。
「やったー!」
「フリスビーする?それとも追いかけっこ?」
目を輝かせてお兄ちゃんである悠人くんも身を乗り出した。神崎さんは苦笑しながら二人を見ている。
「……悪いね」
「いえ。なかなか子どもと遊ぶ機会もないので嬉しいです」
にこ、と笑うその顔からは、先ほどの慌てた様子は感じられない。元通り穏やかな好青年のものである。
そのやりとりを眺めていた私の横で、ヨーコさんが声をひそめて笑っていた。
「ヨーコさん、どうしたんですか?」
私が眉を寄せて問うと、
「何でもないで。ちょっと酔ったかもしれへん」
ひとしきり笑ってから、ふぅ、と細く息を吐く。笑って顔が熱くなったのか、手でパタパタと顔を仰ぎながら微笑んだ。その動きが、優雅でありながらまた色気を感じる。素敵。
「悠人くん、健人くん、よかったなぁ。お友達が増えて」
「お友達、って……名取さん」
「あはは、お友達になってくれる?嬉しいなぁ」
「健人、なってあげるー!」
「悠人もなってあげる!」
「何だその上から目線」
喜んで挙手する息子へ、神崎さんが呆れたような目を向ける。
一通り服の水気をタオルに叩き込んだ咲也くんは、靴を履くと子どもたちに引っ張られて行った。
いきなり咲也くんにタックルをかましたのは次男の健人くんだ。座っていたとはいえ、十キロを超える衝撃に咲也くんが体制を崩しかけて慌てる。ちょうど日本酒を並々と注がれたところだったので、コップの中のものが零れ、彼のズボンを濡らした。
「うっわ、すみません」
神崎さんは慌てて、荷物の中に入っていたタオルを取り出した。
「これ、使ってないから使って。ーーこら、健人!」
「ごめんなさぁい」
「ああ、大丈夫ですよ。そんな気をつかうような服じゃないんで」
咲也くんは笑って手を振る。
「そうは言っても。あーあー、結構濡れてるぜ」
咲也くんの足の上に神崎さんがタオルを乗せ、軽く叩くように拭いた。咲也くんが途端に慌てる。その目元が赤くなったのは気のせいか。
「だ、大丈夫ですから。ほんとに」
「でも」
「じゃ、じゃあとりあえず、そのタオル借ります」
咲也くんは自分のズボンの上に置かれたタオルを神崎さんの手から取り、服の水気を吸わせるようにたたいた。
「風邪引いたら俺のせいだな」
神崎さんが苦笑する。
「そ、そんなことないです」
なんとなく落ち着かない風情でいた咲也くんは、しばらく服をトントン叩いていたが、心配そうな顔でその様子を見ている健人くんに気づいて手を止めた。
「怒ってないよ。大丈夫。一緒に遊ぼうね」
健人くんの顔は途端に華やいだ。
「やったー!」
「フリスビーする?それとも追いかけっこ?」
目を輝かせてお兄ちゃんである悠人くんも身を乗り出した。神崎さんは苦笑しながら二人を見ている。
「……悪いね」
「いえ。なかなか子どもと遊ぶ機会もないので嬉しいです」
にこ、と笑うその顔からは、先ほどの慌てた様子は感じられない。元通り穏やかな好青年のものである。
そのやりとりを眺めていた私の横で、ヨーコさんが声をひそめて笑っていた。
「ヨーコさん、どうしたんですか?」
私が眉を寄せて問うと、
「何でもないで。ちょっと酔ったかもしれへん」
ひとしきり笑ってから、ふぅ、と細く息を吐く。笑って顔が熱くなったのか、手でパタパタと顔を仰ぎながら微笑んだ。その動きが、優雅でありながらまた色気を感じる。素敵。
「悠人くん、健人くん、よかったなぁ。お友達が増えて」
「お友達、って……名取さん」
「あはは、お友達になってくれる?嬉しいなぁ」
「健人、なってあげるー!」
「悠人もなってあげる!」
「何だその上から目線」
喜んで挙手する息子へ、神崎さんが呆れたような目を向ける。
一通り服の水気をタオルに叩き込んだ咲也くんは、靴を履くと子どもたちに引っ張られて行った。
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