たつのおとしご(保存版)

未月玲音

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仲間1

はぐれ竜(2)

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スレスタに戻らず、そのまま野営の仕方を教えての一日掛けての旅。卵から出てきたばかりではあるものの森瑠は基礎体力はそれなりらしく疲れの色は見えない。
道中魔物にも何度か襲われてはいるものの、それよりも自分の目で見る世界の方が新鮮だという気持ちの方が強いようだ。急ぐ訳でもないのでゆったりと話しながら、街道を歩いていると遠くに街並。
「あ、あれが瑠歌の言っていた街ですか?」
「うん、暮れる前に辿り着いて良かった」
高い壁に囲まれるように屋根が所々飛び出ている。街を囲む壁には、所々に魔物避けの呪符の言葉などが刻まれている。
基本的に魔物は集落にまで襲いにはこないが、念のためというやつだ。どの街にも似た様な魔物避けが設置されている。
「そういえば瑠歌…。昨日森で会った人の言葉が気になるのですが…」
「あぁ、結晶持ちは狙われるってやつ?」
「はい…」
遠目に見えてきた街が近づいてか、不安そうに昨日のことを口にする森瑠。
ここに来る前にも竜族とバレたらどれだけ危険か話したりもしたし当たり前の反応かもしれない。昨日出会った赤い髪の青年は気付いていなかったが、森瑠の右手首には森緑の結晶が宿っている。収集対象が人間の一部、というのは時々本当に稀にだがいるのだ。
一個人ならばそれ程脅威とも思わないが、ここのは街一番の権力者がその類か。下手に隙を見せれば隠匿されてしまうこともあるかもしれない。
「そうだな、まずレウィンドの街に入ったら森瑠にはグラヴス買わないとね」
袖の長い服を着てはいるが念には念を入れてだ。僕も道具袋変わりの魔具からヘッドバンドを取り出し、額の結晶と紋章を隠してしまう。
ダブルキングと分かれば手出ししてこないだろうが、最初から騒ぎにしたくないというものがある。普段ならそのままにしているが、結晶等に興味のある人間は好奇の視線でとことん見る。あまりに酷い場合はこうして隠してしまうことにしている。
しかし…

「…ここの領主の悪癖、10年前にきた時よりも悪化してるっぽいな……」

「瑠歌、何か言いました?」
「なんでもないよ」
ぽつりと小さな呟きが森瑠に微かに聞こえてしまったようで、慌てて誤摩化した。








レウィンドの街の中にある職人街通り。その名の通り、様々な技能を持つ職人の店がずらりと並ぶ通りである。まずはと森瑠に似合う防御面にも強いグラヴスを購入して、今回の本命である工房にと向かった。
職人街通りの寂れた片隅に店を置きながらも、腕の方は一級の老人が工房主である。賑やかな所は若い者に任せて、老は静かに仕事をという考えらしい。
「グセじいちゃん、久しぶり」
「おお、瑠歌坊久方ぶりじゃないか元気にしてたか」
「もちろん」
「ん?珍しいな、坊が誰か連れてるなんて」
「今日の客は僕じゃなくてこっちの子だよ。こんなことグセじいちゃんにしか頼めなくてさ」
工房主であるグセという老人は魔法具などに使われる特殊金属などの加工製作の第一人者である。気難しいところはあるけれど、僕に対して孫のように接してくれる貴重な人物だったりする。
「なんじゃ、いつも悪巧みではないのか」
「僕をなんだと思ってるのさ。変な意味じゃなくてグセじいちゃんにしか加工できないって意味」
「そうかそうか」
人の良い笑い声をあげながら腰を上げるグセに隣にいた森瑠はぺこりと頭を下げた。
「初めまして、森瑠といいます」
「シンルか。良い名じゃな儂はグセ、しがない老骨だが儂で良ければ力になろう」
「今回は森瑠に防具作って欲しいんだ。軽装具がいいかなぁ…材料はこっちの持ち込み」



言うが早く森瑠を守っていた卵の欠片の比較的大きな部分を取り出してみせる。今まで様々な加工素材を見てきたグセが驚きの声をあげた。
「瑠歌坊…、これはまたすごいもん持ってきたな」
「森瑠が偶然殻を見つけたんだ。竜の卵の殻は特殊な技法でないと加工できないし、信用出来る職人はじいちゃんしかいないんだ」
僕の横で、森瑠が驚いたように目を瞬いている。おそらく殻の出所を誤摩化した言い方に、なんだろうけど。森瑠が竜族であることは極力秘密にしておきたいのだからこういうしかない。
グセは置かれた卵の欠片を手に取り真面目な顔をしている。
「ふむ、拾いものならそう問題はないじゃろ。それに瑠歌坊の知り合いなら尚更な……だだし、少し時間掛かるぞ」
にやりと、笑みを浮かべながらグセは続ける。
「4日…いや、3日あればなんとかなるだろう」
「ありがとうー。加工するにも魔具のチャージは必要だろうし魔力球3つと、防具に付けて欲しい加工結晶石も置いておくねっ」
「……おぬし、相変わらず用意が良過ぎるのぅ…。これじゃ加工費しかとれんじゃないか」
「何言ってるのさ、いつも前金受け取らないんだから必要経費浮かせてあげてるの感謝してよ」
どうやら僕達が持ち込んだ仕事を最優先でやってくれるというグセに僕は用意していた結晶石の魔力を閉じ込めたチャージ式の魔道具に使う魔力球と呼ばれる球体と、すでに防御を高めるという加工のされた結晶石を取り出した。
こういった仕事を頼む時に、出来るだけ素材を自分で用意するのが安く済ませるいい方法だ。グセに限っては無いだろうけども、下手な加工でもされたくなければ全部指定してしまうのも手だったりする。特にオーダーメイドの防具、武具に結晶石を取り付けるとなると依頼主がどんな追加効果を望んでいるのかも関わってくるし。


それに、竜関係の品々は普通の鉄を溶かし鍛えるような方法では役には立たない。火に焼べてもその形は変わらないし、刃で切ろうにも逆に刃がボロボロになるだろう。竜の殻以外にもそう言った金属や鉱石がこの世界にはいくつかあり、そういった品々を加工する為の魔道具が存在する。扱うにはかなりの技能もいるし、魔道具に込めた魔力の消費も大きい。
先程グセにも言ったけど、この工房は前金というものを受け取らない。完成後、出来で値段を決めるという信念というか意地というか、職人魂というか。
とにかくそれまでの品物が出来るまでの必要経費は工房の負担だ。軽くしてあげたいじゃないか、と思いつつもグセの言う全部自分持ち込みで僕が楽になるだけだったりするんだけど。


「よし、じゃあシンルとやら、ちょっと色々測らせてもらうぞ」
「は、はいよろしくお願いします」
少し緊張気味の森瑠から、慣れた手付きで胸囲や肩の辺りに測りを入れるグセの様子をのんびりと眺めた。




「よし、3日経ったらまた尋ねてくるがいい」
「分かった、無理はしないでよグセじいちゃん」
「楽しみにしていますね」
「あぁ、楽しみにしてな、期待は裏切らんよ」
必要なことは全て決まり、工房を後にする僕と森瑠は宿を取るべく職人街通りを後にした。







「なんてことだ……」
僕の記憶では存在していた、レウィンドの宿屋。しかし今ではそこはハンターギルドの看板がつり下げられていた。
記憶に残る宿屋の面影はそのままに。固まる僕の隣では、困ったように僕の顔を伺う森瑠。唯一の頼りである僕が固まっては動揺もするだろう。



それにしても困った。
レウィンドはそれなりに大きな街だ。宿がひとつしかないということは無い。幾つかあるにはあるのだけど、残り知っているのは酒場兼でもあるのだ。
そういう宿屋は、寝かせる場所があればいいという感じであるのでゆっくり休むには少々騒音が気になる。まともというか普通の宿だったのが、目の前の場所だったがためにショックでもある。
どうしようかと考えていると、ふいにドアが開いた。
「あれ、あんた達…ミストフォレストで会った…」
聞き覚えのある声に顔を上げると、全体的に紅い色をした森の中で会った青年が立っていた。そういえばこの街のギルド員とか言っていたか、と思い出す。
「あ、こんにちわ」
隣では森瑠が人懐っこそうに挨拶を交わしていた。
「あー良かった、丁度探しに行こうかと思ってたんだ」
紅い髪の青年は僕達の姿をみてほっとしたように息を吐くと僕に向かって何かを突き出した。よくよく見なくても、昨日僕が彼に渡した結晶石の詰め合わせを入れてた袋だ。
「代わりに換金しておいておいたぜ?」
「いや…礼でつもりで昨日渡したんだが…」
「それにしてはちょっとすんなり受け取るには躊躇しまくる量だったぞ。これ…」
「その程度、すぐ稼げるっていうか…本当に貰っていいよ?その代わり、また聞きたい事があるからそれ教えて」
なかなか律儀な男のようだ。返すというのをなんとか押し戻すと、この街の人間ならばと宿のことを尋ねることにした。
「昔、ここは宿屋じゃなかったかな?何処かに場所を移動したのかな。そうだとしたら移転先教えて欲しいんだけど」
そう尋ねると、青年は困ったように頭を掻いた。

「あー…確かに5年くらい前まで、街で一番大きい宿だったけどここの領主がさ…ハンターギルドの役場に丁度いいからってこの建物強引に買い取っちまったんだよ」
「…………………」
多少もしかしてと思っていた返答に、思いっきり顔を顰める僕。このままお酒臭くて、寝室まで酒場の騒ぎが聞こえてくる宿のお世話にならなくてはならないのかと思ったのだけど。
僕の顔を見て、なんとなく状況を察したらしい青年が続ける。
「あ、でもさ…一応この建物、旅人向けに休む場所提供してるんだ。飯がでないのは申し訳ないけどよければ優先的に部屋取らせるけど…どうする?」
「夜、煩くない?」
「あぁ、その辺りは大丈夫だと思う、俺もここで生活してるし…。ついでに飯の美味しい店も教えるぜ」
「分かった、頼む」
まともな宿を欲しているのも森瑠の為だ。いきなり生まれてきてすぐ野宿なんてさせたので、ちゃんとした寝床で休んで欲しかった。ギルドの貸し出してる部屋を借りることを頼むことにする。
「よし、じゃあ手続きするからギルドに案内するぜ」
「分かった」
「あぁ…そうだ、俺の名前はカミュ。カミュ・レグルドっていうんだ、宜しく」
どこか嬉しそうにギルドへの扉に戻る青年は、一度足を止め振り返ると今更だったなと一言漏らすと名前を告げた。
「…僕は、瑠歌」
「私は森瑠といいます、宜しくですカミュさん」
それに習うように、僕と森瑠も自己紹介をするとカミュは満足そうに笑みを浮かべた。


「お部屋の方はどうしますか?一人部屋を2つで良かったでしょうか」
「できれば、二人部屋の方がいいな」
「かしこまりました、こは三階のこの番号の部屋をお使い下さい」
「よし、これで手続きは終わりだな」
部屋の手配が終わるまで一緒にいた男、カミュは問題なく完了したのをみると嬉しそうに笑う。妙に気に入られてしまったという感じが抜けない。
部屋番の書かれた札を手に、そう考えているとカミュはついでに部屋まで送るのだといい早速と階段の方に向かっている。そこまでしなくてもと思うのだけど、森瑠は付いていってしまっているし悪い者ではないとは分かっているのだけど。ひとつため息を吐くと僕も二人に付いていった。
元宿屋だっただけあって、階を変えるとそこは普通の宿屋のように見える。
二階部分は武装したギルド員達が歩いているのを見ると、二階はギルドの者専用のプライベートエリアなんだろう。
二階を通り過ぎ、また階段を上がって部屋を3つばかり通り過ぎたところ。
もらった札で確認して、ここが与えられた部屋で間違いないようだ。
「案内、ありがとうございます」
「いいって、今暇だったしな」
すっかり打ち解けてしまった様子の森瑠のカミュに苦笑を浮かべて、扉を開ける。
質素ながら、清潔感のある部屋だと思う。
ここまで来る間にカミュが、屋敷を買い取られてしまった宿屋の主をギルドの方から規模は小さくなるが旅人向けに宿の提供を続けてくれないと頼み込んで今の状態になったらしいと教えてくれた。
そういえば宿の受付をしていた女性は、ギルド員というよりも宿屋の受付という方が近かった気がする。
そんなことを考えながら森瑠を部屋に入れ、カミュも入るように促した。
「さて、この親切も僕達に用があってだろ?話聞こうか」
僕の問いかけにカミュは驚いたように目を丸め、それから困ったように笑った。


「いや、変な意味じゃないんだ、俺以外で結晶持ちって見かけたのはじめてでさ、なんか気になったっていうか」
「まぁ…確かに人で、宿り主っていうのは同じ土地でいれば早々お目にかからないからね」
僕の言葉にカミュはうんうんと頷いて口を開く。
「それだけじゃないんだけどさ、初めて会った時に聞きそびれたこともあったし」
「何でしょうか…?」
「こういうことはギルドの人間以外に話すべきことじゃないんだけど…この際だから話す」
「?」
「あのミストフォレストって森…本当にここ最近まで1m先も見えない程濃い霧で覆われてるし奥に行ったと思えば入口に何時の間にか立っていたり、とにかく普通じゃない森だったんだ。そこで数日前に、俺の仲間が大きな卵を見たって知らせがきてさ」
カミュの話し始めたことは、こちらに驚きを与えるものだった。
僕はなんでもないように表情を作っていたが、森瑠は口元に手をあてて動揺を押し戻そうとしているようだった。しかし話すことに重を置いているカミュには森瑠の動揺はうつらなかったようで。
「仲間が竜の卵かもしれないとか、ここで話しちまったもんで領主の耳に入ってさ…『取ってこい』って命令されて…、魔法の霧が阻もうとしても俺の目には通用しないからって」
そう言って少し俯き気味だった顔を上げたカミュ。
さっきまで両方共紅目に見えていた筈なのに、片目が灰色の瞳に黒い紋様のような別なものに変わっている。
「昔いろいろあって、俺は普通じゃなかったからな…。ここのギルドは他の街にあるような『全てにものに平等を』って決まりなんて無視した『レウィンド領主の悪趣味な収集癖に付き合わされる私兵』みたいなもんでさ、断われねぇの」
「確かどこのギルドも事務所のある領の主であろうと私物化は出来ないように、そうできてる筈だけど」
「普通ならな。レウィンドも元々ハンターギルド構える程大きな街じゃない。だけど領主が大金積んで作らせたもんだし、維持費もヤツが出してる無下に出来ねぇの」
ここが嫌なら別の街のギルドに場所を変えればいい、とそう思うのだけど。だけどカミュの表情からどうしても、この街でなければならない理由があるような気がして口に出せずにいた。

「俺は元々、ここより南に位置するフィルディアの国の人間でさ、結晶と…それからこの魔物の眼持ってることが知れてここに連れてこられたんだ」
フィルディアは年中温暖な気候の国だ。火山地帯でもあり、そこに生まれる者は火の属性が多い。
そういえば、カミュの姿もフィルディアの国の人達の特徴がある。
「いきなり知らない土地に連れてこられて、領主の収集癖の自己満足の為にこの街にいろとか嫌だった…。けど『レウィンドにきたら、お前の妹の身の保証はするって言われて」
「…妹さん、ですか?」
「あぁ、俺の唯一の家族…だけど、病気でさ当時ガキだった俺はなんとか日々の生活費稼ぐので精一杯で。領主のお使いのやつが薬とか世話も引き受けるって言って…いつも辛そうな妹見てたから、楽にしてやれるならって…こっち来ちまって」
カミュの話し振りからして苦肉の策だったんだろう。確かにこれでは、他の街にと移る事も出来ないだろう。
仮に抜けたとしても、所在の知れているカミュの妹の所に報復という形で何かあるかもしれない。
「だからここのギルド員、特に俺なんかは人の理に反している命令でも聞かなくちゃならないこともある…。今回は、その竜の卵らしき物の入手だな…」
重い物を吐き出したように、カミュは一息つくと本題にと戻る。多分、こんな会ったばかりの僕達に話さなくてもいいことまで話したのは、彼も溜まったものをどうにかしたいと思っていたからじゃないだろうか。

この街の者でない人間だから。

「でも卵は見つからなかった、それまで話に聞いていた霧は魔力も無く薄くなってたし『あった』とされてる場所は何も無かったしな」
「じゃあ、それで良かったじゃないか。でも、僕達にそれを話すのはどうして?」
「あー…うん。どう考えても都合が良過ぎるような気がして」
「………」
「数日前ま、迷いの森同然の場所で瑠歌達がいたのが気になってさ…。知らずに入ってきたようには見えなかったし、何か関係あるような気がして」

カミュの問いに、内心驚きもしたし関心した。
今まで僕達の見せていた外面お気楽そうな人間という印象を払拭するほど、なかなか鋭い感覚を持っているらしい。
隠し事をしない性格らしいのは先程の話で良く分かったし、その悪趣味な収集癖の領主に嫌悪を抱いているのも知ってる。このまま素直に話してあげたくなる。
けれど。

「残念だけど、本当に偶然なんだ…。スレスタの街で霧の森について話を聞いて、面白そうって気持ちで入ってみただけ」
「そうなのか…?」
「うん、後はカミュと似た様なものかな…入ってみたら霧が立ちこめてるだけの森みたいでさ。ただ帰るのもつまらないから魔物狩りと今までその魔法の霧?かな、それで隠れてた珍しい薬草とか生えてたから摘んでたところで君に会ったんだよ」
流石に打ち明けるには重大過ぎる。森瑠はそれ程大事な子、いくら人格が気に入ったからと教えられない。
心の中で、『ごめん』と謝りながら、取って付けた様な嘘を彼に伝えた。

「そっか…、いや…いきなり変な事話しちまってすまん、関係ないならそれでいいんだ」
「いや、僕達もなんか会ったばかりなのに色々君の深いところまで知ってしまって申し訳ないんだが…」
「私もです…」
「あー、気にすんなって!こんなの同じギルドの仲間には話せないし、むしろずっと心の中でもやもやしてたの聞いてもらってすっきりしてるし」
関係ないならいい、と笑うカミュは椅子から立ち上がると部屋の出口に向かう。
「そろそろ夕飯時だろ、さっき上手い店教えるって約束したし案内するぜ」
手招きされて、僕も森瑠も付いていくことにする。すぐ離れてしまいような街だけど、こういった付き合いもたまにはいいと思いながら。

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