雨音と恋

菅井群青

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雨音

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 矢田の愛撫は手に薬を塗り込んでいるようだ。
 どこもかしこも気持ちがいい。すっかり泥濘んだ私の中に指を入れ、その感触を確かめながらも胸や脇腹鎖骨にキスの雨を降らす。

 泥濘みのそばの控えめなそれも逃さぬよう指の腹で潰すと私の背中はビクッと勝手に反らされる。

「あっあぁん……ん──」

 一瞬真っ白になった気がした。

 ま、まさかイったのか? こんなことは初めてだった。感じすぎて身体中がおかしくなってしまったようだ……。

 矢田がキスをすると耳元で小さく声を出す。

「イったね……可愛い」

 顔が羞恥で赤くなり、恥ずかしくてそっぽを向くとそれを逃さぬように頰を包み込み……ねっとりと口付けをする。荒々しいキスではなく芯にジンと下りて身体中が素直になる感じがした。

「入れるね」

 ベッドから降りるとすぐに矢田は戻ってきた。避妊具を自身に被せると私の太ももを愛おしそうに撫でた。そのままゆっくりと侵入する。

「あ、あああ、ん、あ」

「……、いい、いいよ、菜月」

 息を吐き呼吸を整えると矢田は目を細めて快感の海に溺れるのを必死に耐えているようだ。

 菜月が手を伸ばして矢田の胸を指先でなぞる。矢田が息を呑みじっと何かに堪えているのがわかった。静かに息を吐くが吐息に欲情の色が見える。獣のような静かな息が。

「や、めとけ。やさしく抱きたいんだから」

「今はいい、あとで優しくして……今は──」

 海都が欲しい

 その言葉は言えたかどうかは分からない。
 矢田の激しい打ち付けに菜月は脳が痺れるのを感じた。ひどい快感が全身を突き抜ける。

「あ、ああ、あ、あ、んっ」

 声が抑えられない。どうしようもなく溺れていく。

 腰を掴み自身を打ち込む矢田は油送をしながら微笑んでいる。足を持ち上げ深く突き出すと菜月の体が大きく跳ねた。

 そのまま菜月のいいところを探し出し一気に突き上げた。

「い、いく、か、も」
「いいよ……」

 そのまま口付けをしながら高みを目指す。膜越しに解き放った瞬間菜月の体に緊張が駆け抜けた。足が痺れるような感覚が襲う。荒い呼吸を整えようと口を開けると矢田がその唇に軽くキスをする。

「……菜月……」

 愛おしそうに私の名を呼ぶ。その度に体が震えるのが分かった。

 そのまま私はベッドに体が沈んでいくような気がした。矢田の胸に抱きつくとそのまま動けなかった──。

 外の雨はまだ降り続いていた。

 雨音が私たちの情事を覆い隠してくれているようだった。
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