虹色小判

しまたろす

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第1章 学生編

24 報告

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「は~。個人としては嬉しい報告だが、校長としてはどうしたものか。」


「それを考えたり、まとめたりするのが校長の仕事でしょ?」


「は~。ごもっともな意見を有り難う、緑屋くん。」




澪音が修業で翻弄する中、校長室では形上内密の定期報告が行われていた。


「まさか本人自ら関わろうとは。」


「それにしても黒蜂くんの入学は偶然でして?」


「偶然だね。歴とした一般人・・・が選ばれているよ。」


「ふ~ん、やっぱりそっちが目的だったのね。」



この学校が一般人を受け入れた本当の目的。
井の中の蛙だった人間の自信を、更に劣った人間を混ぜることによって、
安心感を与え取り戻そうという計画のために。


「私としては反対だったのだけどね。気難しい人が多いのだよ。」


「まぁね。足りないから人は求めるものよ、満たされたらそこで終わりね。切っちゃえば?そんなやつらお里が知れてるわよ。」


「そう簡単に言ってくれるな。選民意識を植え付けたいということは、選民意識を持っているとうことだ。更に派閥的なものも絡んできて。は~。」


「いい男がくよくよしないの。どうせ貴方が動かすしかないのでしょうし。」


「だから尚更面倒臭い。…愚痴はここまでにして、それよりこの報告は本当かい?」


「えぇ。私も驚いたわ。たた1年でこの学校の平均まで登りつめるなんてね。だから聞いたのよ、本当に普通なのかって。」


「確かに信じられんな。こちらでも調べてみるが、緑屋くんからもお願いしたい。」


「ダメよ。私の契約は『はみ出し者』の報告だけよ。それにたぶん雷牙くんは勘づいてるんじゃないかしら?理解のある素敵な男だから黙っているけど、だからこそ甘えすぎて困らしたくもないわ。」


「は~君の考えは十分理解できたよ。ここからはお願いだ。これ以上君たちみたいな子を増やさないでおくれ。」


「まるで私が普通じゃないみたいな言い方ね。レディに対して失礼じゃない?」


「子供に言い聞かせてるつもりだからね。嫌なら大人になりなさい。」


「女は一生若いままよ?」


「は~。お遊びはいいから、またよろしく頼むよ。」


「ええ、契約が続く限りはね。あら、もうこんな時間。でわ失礼するわ。」




独り残された男は呟く。

「まさか『幸運の持ち主』がここまでとは。彼自身の本質なのか、周りの影響なのか。…異常についていけるだけ異常か。…今後の彼の扱いも変わってきそうですね。たぶん学校関係者あほどもは色々言ってくるんでしょうね。どうなることやら。。」
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