「彼女は…」

大体元気なTaka

文字の大きさ
2 / 6

2話「イタズラな…」

しおりを挟む
仕事場に戻った僕はいつも通り記事を作った、
お菓子を食べたせいか
なんだか少しずつ元気になっていた。

すると昨日心配な顔をしていた仕事仲間に会った
きっとあのお菓子はこの人のおかげだろう。

「昨日はお菓子ありがとうね」

とお礼をしたら、驚いた顔になって言われた。

「おや?ワタクシお菓子なんてアゲてませんよ?」

僕は勘違いしたことを謝って
すぐに自分の持ち場に戻った。
結局、あのお菓子は仕事仲間じゃないとしたら
一体誰なのだろうか…
上司にしてはお菓子嫌いだし…
やはり昨日の…幽霊…

……僕は考え込んでいるとまたインクをこぼして
記事が真っ黒になってしまった。


仕事を終え、仕事場から立ち去った。


外を出れば昨日と同じ夜になっていた。
同じ道に帰れば、
またあの足音が聞こえるのだろうか
そう思っていると足音は自分のだけしか
響かなかった…

昨日はただの幻なのか…
それとも誰かのイタズラなのか…
だとしたらお菓子をたべて大丈夫なのだろうか…

不安を寄せながらコツコツと歩いてると
昨日、籠が置いてあった街灯の所まで着いた。
だがもう籠はない、誰かが持ってたのだろうか…
周りをキョロキョロしてもやはり誰もいない

…昨日は…昨日はただ奇妙な体験をしただけだ
次はもうないだろう、と恐怖を抑えてなんとか
前向きに考えようとする自分がいた。
このまま帰ろうとして最後にふと後ろを見た。

見えた。

街灯の下に紫色のズキンが見えた。
昨日と同じ街灯の下にいた。

僕に見られてる事に気づいてズキンは慌てて
街灯の後ろに隠れた…が、隠しきれてない
普通に見える。

後ろからガサっと音がした

振り向くとすごく怖い怪物がいた。
僕はあまりに驚きすぎて硬直してしまったようだ。
足が動いてくれない。
きっとこの怪物に食べられるだろう。
あー…最後に素敵な女性とかに会えたらいいな…

………

よくよく見ると怪物はお菓子の入った籠を持ってる
この籠は見覚えあるぞ、昨日の籠だ。
僕はセメントで固められような口を動かして
詰まったような声を出して言った。

「き、き、み…君が…昨日…お菓子を食べ、く、」

ダメだ、怖すぎて言葉が…
怪物は自分が見えてることに気付いて
すぐにその場から立ち去った。
気付いたら街灯の下にいたズキンも消えている。

僕は街灯に照らされながら、膝から崩れ落ちて
気付いたら泣いていた。
恐怖と混乱、感謝と嬉しさが全部混ざってしまい
泥のような感情になってしまった。

立ち上がれなくて、少しその場に留まっていたら
1人の女性が近くに来て、
「大丈夫?」と声をかけてくれた。

こんな情けない
僕の姿を見せてしまって恥ずかしい…

………
……


彼女にどこか見覚えがあるような
そしてこの状況、前にも同じような…

……思い出せない、どうしても。
でも…この人は知らないけど知ってる…
この矛盾な言葉は言葉では伝わらない
これが感情の一つだ。

………
……


僕は「大丈夫です」と謝りながら
その場から立ち去って、家に帰った。
リビングに立たずんでいると、僕は考えていた

あの彼女とまた会うのだろうか
会ったところでなんだ。
他人なはず。話しかけたら嫌われるかも。

この不安な考えを流そうと
少し部屋を掃除した。
部屋を掃除すれば心も掃除されると信じながら。
すると古い箱の中から一冊の本が出てきた。

随分と懐かしい本だ。
誰から貰ったか忘れてしまったが、
「山に住む弱虫大男」という本だ。
話の内容は、
山に住んでいる大男がいた
洞窟の中に住んでいると1人の女性が現れた
でも弱虫の大男は女性を怖がって洞窟から
飛び出して逃げてしまうんだ。

なんで女性が大男に現れたか…それは…

正直全部の話はわからない
結構前だからもう忘れてしまってる。

その日の夜はその本を読んで過ごした。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

包帯妻の素顔は。

サイコちゃん
恋愛
顔を包帯でぐるぐる巻きにした妻アデラインは夫ベイジルから離縁を突きつける手紙を受け取る。手柄を立てた夫は戦地で出会った聖女見習いのミアと結婚したいらしく、妻の悪評をでっち上げて離縁を突きつけたのだ。一方、アデラインは離縁を受け入れて、包帯を取って見せた。

エレナは分かっていた

喜楽直人
恋愛
王太子の婚約者候補に選ばれた伯爵令嬢エレナ・ワトーは、届いた夜会の招待状を見てついに幼い恋に終わりを告げる日がきたのだと理解した。 本当は分かっていた。選ばれるのは自分ではないことくらい。エレナだって知っていた。それでも努力することをやめられなかったのだ。

行き場を失った恋の終わらせ方

当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」  自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。  避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。    しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……  恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。 ※他のサイトにも重複投稿しています。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない

文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。 使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。 優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。 婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。 「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。 優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。 父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。 嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの? 優月は父親をも信頼できなくなる。 婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

君を幸せにする、そんな言葉を信じた私が馬鹿だった

白羽天使
恋愛
学園生活も残りわずかとなったある日、アリスは婚約者のフロイドに中庭へと呼び出される。そこで彼が告げたのは、「君に愛はないんだ」という残酷な一言だった。幼いころから将来を約束されていた二人。家同士の結びつきの中で育まれたその関係は、アリスにとって大切な生きる希望だった。フロイドもまた、「君を幸せにする」と繰り返し口にしてくれていたはずだったのに――。

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

処理中です...