状況、開始ッ!

Gumdrops

文字の大きさ
12 / 17

本部、工作ッ!

しおりを挟む
 優木の活躍で人知れず(本人も知らず)迫撃砲隊が平穏を取り戻した頃、本部HQに無線が入ってきた。
『HQこちらタイガー1、レンジャー2の援護に向かう途中で3名の仲間と合流した。引き続き前進する』
 それはレンジャー1から派遣した仁村・周藤の別動隊が目的地域に入った事を示すものだった。
 今村は作戦地域に彼我の位置が詳細に記された地図の横に置かれた無線機を取った。
「タイガー1、よくやった。その調子で頼むね」
 仁村からの短い返答を聞き流すと、今村は腕組みをして改めて地図を眺めた。
 状況は予想だにしない方向へと進んでいた。
 一度崩れたレンジャー2は退がってなんとか抗戦しているし、対処策も施した。
 防衛線を突破したゲリラへの対処も横田率いるスカウトチームがやってくれている。
 ただ不安要素もあった。
 密林を巧く利用したゲリラが突発的に本部を襲う事。先程も見廻りの隊員と戦闘が起き、お互いに損耗が出たばかりだ。
 そしてもう1つ。レンジャー2を襲ったA組の謎の高速移動だ。
 これには今村も頭を抱えていた。
「さて…どうしたもんかね」
 今村はため息をついた。
「…今村」
「ぅわぁっ!?」
 突如背後から話しかけられ、今村は小さく飛び上がった。
「…驚かせるつもりはなかった」
「あ、ああ。横田ちゃんか。いつからいたんだい?」
 てっきり1人だと思っていたが…。今村は冷や汗を流す。
「…今入ったところ」
「そっか。流石というか、全然気がつかなかったよ。それで、何か用かな?」
 横田の影の薄さに戦慄を覚えつつ本題を切り出した今村は、そこで横田がある物を持っている事に気がついた。
「マウンテンバイク?」
「…そう」
 横田は深い緑色のまだら模様に塗られたマウンテンバイクを持っていた。
 今村の頭の中で歯車が噛み合った気がした。
「…さっきの戦いで倒したA組の人が乗ってた」
「(なるほどね。密林の中で静かにかつ高速で動けた理由はこいつだったのか。)」
「…それと」
 今村が1人納得していると横田が再び話し始めた。
「ん?」
「…A組の参謀が変わったという情報がある」
「それは本当かい!?」
「…(こくり)」
 横田が静かに頷いた。
 今村の頭の中の歯車が回りだす。
「(前回、今回と大掛かりな突撃が無いのはそれが理由か。頭がすげ替わっているなら、団結はまだ弱い。そこを突けばあるいは…)」
 すっと顔を上げた今村は地図に目を転じて一点、レンジャー2と対峙しているA組集団を指差した。地図を睨む眼光は鋭い。
「横田ちゃん、ここの指揮官は誰か分かるかい?どんな奴か調べてくれ」
 横田は頷くと携帯端末を取り出し、どこかに連絡を取り始めた。
 すぐに返信が届く。
「…猪頭いのがしら曹長。脳筋で、『突撃命令はまだか!』としきりに怒鳴ってるらしい」
「脳筋て…」
 どんな人物だったかと今村は頭をひねる。
「猪頭、猪頭…。あ」
 ふと、以前クラス対抗でサッカーをした時のことを思い出した。ひたすらタックルをかます巨漢がいた。
「あのラグビー部みたいなやつか」
 普段の交流は無いが、同学年。大体の顔と名前は把握している。
「これは恰好の相手だねぇ。よし、横田ちゃん。情報を流してくれ」
 そう言って今村が耳打ちすると横田は一言「…了解」と言って天幕を出ていった。
 再び1人になった今村。
「優勢は士気を高める。が、それで調子に乗ると脆い。…さて、1度勝った将の兜は締まってるかな?」
 無線機を取ると次の指示を出し始めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

Chivalry - 異国のサムライ達 -

稲田シンタロウ(SAN値ぜろ!)
ファンタジー
シヴァリー(Chivalry)、それは主に騎士道を指し、時に武士道としても使われる言葉である。騎士道と武士道、両者はどこか似ている。強い精神をその根底に感じる。だが、士道は魔法使いが支配する世界でも通用するのだろうか? これは魔法というものが絶対的な価値を持つ理不尽な世界で、士道を歩んだ者達の物語であり、その中でもアランという男の生き様に主眼を置いた大器晩成なる物語である。(他サイトとの重複投稿です。また、画像は全て配布サイトの規約に従って使用しています)

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

薬師だからってポイ捨てされました~異世界の薬師なめんなよ。神様の弟子は無双する~

黄色いひよこ
ファンタジー
薬師のロベルト・シルベスタは偉大な師匠(神様)の教えを終えて自領に戻ろうとした所、異世界勇者召喚に巻き込まれて、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。  ─── からの~数年後 ──── 俺が此処に来て幾日が過ぎただろう。  ここは俺が生まれ育った場所とは全く違う、環境が全然違った世界だった。 「ロブ、申し訳無いがお前、明日から来なくていいから。急な事で済まねえが、俺もちっせえパーティーの長だ。より良きパーティーの運営の為、泣く泣くお前を切らなきゃならなくなった。ただ、俺も薄情な奴じゃねぇつもりだ。今日までの給料に、迷惑料としてちと上乗せして払っておくから、穏便に頼む。断れば上乗せは無しでクビにする」  そう言われて俺に何が言えよう、これで何回目か? まぁ、薬師の扱いなどこんなものかもな。  この世界の薬師は、ただポーションを造るだけの職業。  多岐に亘った薬を作るが、僧侶とは違い瞬時に体を癒す事は出来ない。  普通は……。 異世界勇者巻き込まれ召喚から数年、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。 勇者?そんな物ロベルトには関係無い。 魔王が居ようが居まいが、世界は変わらず巡っている。 とんでもなく普通じゃないお師匠様に薬師の業を仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。 はてさて一体どうなるの? と、言う話。ここに開幕! ● ロベルトの独り言の多い作品です。ご了承お願いします。 ● 世界観はひよこの想像力全開の世界です。

処理中です...