待ってはくれない世界で

浅間梨々

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3章 家出少女アマテリ

3 みんなみんな、大嫌い! ただ愛されたかっただけなのに!

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3 みんなみんな、大嫌い! ただ愛されたかっただけなのに!

 タダーノ原っぱの西側にある、小さな町。たいした産業もなく、たいした活気もない、ただの町である。そんな街の川岸に腰かけて、うつむいている。大切なものはすべて置いてきた。朧気で頼りない記憶を呼び起こしてくれる両親の写真、唯一の思い出の品である古いおとぎ話の絵本。何も持たずに、ただ家を飛び出してきた。月のない真夜中に、誰にも気づかれないようにと灯りを消して進んだ森の道を、あたしはきっと忘れないだろう。自分の出来の悪さに泣いた日々も、もう二度と会うことのない親の恋しさも。だけどもう、あたしは自由だ。あたしを縛るものは何もない。なのに何故、こんなにも胸が苦しいのだろう。何故、川に映る少女は悲しそうにうつむいているのだろう。うつむくあたしの肩に、手を置く者がいる。あたしは、振り返り、首に突き付けられた刃物にびくついた。
「おい嬢ちゃん、金目のもの持ってねぇか?」

 タダーノ原っぱの西側にある、ただの町。そんな町にやってきた僕ら。滞在費用がないとぼやいているカナデを見ると、ラビスは突然短剣を握りしめ、河原にしゃがみ込む少女の首に当てがって言った。
「おい嬢ちゃん、金目のもの持ってねぇか?」
少女は泣きそうな顔をしている。僕はラビスの手を掴んで諫めた。
「まったく君ってやつは……。こんな女の子が高価なものを持っているわけがないよ」
「だがよ、見てわからねぇか? 服だってわざとやつした感じだけど、もとは随分と高級っぽいし、多分どこかの金持ちのお嬢だろうよ」
「だからといって女の子を脅すのはねぇ……別の人を狙おう。ごめんね、お嬢さん」
ラビスは気だるげに舌打ちし、少女に悪かったよといって去ろうとした。そんなラビスに、少女は待ったをかけた。
「待って泥棒さん! あたしも泥棒になりたいの! ついていって良い?」
突拍子もない言葉に、ラビスは狼狽えた。
「は、おい嬢ちゃん何言ってるんだ?」
「だからあたしも連れてってよ! あたしも泥棒やりたいの!」
ラビスはお嬢さんの御乱心ぶりを見て、困ったようにぼそぼそ言った。
「あーあ、何で俺が盗もうとする人間はおかしなやつばかりなんだ? トニファといい嬢ちゃんといい……」
騒ぎに気づいたカナデが大儀そうにのそのそとやってきた。
「なんだ小娘」
「小娘じゃないもん!」
「そうだぞカナデ、それは言いすぎだ」
「僕もそうおもうよ」
カナデは僕とラビスの抗議も意に介さず、じろりとお嬢さんを睨みつけた。
「お前みたいな弱っちそうな奴には用はない。子供は家に帰りな」
冷たいようで現実的な言葉に、お嬢さんの言葉は詰まってしまった。悔しそうな顔でカナデを睨みながら、やっとのことで言い返した。
「あたしだって、どうにかして生きてかなきゃいけないのよ! ねぇいいでしょ? せめて泥棒の方法くらいおしえてよ! 盗賊団さん!」
「盗賊団じゃない。コイツと一緒にするな!」
カナデはぷいとそっぽを向いてしまった。ため息をつきながら、ラビスが諭すように言う。
「あのなぁ嬢ちゃん、泥棒なんざまともな奴がやることじゃねぇよ。生きるために奪っているはずが、自分の未来まで奪うことになるんだぞ。お前、親はどうしたよ? 頼れるうちに頼っとけ。それか働け」
説教臭いラビスの言葉に、お嬢さんは泣きそうな顔になった。僕はラビスを肘でどついて言う。
「君が言うか」
「経験者は語るって言うだろ?」
僕らがやいやい言い合っていると、お嬢さんは挑戦的な目でラビスを真っすぐ睨み、強気な口調で言い放った。
「親は死んだ。もうあたしには大切にするものなんてない! 自分の未来なんてどうだっていいわ!」
そこまで叫ぶと、お嬢さんはぽろぽろと泣き始めた。
「あーらびすくんわるいだー」
「俺は悪くない」
ラビスが気まずそうに眼を逸らす。僕は嫌な雰囲気をなんとかしようと、わざと茶化すように言う。少女はしばらくぐずっていたが、不意に腕で涙をぬぐうと、「もういい!」と叫んでどこかへ走り去ってしまった。
「ありゃりゃ……」
僕は小さくつぶやくと、その姿が見えなくなるまで目で追いかけた。

 「おい嬢ちゃん」
小さな家の屋根に腰かけていると、聞き覚えのある声がした。
「どっかいって」
「そうもいかねぇだろ」
ラビスとかいう泥棒が、あたしに語り掛けてくる。泥棒のくせに。あたしのことなんてわからないくせに。同情なんてしやがって!
「何の用? あたしに泥棒のやりかたを教えてくれるの?」
「それはできねぇ」
「じゃあいい。消えて」
「見かけによらず言葉遣い悪いな」
泥棒はあたしのとなりに腰かけると、「何があった?」と聞いてきた。
「言って何になるの?」
「泥棒は教えられねぇが、有益な情報なら渡せるかもしれねぇ」
「……」
恐らく、情けをかけてくれているのだろう。無茶なお願いをして、それで当然のように撥ね退けられてみじめなあたしを気遣って。でも……なんだか嫌だな。ううん、違う。怖い。自分のことを語るのが怖い。というか、下手に泥棒に情報を渡すのも危ない気がするし。
「あたしからは言わない。あなたがあなたのことを語ってくれたら、考えはする」
「なんじゃそりゃ。……まあいい。よく聞け」
泥棒は虚空をぼんやりと見つめながら話し始めた。
「父親がクズだった。母さんが身を粉にして働いて得たなけなしの金を酒と賭け事に溶かし、あげくの果てに暴力までふるった。母さんは過労で早死にし、俺は学校を辞めさせられて働かされた。子供で得られる金なんてたいしたことねぇが、全てあいつに取られて、俺はいつも腹を空かせていた」
あたしはドキリとした。泥棒がこんな過去を抱えていたなんて。涙腺がムズムズしだす。
「おい、話はおわっちゃいねー。……ある日、俺は魔が差して奴を殺した。母さんの形見の短剣で心臓を一突き。そのころは俺も十五かその辺だったし、簡単だったよ。そして死体をスキトーリ湖に沈めた。そこからはまともに働くのも馬鹿らしくなって盗み続けた。だってさ、人殺しはだいたい牢屋で一生を過ごす。普通の生活をしていりゃバレて捕まるからよ。で、盗み続けて十年、今更マトモになろうとしても、死刑になるしかない。生きるためには盗み続けるしかない。まあ、俺もまだ若いからこれができるが、あと五年もしたら思うように動けなくて捕まって死ぬ。お前はこんな生き方をしたいのか? 本来なら、裕福とはいかなくても安全に暮らし、寿命を全うできるのに、お前は毎日死に怯えながら、残酷な刑で早死にする未来を選びたいのか? 今ならまだ間に合う、考え直せよ。なんならスキトーリ湖周辺の市場に紹介状でも書いてやるからさ」
「…………」
泥棒の話を聞きながら、あたしは涙をこらえた。何度も目をしばたいて、涙がたまらないようにする。
「ほれ、次はお前の番」
あたしはしばらく口を閉ざしていた。感情が高まって離せなかったから。意外なことに、泥棒は待っていてくれた。あたしはゆっくりと口を開くと、「質問していい?」と聞いた。
「おうよ」
「これから、どう生きるつもりなの? 殺されるのを、ただ待っているだけなの?」
「ああ。今はカナデのやつに付いて行っているが、その旅の途中で死ぬだろうな。だってアイツ、あの暗黒帝カルロスを倒すとか言っているんだぜ。絶対に上手くいかない。道中で殺されるに決まっている。だからまあ、そこで終わりにしていいかなって思っている。トニファのやつは……あいつは悪いやつじゃねぇし逃がしてやりたいが……言っても聞かなそうだよなーアイツ」
あたしはうつむきながら言う。
「どうして死にたいの? 生きたくないの? 怖くないの?」
「そりゃお前だって同じだろ。未来に希望を見出せなくて、全てがどうでもよくなっている。怖くはないさ。俺が死んで悲しむ者もいなきゃ、残していくことが心配な者もいない。ただ俺が消える。それだけだ」
だけど、お前は違うだろ。そう言いたげに、泥棒はこちらを見た。あたしはあふれ出した涙をぬぐって、ぽつりぽつりと話し始めた。
「あたしね、両親が魔法使いだったの。お母さんはあたしが三歳の時に病気で亡くなって、はっきりとは覚えていない。お父さんは、あたしが五歳の時に死んだ。禁忌の魔法に手を出して、それで死刑になったの。酷いでしょ? ……伯父に引き取られたはいいけど、兄姉はみんな優秀なのに、あたしは何一つ上手くできない。勉強も魔法も、どれをとっても出来が悪くて……そうよ、あたしはいらない子なの。養父だって、あたしがたまたま親戚の子だったから引き取ったってだけで、欲しくなかったのよ。それで……逃げ出してきた。下手にお金持ちだったから、セキュリティを抜けるのが大変だったよ。新月で真っ暗な時に灯りもつけないし、靴がなくて外にいるのがバレないように裸足で森を抜けた。……今履いている靴はね、川から流れてきたのを頂戴したの。流した子には悪いけど、足が痛かったから……」
あたしはおもむろに靴を脱いだ。爪ははがれかけているし、所々に血が滲んでいる。まだ痛みが残る部分には肉刺や水ぶくれがあった。
「あたしももう泥棒だし、元には戻れないのかも……」
「何言ってやがる。謝って返せば済む話じゃねーの」
「だって誰のかわかんないんだもん」
「…………」
泥棒はふうと息を吐くと、「もらっちまえ」と言った。
「え? さっきまで返せって言ってたのに、どうしちゃったの?」
「だってしょうがねーし。どうしようもねーことは考えないのがいい」
泥棒は少し口をつぐんで、続けざまにこう言う。
「まあ、それをし続けてきてできたのが、俺様とかいう将来性もなにもない人間だったわけだが……」
「じゃあダメじゃん!」
あたしはこの一貫性のない言い分に頬を膨らませて文句を言いつつも、少しだけ泥棒の事が好きになった。やはり、どこか似ているのだ。親に恵まれなかったこと、自棄になっていること、自分という存在に、どこかで諦めてしまっていること。
「ねえ、やっぱり連れてってよ。もう帰るところもないんだし」
「はぁ? 家に帰れよ。お前はまだ修正できるだろうが」
「できないよ! だって、あたしがいなくなっても、誰も探しに来ないんだよ? ……あたしがいない方が良いってことでしょ。だったらもう、帰らないし帰れないよ! あたしだって一般的な倫理はあるの。自分がいないことがあの人たちの幸せだってこと、わかってるもん」
「…………」
泥棒はしばらく悩む素振りを見せた。そして何か言おうと口を開きかけたとき、鋭い悲鳴が耳を貫いた!
「な、何?」
あたしは声をした方を探す。見ると、腕が六本生えた怪物と泥棒の仲間が戦っているのが目に映る。
「カナデ、トニファ……!」
泥棒は短剣を握りしめると、怪物の方へ飛び出していった。あたしは屋根の上で震えながら、ただそれを見ていた。

 眼下には更地が広がっている。怪物と泥棒たちの交戦によってできたものだ。あたしは屋根の上から降りられなくなり、煙突にしがみつきながらそれを見ている。どうやら泥棒チームは押されているようで、前に出て戦っている女の人は、肩から血を流していた。後ろでポーチを探っては薬品の入った瓶を投げつけている人は戦いの中心には安易に踏み込めず、もどかしそうにしている。そして泥棒は、脇腹から血をダラダラと流していた。
(だからまあ、そこで終わりにしていいかなって思っている)
泥棒の言葉が脳内でリフレインする。もしかしたら、彼の言う終わりというものは、今日、ここで訪れるのかもしれない。そして、今の彼なら平気で死にに行ってしまうのだろう。彼が自分の人生や将来への絶望が、彼の行動をより大胆で、危険で、自爆的にしてしまうのだろう。
(どうしよう……どうしよう!)
ここで死んでしまうのも、彼が望んだことではないか? 彼が憎んだ人生を終わらせ、亡くなったお母さんに会いに行ける、これはある種の幸せではないのか? 死ぬことでしか、彼は救われないのではないのか?
(でも……でも! ここで死なれたら、あたしを連れて行ってくれる約束がなかったことになるじゃないの!)
まだ約束したわけではないけれど、引き下がろうとも思わない。あの泥棒が困って折れるまで、頼み続けるから、だからっ!
「あたしも戦う!」
あたしは屋根の上から飛び降りた。自身に浮遊の魔法をかけ、ふわりと地面に降り立つ。あたしの存在にいち早く気づいた画家っぽい人が叫ぶ。
「なんで君が……とにかく離れるんだ! 危ないよ!」
「あたしの勝手でしょ! ねえあなた、塩化アンモニウムもってる?」
「何を突然……持ってないよ!」
「じゃあ水酸化ナトリウム!」
「……ある」
「クエン酸!」
「あるけど……吸熱反応かい? この程度じゃあたいした反応は出ないよ」
「あたしの魔法で強化する」
あたしは指先に意識を集中させた。出来損ないでも、できることはやる。やれることは何だってやる!
「……策があるんだね。いいよ、賭けてみよう」
画家っぽい人は瓶を二つ取り出すと、勢いよく怪物に投げつけた。それは怪物の足に当たって液体をまき散らす。あたしは自分史上最大の氷の魔法を、怪物の足元に向けて放った!

 氷が奴の足元にまとわりつく。冷気が冷気を呼び、さらに氷が大きくなる。私はひとまず奴から離れ、血まみれのラビスを離れたところに移動させた。
「まだ戦える」
「無茶言うな」
ラビスは何か言いたげではあったが、納得したように頷いた。それを見届けると、私は新たな参戦者を見据える。先ほどのお嬢が強化人間の前に立ち、延々と冷やし続けている。強化人間は反撃しようにも、上手く体が動かせないらしい。
「低体温症の域には達したと思うけど、まだ足りないかしら? もっと冷やしつくしてやるわ!」
お嬢がそう叫び、さらに魔法を強化する。トニファは呆れたようにそれを見て、「どこにこんな力を隠し持っていたのやら……見事だよ」と呟いた。そしてラビスの手当をする。お嬢はふとこちらを見て、ぎらつく目で言う。
「ねえ、どうやってとどめを刺せばいい?」
「それは私がやろう」
私は刀でもって強化人間の耳を強く打った。奴はばたりと倒れた。意識がないのを確認すると、お嬢が魔法を解き始める。
「……お嬢、お前、なかなかやるんだな」
「当然でしょ。命をかけりゃなんだってできる」
へへんと胸を張りながら言うお嬢に、ラビスは嫌そうな顔をしていった。
「何してるんだよ嬢ちゃん。普通は逃げるところだろうが」
「別に? あたし普通じゃないし? やりたいことをやったまでよ?」
そしてこちらに向き直る。
「ねえ、今度こそあたしも連れて行って。あたしは弱くないって証明できたでしょ? あたしの魔法の力でね!」
私は頷くと、「弱音は吐くなよ?」と釘をさした。お嬢は大きく頷いて、笑顔を見せる。そして私、トニファ、ラビスを順に見渡すと、自信満々な表情で明るく叫んだ。
「あたしはアマテリ! 魔法使いアマテリよ!」

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