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招待状

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バーコードハゲや他の人達と同じように、明美の身体が光の粒へと変化する。


キラキラと周囲を照らし、まるで命が散ったかのように。


それを目の当たりにした真治は、死を覚悟した。


人狼の手は真治へと伸び、乱暴に脚を掴んで持ち上げる。


「う、うわわ……こ、このっ!  離せ!」


逆さ吊りにされた状態で必死に日本刀を振るが、先程と同じく体毛を僅かに切断するだけで人狼は動きを止めない。


そして……まるでフライドチキンでも喰らうかのように、真治の脇腹に開いた大口を閉じ、鋭い牙を突き立てたのだ。


激痛が、電流が流れたように全身を駆け巡る。


皮膚が穿たれ、肉が裂け、それでも足りないと言わんばかりにさらに深く食い込む。


「ぎゃあああああああああっ!」


人生で一度も味わったことのない激痛に、真治は自分でも信じられないような悲鳴を上げた。


ここから逃れる術がわからない。


何をしても死ぬ以外に可能性が見えない。


だが、もがき苦しむ中で真治は見た。


隣のビルの屋上。


黒く、光沢のあるライダースーツに、ドクロが描かれたフルフェイスのヘルメット。そして両手にトンファーを持った人物が、ヒラリと舞ったかと思うと、超高速で人狼に向かって降下したのだ。


真治がそれを捉えた時には、その人物は人狼の首にトンファーを叩き付けていて、ボルトや日本刀でも傷を付けられなかった人狼が、声も上げずに地面に倒れ込んだのである。
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