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招待状
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人狼が倒れ、束縛から解かれた真治も地面に仰向けになって。
身体を動かそうとしても、指一本動かすことが出来ずに、ただライダースーツの人物を見ることしか出来なかった。
「立てるか? いや、愚問だったな。その傷ではいくら自軍にいても回復が追い付くまい」
女性の声が、息も絶え絶えの真治に投げ掛けられるが、それに返事をすることすら出来ない。
ヒューヒューと音を立てながら必死に呼吸をするが、時折喉の奥から上がってくる血が口から溢れて、呼吸でさえも止められそうになる。
「偶然通り掛かっただけの私が、お前を助ける義理はないが、そうもすがるような目を向けられては、見捨てるのも気が引けてしまうじゃないか」
小さく首を横に振り、ため息をついた女性は、トンファーから手を離し、どんなマジックなのか何もない所からナイフを取り出した。
普通なら驚いて質問のひとつもするだろうが、瀕死の真治にそんな余裕などあるはずもない。
女性はクルリとナイフを回し、逆手に持ち替えると小さく囁くように言った。
「安心しろ。なるべく痛くないように殺してやる」
それが聞こえた時にはナイフは真治の頭部に突き刺さっていた。
深く、素早く。
痛みや刃の冷たさを感じるより早くに、真治の命は尽き、光の粒へと変わって周囲を照らしたのだった。
死の間際、PBMの「ソウル」が5から4へと変化したが、それに気付くこともなく。
この街は一体何なのかと、知ることさえ出来ずに死んだのだ。
身体を動かそうとしても、指一本動かすことが出来ずに、ただライダースーツの人物を見ることしか出来なかった。
「立てるか? いや、愚問だったな。その傷ではいくら自軍にいても回復が追い付くまい」
女性の声が、息も絶え絶えの真治に投げ掛けられるが、それに返事をすることすら出来ない。
ヒューヒューと音を立てながら必死に呼吸をするが、時折喉の奥から上がってくる血が口から溢れて、呼吸でさえも止められそうになる。
「偶然通り掛かっただけの私が、お前を助ける義理はないが、そうもすがるような目を向けられては、見捨てるのも気が引けてしまうじゃないか」
小さく首を横に振り、ため息をついた女性は、トンファーから手を離し、どんなマジックなのか何もない所からナイフを取り出した。
普通なら驚いて質問のひとつもするだろうが、瀕死の真治にそんな余裕などあるはずもない。
女性はクルリとナイフを回し、逆手に持ち替えると小さく囁くように言った。
「安心しろ。なるべく痛くないように殺してやる」
それが聞こえた時にはナイフは真治の頭部に突き刺さっていた。
深く、素早く。
痛みや刃の冷たさを感じるより早くに、真治の命は尽き、光の粒へと変わって周囲を照らしたのだった。
死の間際、PBMの「ソウル」が5から4へと変化したが、それに気付くこともなく。
この街は一体何なのかと、知ることさえ出来ずに死んだのだ。
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