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死神と荒獅子

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ステージ上の男がそう言った次の瞬間、手首に鎖を巻き付けられた気の弱そうな男が、武器を構えた男に連れられてステージに上げられ、それと同時にまるで総力戦が始まったのかと思うような歓声が上がった。


その声に混じって、手を挙げてアピールする人がチラホラいる。


「310!」


「350だ!」


「俺は400出すぞ!」


こんな調子で、どんどん値段が釣り上がって行く。


その異様な光景に真治はただ、呆然と立ち尽くすしかなかった。


『あーもう、いくらかわかんねぇな。そこのハゲの紳士が3500円みたいだが、これ以上はあるか?  賞金額は600円だから金額的には損しかしねぇけど。ないみたいだな。じゃあそこのハゲ!  お前だよハゲ!  あんたが落札だ!  ステージに上がって来な!』


指を差されたハゲた男が、嬉しそうにステージ上に上がってPBMを取り出すした。


そして、男と何やらやり取りをした後、鎖に繋がれた東軍の男に向けて白い光を伸ばしたのだ。


決闘をするつもりだ。


それも、東軍の男に圧倒的に不利な状況で。


いや、そんな良いものではない。


鎖に繋がれ、何も出来ない人間が相手だと、もうやることは決まっている。


もはや、抵抗する気力さえないのか、別の男が東軍の男のポケットからPBMを取り出し、鎖に繋がれた手で画面を操作させると、伸びた光が繋がったのだ。
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