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罪と罰

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「な、何だよこれ……オークションの次は殺戮ショーか!? しかも味方だろ! 何なんだよこいつら! 人の命を何だと……」


と、そこまで口にして真治は頭を抱えた。


今やっていることと、自分が西軍に侵攻して多くの人を殺したことは同じではないのかと。


強くなる為とはいえ、自分よりも弱い人をターゲットにしていたのではないかと。


『いいねぇ! ロープの長さは完璧だったな! 俺も興奮して射精しそうだぜ! じゃあ次はこのデブだ! 弱いくせに人より多く飯を食う! 金がなくなって強盗をしようとしたのが池田さんだったというアホだ! こんなやつは死んだ方が良いよなぁ! 罪にはぁ?』


「罰を!」
「罰を!」
「罰を!」


殺戮ショーは止まらない。次は大柄の男性が震えて、恐怖のあまり小便を漏らしていた。


だが、そんなことは関係ないと言わんばかりに蹴落とされ、先程の人よりも長いロープがピンッと張った時だった。


ブチィッ! という気味の悪い音が聞こえて、男の頭部と胴体が千切れてしまったのだ。


「うげぇっ! 気持ち悪ぃ! おいふざけんな! 血が掛かったじゃねぇか!」


「最悪! なんであんなデブの血なんか浴びなきゃならないわけ!?」


人が目の前で殺されているというのに、観客にそれを非難する声はない。


そもそもがこの殺戮ショーを楽しみに見に来ているのなら、非難の声など上がるはずもないのだが。
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