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罪と罰

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「チッ。ビビりやがって。マジで使えねぇなお前ら。それに比べてお前はどうだよ? それだけ強いなら、俺のところに来ねぇか? 俺の為に働くならメシにも女にも困らねぇ生活をさせてやるぜ?」


「えっ!? ちょっと勘弁してよ! そいつと一緒とか嫌だからね!?」


池田の言葉に驚いたのは真治だけではなかった。仲間を捨ててまで池田の女になった明美が、当然のように反対したのである。


「……俺も断る。あんたみたいなクズと仲間になるつもりはない」


「は? わかってねぇなぁ。仲間になれって言ってんじゃねぇんだよ。俺の手駒になれっつってんだよ」


眼前まで接近し、まるで頭突きでもするかのように、真治の頭に自分の頭を付けて睨んだ池田。


それに負けじと真治も脚に力を入れる。


時間にして5秒ほど意地の張り合いが続いたが、その均衡を破ったのは池田だった。


ダラリと腕を垂らした状態からの、常人では動いたことさえわからない速さのボディブロー。


だが、真治はそれを予測していた。


いじめられていて身に付いた、行動の先読みである。


筋肉の動きから攻撃が来ると感じて、日本刀を身体と拳の間に滑り込ませていたのだ。


ギィンッ! という金属音が響いた時には、真治の身体は後方に2メートルほど押されていた。
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