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襲い来る野獣

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「はぁ、すっきりした。お兄ちゃん、お待たせ」


「はいはい。漏れなくて良かったよ」


満面の笑みを浮かべる亜美に答えて、真治はぼんやりと店の外を眺めた。


道の向こうにあるコンビニ。


元々そこで恵梨香と落ち合う約束だったのだが、今はそこに来ることはない。


亜美がここにいてくれれば、恵梨香を助けに行けるのだが、万が一死んだ時は亜美はここに一人で取り残される事になる。


お姉ちゃんが、どうして亜美と二人で中央部に近い場所で暮らしていたのかが理解出来た気がしていた。


人が少ない場所にいることで、亜美が危険に巻き込まれる可能性を少しでも低くしようと思ったからだろう。


色んなことを考えると、やはり誰かと一緒にいた方が良い。


などと考えていた時、外から声が聞こえた。




「総力戦までここで時間潰さね? 喫茶店ならPBM使えるっしょ」


「悪くない雰囲気だね。光の壁近くの店はキモいおっさんが多いから、ちょっと隙を見せたらレイプされるから嫌なんだよね」




ここというのは、この店に間違いないだろう。


店の前で看板を指さして話している女の子の集団がいたから。


「亜美、隠れろ。見付からないように、声を出すなよ」


「う、うん」


小声で亜美に伝えて、カウンターの内側に入った真治達は、そこで屈んで様子を窺った。
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