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狂い始める歯車

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津堂は攻撃を中断して黒井から離れると、振り返って真治を見たのだ。


気付かれたが、無理もないことだ。


これほど人を殺したいと思ったことはなく、殺意が抑えられないのだから。


早く殺したいと、日本刀を上下に振って。


「……香月を殺ったか。ガキだと思って余裕を見せている場合じゃなさそうだ」


「真治! こいつは俺がやる! だから手を出すんじゃねぇ!」


津堂も黒井も好き勝手言ってくれると、真治は鼻で笑った。


「悪いけど……津堂は俺が殺すよ」


その言葉にピクリと反応する津堂。


防毒マスクとゴーグルの下、その表情はわからないが、神経に障ったのだろう。


「ガキが……調子に乗るな!」


前回見せた、いつの間にか接近する動きで、真治の右側に津堂が迫る。


だが、迎え撃つように振るった日本刀が、右にいる津堂を捉えたのだ。


「!?」


慌てて動きを止める津堂。


しかし回避し切れなかったのか、日本刀は防毒マスクを斬り裂いたのだ。


左側は壁になっているから、来るならこちらだろうと思っていた通りになった。


それでも、ダメージを回避したのはさすがとしか言いようがないだろう。
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