上 下
634 / 682
狂い始める歯車

system_0634

しおりを挟む

「チッ! テメェッ! 俺の獲物だ! 手を出すな!!」


黒井はランスを手離し、ソードブレイカーを構えて津堂に飛び掛かった。


前後を真治と黒井に挟まれて、絶体絶命のピンチに津堂が出した答えは。


「分が悪い!」


そう判断すると同時に、通路の奥へと後退する。


「逃がすかよ!」


黒井が後を追い掛けたが、真治は一階の構造を思い出し、今来た道を引き返す。


津堂だけは、黒井よりも先に殺したい。


遠回りになるが、恵梨香を捕えている限りこのデパートから出ることはないだろうから、回り込むべきだ。


津堂にしてみれば二対一の状況、自軍とはいえこの戦いをどう感じているのか。


香月のような待ち構えるタイプなら狭い場所の方が得意だろうが、津堂は真治や黒井と同じような動き回るタイプだから、広い場所でなければ足を活かせない。


となると、広い場所で戦おうとするはずだ。


「そこまで行かせるかよ」


全力で走り、香月と戦ったエスカレーターの前のホールを通り過ぎた。


まだ姿は見えないようだが、真治の予想は外れていたのか。


いや、細かく金属音が聞こえる。


移動しながら戦っているから、速度が落ちているのだろう。


待ち構えるよりも迎え撃つと、真治は音のする方へと向かった。
しおりを挟む

処理中です...