上 下
635 / 682
狂い始める歯車

system_0635

しおりを挟む
音が聞こえ続けている通路に入ると、こちらにやって来る、背中を向けた津堂の姿が見えた。


黒井の攻撃を防御するので必死で、背後まで気にする余裕がないのだろうか。


地面を滑りながら日本刀を構え、真治はがら空きの背中に向けて刃を横に振るった。


脇腹を斬り付ける一撃。


しかし、津堂はその攻撃を、後ろ向きにも関わらず後方に宙返りして回避。


刃が、追撃をしていた黒井に襲い掛かったのだ。


「邪魔だ!!」


その攻撃を黒井はソードブレイカーで受け止め、真治の頭を踏み付け、津堂を追い掛けて飛び上がる。


真治の頭上で、次の攻防が始まった。


黒井は腕を突き出すと同時に、ランスを津堂に突き付ける。


「くっ!」


何とか回避しようとしたが、攻撃を逸らすことが精一杯のようで。


防御の反動で身体が回転し、津堂はショップの商品にぶつかり、それと一緒に床に落下した。


今がチャンスだと、そう思ったのは真治も黒井も同じだった。


黒井はそのままランスを構えて津堂に。


真治は振り返り、倒れ込むような低い体勢で迫った。


上下からの同時攻撃。


そうはさせじと、床に短刀を突き刺し、グッと身体を引き寄せながら、滑るように横に飛び退いた津堂。


空中の黒井は方向転換が出来ないかもしれないが、真治は違った。
しおりを挟む

処理中です...