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テケテケ&音楽室の怪

二十曲目

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サクラに促され、近くの教室に入った三人は、現状についての話を始めた。


男二人の取り乱し方と比べて、サクラはなんと気丈なことか。それなりにショックは受けていそうだが、それでも男と比べるとマシに思える。


「え、えっと……とりあえず、そう!  状況の整理だよね。ゆっくりしてる暇はないと思うけど、まずは意識の統一から。まず、外に出られる場所はない。可能性があるのは錠が掛かった生徒玄関のドアだけ。ここまではいい?」


いつでもすぐに逃げられるように、教室の後ろの少し広いスペースに屈んで、小さな声で三人で話す。


ピアノの音で、これくらいの声ならば聞こえないだろうという期待もある。


「う、うん。それで、あの錠の番号がわからないと出られないんだよね?  どこかにその番号が貼ってあったりするのかな」


「悔しいが、俺はこういうオカルトにはとんと疎い。俺が出来ることなら何でもするが、考えるのは二人に頼ることになりそうだ」


流石にこの状況では、誰も反論もしなければ否定をする人もいない。


数十分前の、学校に集められたばかりの時ならいざ知らず、今の彼らにはこの状況を受け入れる以外に方法はないのだ。


「今、私達は何もわからない、何の情報もない中にいる。少ない情報から答えを導き出すしかないの。後は……勘で番号を押していくとかね。何か気付いたことはない?  何でもいい、どんな些細なことでも」
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