★完結 【R18】変態だらけの18禁乙女ゲーム世界に転生したから、死んで生まれ変わりたい

石原 ぴと

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8話 

 応接室に行くと待っていたのはアリスだった。ところが、違和感を感じた。

「エバン様はどうなさったのかしら?」

 いつものエバンがいない。

「あぁ、彼なら辞めたいって言うから辺境に送ったよ」

――えぇっ! どういうことよ!

「そうですの」

 私は、完璧に平静を装い答えた。アリスは優雅に紅茶を飲み、軽食のサンドイッチを食べている。私は動揺のあまり、一気に脇から汗が出た。

「学校一緒行こう」

 私は外に出れない事を説明すると天使の笑顔を添えてアリスは”大丈夫だよ”と言った。

 急いで着替えて学校に行く準備を整え、アリスと一緒に公爵邸の門まで徒歩で辿り着いた。昨日は馬車の壁とバリアに挟まれるなど、物凄くそれはもう、人生最大の痛みだから二度と味わいたくないため慎重に歩いてきたのだ。両手を前に突き出しながら……。やはり、まだ門には透明の壁が存在している。壁の存在を確かめるように触っているとアリスが私の手を取り、私の指にアリスの指を絡ませた。
 これは恋人だけが繋ぐ手の繋ぎ方で、加えて体の関係を示唆する仕草でもある。
 驚いてアリスの顔を見れば、恥ずかしくて顔から火が出そうになった。アリスはいつもと変わらない天使の笑顔を浮かべている。

「触ってごらん」

――何を触れと言うのだろうか!? 頭が沸騰して破裂しそうだ。

「壁に早く触って」

――そうだった、そうでしょうね。壁以外にあるわけがなかった。別にエロい事など微塵も考えてなどない。

 私は手を伸ばした。すると壁は無くなっていた。少しだけ、一生家の中で過ごさなきゃいけないと思っていたから、嬉しくなってアリスに抱きついて喜んだ。そして学園に向かった。




 昼休みの鐘がなる。教室からチラチラとアンネが私を見ているが、身分差のある彼女ばかりと一緒にいる訳にも行かずスルーして食堂に向かった。なんだか、アンネは甘やかしちゃいけない気がするのは気のせいなんだろか?
 入り口の注文カウンターにいる老年の給仕に学生書を見せ、貴族用のCランチを頼んだ。こうやって注文して代金は月単位で締めて、家に請求される仕様である。
 今日のメインは白身魚のポアレである。他に前菜とスープとパンとデザートを載せたトレーを渡された。
 食堂を見渡して見るけど、ごった返していて空いてる席は見当たらなかった。席を探していると、声を掛けられた。


「クリマスタ公爵令嬢よろしければ、こちらにどうぞ」
「ありがとう」

 私は彼の隣に座った。
 彼は武の家であるリスト伯爵家の三男マークスだ。柔和な笑みを浮かべている。割と格好いい方なんじゃないかな。武術の大会で優勝したとか女子が騒いでいた。精悍な顔をしている。彼らの目の前には、山盛りの食事が盛られている。アリスはそんなに食べないから、新鮮だ。彼の横に腰を下ろした。こういう風に話しかけられるのは、嬉しい。笑みを浮かべた。私の斜め向かいには、薬師のグラス子爵家の次男アイザックだ。この若さで新薬を開発したとかいっていたな。二人とも将来有望だと女子が騒いでいたな。旦那様候補にどうだろうか?
 性に緩いお国柄か、人目につく場所なら男女でこうやって話していても問題ない。逆に男女で密室いた方が問題だ。

「よかった」
「なにがかしら?」
「相手は公爵令嬢だから、僕たち程度の身分の者が断れるかもって思ってたから」
「そんなことないですわ。クラスメイトですもの。これからよろしくお願いしますね」

 私は二人に微笑んだ。あれ?なんで顔を逸らすのだろうか?何かやらかした?

「こちらこそよろしくお願いします」
「そんなに畏まらなくても大丈夫ですよ」

 よかった、なんだか大丈夫そう。親しみを出すため、少し砕けた言葉遣いにした。
 その後は、授業の事とか他愛もない話をして過ごした。予令の鐘がなる。
 教室に戻った。次の授業は女子は刺繍、男子は剣術だ。

「アルちゃん! どこに行ってたの?」

 アルちゃんと呼ぶのはアリスしかいない。息を切らして、悲しげな表情をしている。

「人前で愛称で呼ばないでくださらないかしら……」

 二人きりならいいが、人前で呼ばれると困ってしまう。愛称呼びは特別な関係だからだ。もし王子のお手つきだと思われたら、私の未来の旦那様選びにも支障が出てしまう。一夫多妻も一妻多夫もありでも王子が相手では及び腰になってしまう。

「アルちゃんはアルちゃんでしょ? それとも僕の事が嫌いなの?」
「そうじゃないわ」

 こんなところで”好き”などと口にしたらそれこそもう誤解されてしまう。

「じゃあ、好き?」
「…………」
「僕のこと嫌いだから言えないんだ」

 アリスの……私の天使の瞳に透明で澄んだ涙が溜まっていく。

「そんなことは決してないわ」
「じゃあ……」
「好きよ。好き」

 ティアドロップが堕ちる寸前、堪らず口にした。

「だれが? アルちゃんは誰が好きなの?」

 頬に零れた雫をそのままにアリスが憂いげに尋ねる。
 多分気のせいじゃない。教室が先程より静かになって、皆、平静を装って私達の会話に耳を傾けている。

「…………」
「ねぇおしえて……」
「アリスフォード殿下が好きです」

 小さな声で俯き、羞恥に震えながら答えた。

「僕もアルちゃんが大好きだよ」

 満面の笑みを浮かべて、無邪気な悪魔は微笑んだ。
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