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閑話 能ある悪魔は手段を選ばない
「クリマスタ公爵令嬢、思ってたよりもずっとずっと気さくで話しやすかったな」
「あぁ、それに美人で家柄もいいし……婚約者もまだ決まってないよな」
「クリマスタ公爵家の一人娘だろ? あと継ぐんだよな……」
「おれ……好きになっちゃうかも……アプローチしてみようかな」
「は? マークスには無理だろ」
「やれば可能性はゼロじゃないだろ!?」
「まあな」
「おまえ前向きだな」
外回廊で3人の男子生徒が話しながら歩いている。
柱の影で金糸が風に揺れていた。
本令の鐘がなる。校庭には刃を潰した剣を持つ男子生徒達がいる。胸には胸当てをしている。
その中に小柄なkこの国の第一王子たるアリスフォード・ナサニエル・クライドジェスターがいた。陽光が当り、アリスフォードの金髪は煌めいている。彼は、自分の空き時間は全て一人の少女に使ってきたため、仲のいい友達はいない。彼の周りには親に侍る様に言われた側近候補というべき、クラスメートがぎこちなく立っていた。
しなやかな身体付きの帯剣した男が声をかける。この学院の剣術講師だ。彼は剣聖の弟子である。一柱しかいない剣神がいて、その下に剣聖が四柱あり
、その弟子なので弟子でもすごい人物である。
「今日は実力を図るため、模擬戦といこう。まずは、ペアになって練習してくれ。10分後、模擬戦を開始する」
少し小柄なこの国の第一王子である美少年はニコニコと笑顔を携えて、同じクラスの生徒に話しかけた。
「ねぇ、君、剣術の大会で優勝したんだってね。すごいね」
「恐縮です」
「さすがに王子が1勝も勝てないなんて恥ずかしいから、教えてくれないかな」
アリスフォードは教会の壁画の天使がそのまま出てきたような美少年で、女生徒には大人気だが、剣術もパッとしないし、魔法も治癒特化で戦闘には使えない為、男子生徒には蔑むとまではいかないけれど、歯牙にもかけられていなかった。
「僕で良ければ喜んで」
社交辞令を述べた少年は戸惑っていた。本気で相手にすれば良いのか、それとも手を抜いて勝たせれば良いのか……
「僕の剣の腕前を見られるのは不都合があるから、あちらの校舎の影でやろう。先生には言ってあるから大丈夫だよ」
天使がニコリと笑う。
二人は人目につかない校舎裏に移動し、相対した。王子が帯剣していた剣を抜いた。細身の剣は鋭く光る。対するマークス大きめの刃を潰した両刃剣で授業での戦闘では刃を潰した得物を使うことになっている。その為、マークスはたじろんだ。
「えっと……剣はそれ使うんですか?」
「あぁ、なれたものじゃないとね……。問題ないでしょう。万が一怪我した場合でも、僕の治癒魔法は万能だし」
アリスフォード王子の治癒魔法は国内トップだと言われている。通常治らないような欠損や病気も治せると言う噂が立つほどだ。
「さぁ始めよう。マークス、本気を出してくれないか?」
「あ、はい。わかりました。……【身体強化〈強〉】」
マークスの体が一瞬淡い魔力の光に包まれ、マークスの身体に消えた。彼の身体に力が巡る。
「始めよう」
お互いに剣を構えた。先に動いたのはマークスの方だった。がしかし、首から血飛沫を上げたのはマークスだった。
マークスは何が起きたかわからなかった。自分が先に一歩動いた筈だった。が次の瞬間には目の前に王子は居なかった。よく水のように流れる剣だったとか表現されるが、それ以上だった。まるで空気のように知覚できなかった。王子がいなくなった瞬間、王子の爽やかなコロンの匂いがした。それと同時に飛び散る赤。首に手をやるとヌルリとした生暖かい感触。は? なんで? と一瞬理解ができない。しかし、理解する。自分が死ぬんだと。何故、どうしてという思いが駆け巡り、今までの生をマークスは振り返った。がマークス自身の首に手が当てられうっすらとした暖かさと光に包まれる。
「【完全無欠治癒】」
マークスの傷は癒えた。崩折れる。マークスは天使の笑みを浮かべる王子を呆然と見上げた。だが、マークスにはまるで悪魔の微笑みに見え、背筋に冷たいものが這う。
「ねぇ、知ってる? アルちゃんは僕のものなんだ。過度な期待は抱かないでね。…………あぁそうだ、いきなり避けたりしたらアルちゃんが悲しむからさ、クラスメイトして節度を持ってね。今度は殺すから」
柔らかな金髪を揺らして、ニコニコと笑いながら王子は去っていった。
ガタガタ震えながら、その後ろ姿を見送った。真っ青な空は澄み渡っていた。
「あぁ、それに美人で家柄もいいし……婚約者もまだ決まってないよな」
「クリマスタ公爵家の一人娘だろ? あと継ぐんだよな……」
「おれ……好きになっちゃうかも……アプローチしてみようかな」
「は? マークスには無理だろ」
「やれば可能性はゼロじゃないだろ!?」
「まあな」
「おまえ前向きだな」
外回廊で3人の男子生徒が話しながら歩いている。
柱の影で金糸が風に揺れていた。
本令の鐘がなる。校庭には刃を潰した剣を持つ男子生徒達がいる。胸には胸当てをしている。
その中に小柄なkこの国の第一王子たるアリスフォード・ナサニエル・クライドジェスターがいた。陽光が当り、アリスフォードの金髪は煌めいている。彼は、自分の空き時間は全て一人の少女に使ってきたため、仲のいい友達はいない。彼の周りには親に侍る様に言われた側近候補というべき、クラスメートがぎこちなく立っていた。
しなやかな身体付きの帯剣した男が声をかける。この学院の剣術講師だ。彼は剣聖の弟子である。一柱しかいない剣神がいて、その下に剣聖が四柱あり
、その弟子なので弟子でもすごい人物である。
「今日は実力を図るため、模擬戦といこう。まずは、ペアになって練習してくれ。10分後、模擬戦を開始する」
少し小柄なこの国の第一王子である美少年はニコニコと笑顔を携えて、同じクラスの生徒に話しかけた。
「ねぇ、君、剣術の大会で優勝したんだってね。すごいね」
「恐縮です」
「さすがに王子が1勝も勝てないなんて恥ずかしいから、教えてくれないかな」
アリスフォードは教会の壁画の天使がそのまま出てきたような美少年で、女生徒には大人気だが、剣術もパッとしないし、魔法も治癒特化で戦闘には使えない為、男子生徒には蔑むとまではいかないけれど、歯牙にもかけられていなかった。
「僕で良ければ喜んで」
社交辞令を述べた少年は戸惑っていた。本気で相手にすれば良いのか、それとも手を抜いて勝たせれば良いのか……
「僕の剣の腕前を見られるのは不都合があるから、あちらの校舎の影でやろう。先生には言ってあるから大丈夫だよ」
天使がニコリと笑う。
二人は人目につかない校舎裏に移動し、相対した。王子が帯剣していた剣を抜いた。細身の剣は鋭く光る。対するマークス大きめの刃を潰した両刃剣で授業での戦闘では刃を潰した得物を使うことになっている。その為、マークスはたじろんだ。
「えっと……剣はそれ使うんですか?」
「あぁ、なれたものじゃないとね……。問題ないでしょう。万が一怪我した場合でも、僕の治癒魔法は万能だし」
アリスフォード王子の治癒魔法は国内トップだと言われている。通常治らないような欠損や病気も治せると言う噂が立つほどだ。
「さぁ始めよう。マークス、本気を出してくれないか?」
「あ、はい。わかりました。……【身体強化〈強〉】」
マークスの体が一瞬淡い魔力の光に包まれ、マークスの身体に消えた。彼の身体に力が巡る。
「始めよう」
お互いに剣を構えた。先に動いたのはマークスの方だった。がしかし、首から血飛沫を上げたのはマークスだった。
マークスは何が起きたかわからなかった。自分が先に一歩動いた筈だった。が次の瞬間には目の前に王子は居なかった。よく水のように流れる剣だったとか表現されるが、それ以上だった。まるで空気のように知覚できなかった。王子がいなくなった瞬間、王子の爽やかなコロンの匂いがした。それと同時に飛び散る赤。首に手をやるとヌルリとした生暖かい感触。は? なんで? と一瞬理解ができない。しかし、理解する。自分が死ぬんだと。何故、どうしてという思いが駆け巡り、今までの生をマークスは振り返った。がマークス自身の首に手が当てられうっすらとした暖かさと光に包まれる。
「【完全無欠治癒】」
マークスの傷は癒えた。崩折れる。マークスは天使の笑みを浮かべる王子を呆然と見上げた。だが、マークスにはまるで悪魔の微笑みに見え、背筋に冷たいものが這う。
「ねぇ、知ってる? アルちゃんは僕のものなんだ。過度な期待は抱かないでね。…………あぁそうだ、いきなり避けたりしたらアルちゃんが悲しむからさ、クラスメイトして節度を持ってね。今度は殺すから」
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ガタガタ震えながら、その後ろ姿を見送った。真っ青な空は澄み渡っていた。
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