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20話
アンネとお昼を食堂で食べることにする。
「アンネは何食べるのかしら?」
「私はお弁当があるのでそれを食べます」
布で包まれた物を掲げてアンネは笑った。その笑みが心なしかは切なそうだけど、気のせいかな。
何を注文しようかメニューを見る。この学園の学食が美味しいと評判だ。庶民向けのシチューからコース料理まで様々なラインナップである。
私はメインにラムチョップを食べる事にした。デザートはティラミスをチョイス。フフッ楽しみ……ってなんか視線を感じる。
「いいなぁー、お姉ちゃんは」
見れば、アンネは怨めしそうな目をしてる。最近はもう面倒で“お姉ちゃん”と呼ばれることに指摘しなくなっていた。
「…………そういう事を言うのはどうかと思うよ」
「……ごめんなさい」
素直に謝られると、可哀想な気がしてくる。びしょ濡れになった子猫みたいにしょぼくれるアンネが可愛いくて、栗色の頭を撫でたがあいも変わらずしょぼくれている。アンネは可愛い系の美少女でそんな姿も愛らしい。
――こんなに可愛かったら、攻略対象者たちもイチコロね
「私、先に席取っときますね」
食堂は混んでいて、早く確保しないと座れなくなってしまう。とぼとぼとアンネは空いてる席に向かった。
それを見て、私はアンネ分も追加で頼んであげた。
――懐かしい。妹とともこんなやり取りしたな。食い意地に張った妹によくおやつのプリンやチョコを分けてあげたっけ
会計を済ませた後、アンネ待っているテーブルに着いた。貴族用のメニューは給仕が持ってきてくれる。
「なんのお弁当なの?」
「塩むすびです」
「なんの具を入れたの?」
「……なんにも入ってないです」
いい年なんだから、泣きそうにならないで欲しい。青い瞳は潤んで煌めいている。食べ物が理由ではなければ、ひと目で恋に落ちてしまうだろうと思うぐらいにかわいい。
アンネの家は庶民であり、平民の感覚では肉や魚を食べる事はとても贅沢である。現代の感覚でいうと、すき焼きやステーキに当たるだろう。でも、アンネの分を頼んだのは内緒だ。驚かせてより喜んだ顔が見たいから。
「もうー、お馬鹿さんね」
「お姉ちゃんはお金持ちのお家に生まれたからいいよね……」
「いつもお菓子あげてるでしょう!?」
「うん、いつもありがとうゴザイマス」
まだまだご機嫌斜めなアンネ。
「それよりカラスの件はどうなったのかしら?」
「そうです。なんと餌付けに成功して手紙を貰ったんです。今度、お礼をしたいと」
ドヤァと胸を張るアンネはさっきまでの哀愁は微塵も無くなった。変わり身の速さに嘆息する。
ビクターはこの国の魔術師で王宮の敷地内にある魔塔に住んでいる。この国のが攻め入られないよう結界を張ってこの国守っている。……ん? 結界ってこないだ家に張られていたのは関係ないよね? だってビクターとは接点もないから、無関心な彼は私の存在すら知らないはずだ。
給仕が昼食を持ってきた。
「おねぇーちゃん! これ2個あるよ⁉」
「うん」
「これ、私に? ってか絶対私のだよね」
「いや、お腹ペコペコだから2個食べようかと思って……」
「え? ……えぇ?」
――しょぼくれた顔をして涙ぐまないでほしい
「嘘よ。嘘。アンネの分だから食べていいよ」
「やったぁ~。お姉ちゃん、大好き」
「はむっ! 久しぶりのお肉おいしいよぅ」
――そんなことで泣かないでほしい
アンネがガツガツ食べる横で、私は品よく食事そた。
「あれ?」
手芸の授業の課題の刺繍がない。エバンを想って縫ったオリーブの木と鳩。課題としては地味だが、平和を願って一針一針刺した大切な物だ。最近、些細な嫌がらせを受けていて、紙一面に何度も”死”を書いた不幸の手紙が来たり、物が無くなったりする事が多い。
――エバンの無事を祈った大事なものだったのに……なんか……泣きそう。あぁ、こういうネガティブなこと嫌だな。ハッキリいってくれればいいのに。まぁこの学年女生徒序列一位の私に言える人間なんてアンネぐらいか
「はぁー」
溜息が出る。裁縫セットを持って家庭科教室に一人、向かった。
白いハンカチに最初からまた縫い始めようと針山に手を伸ばした。然し、指に鋭い痛みが走る。ぷっくりと盛り上がった鮮血が指先に湧く。針山の中に逆向きに指してあった針があって刺さったのだ。
「クスッ」
誰かか笑った。私に向けてと思うのは被害妄想だろうか。
顔を顰め、ポケットの中にあるハンカチを取り出して止血する。エバン様を想って刺繍する白いハンカチには絶対に血を付けたくない。怪我を連想する血なんか付けたら縁起が悪い気がするから。
十分に止血してから、刺繍を始めた。
「今日はここまでです。来週末に提出してもらいます」
担当教諭がそう告げる。まだまだ終わりそうにない。家でもやらなきゃいけないだろう。
「お姉ちゃん一緒に行こ」
アンネと共に教室に向かうため、廊下を歩いた。
「お姉ちゃん元気なくない?」
「そんなこと……」
見知ったものが目に入いり、ゴミ箱に駆け寄った。中には盗まれた私のカーディガンやノートなど……
「これ……」
一枚のボロ切れを拾う。これは真っ白いハンカチだったものだ。
「ごめんなさい」
なんだか申し訳なくて涙が出てくる。私がエバン様の勝利にケチをつけたような、後ろ足で砂をかけたようなそんな心持ちになり、罪悪感で胸が一杯になる。
「お姉ちゃん……」
アンネが背中を擦ってくれた。けど、涙が止まらない。
「何してるの?」
「イタッ」
アンネは私から引き剥がされた。
振り返るとアリスが怖い顔をして立っていた。
ーーーーーーーーーーー
申し訳ないです。タイトル無しです。タイトルつけるの苦手です。センスも無いし。誰かつけてほしいです。
「アンネは何食べるのかしら?」
「私はお弁当があるのでそれを食べます」
布で包まれた物を掲げてアンネは笑った。その笑みが心なしかは切なそうだけど、気のせいかな。
何を注文しようかメニューを見る。この学園の学食が美味しいと評判だ。庶民向けのシチューからコース料理まで様々なラインナップである。
私はメインにラムチョップを食べる事にした。デザートはティラミスをチョイス。フフッ楽しみ……ってなんか視線を感じる。
「いいなぁー、お姉ちゃんは」
見れば、アンネは怨めしそうな目をしてる。最近はもう面倒で“お姉ちゃん”と呼ばれることに指摘しなくなっていた。
「…………そういう事を言うのはどうかと思うよ」
「……ごめんなさい」
素直に謝られると、可哀想な気がしてくる。びしょ濡れになった子猫みたいにしょぼくれるアンネが可愛いくて、栗色の頭を撫でたがあいも変わらずしょぼくれている。アンネは可愛い系の美少女でそんな姿も愛らしい。
――こんなに可愛かったら、攻略対象者たちもイチコロね
「私、先に席取っときますね」
食堂は混んでいて、早く確保しないと座れなくなってしまう。とぼとぼとアンネは空いてる席に向かった。
それを見て、私はアンネ分も追加で頼んであげた。
――懐かしい。妹とともこんなやり取りしたな。食い意地に張った妹によくおやつのプリンやチョコを分けてあげたっけ
会計を済ませた後、アンネ待っているテーブルに着いた。貴族用のメニューは給仕が持ってきてくれる。
「なんのお弁当なの?」
「塩むすびです」
「なんの具を入れたの?」
「……なんにも入ってないです」
いい年なんだから、泣きそうにならないで欲しい。青い瞳は潤んで煌めいている。食べ物が理由ではなければ、ひと目で恋に落ちてしまうだろうと思うぐらいにかわいい。
アンネの家は庶民であり、平民の感覚では肉や魚を食べる事はとても贅沢である。現代の感覚でいうと、すき焼きやステーキに当たるだろう。でも、アンネの分を頼んだのは内緒だ。驚かせてより喜んだ顔が見たいから。
「もうー、お馬鹿さんね」
「お姉ちゃんはお金持ちのお家に生まれたからいいよね……」
「いつもお菓子あげてるでしょう!?」
「うん、いつもありがとうゴザイマス」
まだまだご機嫌斜めなアンネ。
「それよりカラスの件はどうなったのかしら?」
「そうです。なんと餌付けに成功して手紙を貰ったんです。今度、お礼をしたいと」
ドヤァと胸を張るアンネはさっきまでの哀愁は微塵も無くなった。変わり身の速さに嘆息する。
ビクターはこの国の魔術師で王宮の敷地内にある魔塔に住んでいる。この国のが攻め入られないよう結界を張ってこの国守っている。……ん? 結界ってこないだ家に張られていたのは関係ないよね? だってビクターとは接点もないから、無関心な彼は私の存在すら知らないはずだ。
給仕が昼食を持ってきた。
「おねぇーちゃん! これ2個あるよ⁉」
「うん」
「これ、私に? ってか絶対私のだよね」
「いや、お腹ペコペコだから2個食べようかと思って……」
「え? ……えぇ?」
――しょぼくれた顔をして涙ぐまないでほしい
「嘘よ。嘘。アンネの分だから食べていいよ」
「やったぁ~。お姉ちゃん、大好き」
「はむっ! 久しぶりのお肉おいしいよぅ」
――そんなことで泣かないでほしい
アンネがガツガツ食べる横で、私は品よく食事そた。
「あれ?」
手芸の授業の課題の刺繍がない。エバンを想って縫ったオリーブの木と鳩。課題としては地味だが、平和を願って一針一針刺した大切な物だ。最近、些細な嫌がらせを受けていて、紙一面に何度も”死”を書いた不幸の手紙が来たり、物が無くなったりする事が多い。
――エバンの無事を祈った大事なものだったのに……なんか……泣きそう。あぁ、こういうネガティブなこと嫌だな。ハッキリいってくれればいいのに。まぁこの学年女生徒序列一位の私に言える人間なんてアンネぐらいか
「はぁー」
溜息が出る。裁縫セットを持って家庭科教室に一人、向かった。
白いハンカチに最初からまた縫い始めようと針山に手を伸ばした。然し、指に鋭い痛みが走る。ぷっくりと盛り上がった鮮血が指先に湧く。針山の中に逆向きに指してあった針があって刺さったのだ。
「クスッ」
誰かか笑った。私に向けてと思うのは被害妄想だろうか。
顔を顰め、ポケットの中にあるハンカチを取り出して止血する。エバン様を想って刺繍する白いハンカチには絶対に血を付けたくない。怪我を連想する血なんか付けたら縁起が悪い気がするから。
十分に止血してから、刺繍を始めた。
「今日はここまでです。来週末に提出してもらいます」
担当教諭がそう告げる。まだまだ終わりそうにない。家でもやらなきゃいけないだろう。
「お姉ちゃん一緒に行こ」
アンネと共に教室に向かうため、廊下を歩いた。
「お姉ちゃん元気なくない?」
「そんなこと……」
見知ったものが目に入いり、ゴミ箱に駆け寄った。中には盗まれた私のカーディガンやノートなど……
「これ……」
一枚のボロ切れを拾う。これは真っ白いハンカチだったものだ。
「ごめんなさい」
なんだか申し訳なくて涙が出てくる。私がエバン様の勝利にケチをつけたような、後ろ足で砂をかけたようなそんな心持ちになり、罪悪感で胸が一杯になる。
「お姉ちゃん……」
アンネが背中を擦ってくれた。けど、涙が止まらない。
「何してるの?」
「イタッ」
アンネは私から引き剥がされた。
振り返るとアリスが怖い顔をして立っていた。
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申し訳ないです。タイトル無しです。タイトルつけるの苦手です。センスも無いし。誰かつけてほしいです。
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