★完結 【R18】変態だらけの18禁乙女ゲーム世界に転生したから、死んで生まれ変わりたい

石原 ぴと

文字の大きさ
33 / 82

28話 ガーデンパーティ③

 ブレンダ侯爵令嬢頬を叩かれ、私は後から痛んだ頬を押さえて彼女を呆然と見た。

「不愉快ですわ! わたくし、帰りますわ」

 そう言って足早に歩く彼女の腕を取った。

「待ってください」

――ゴトッ……

 何か陶器のような硬いものが床に落ちた音がした。音の様子からから割れてなさそうだと思った。ブレンダ侯爵令嬢のドレスのスカート辺りから何か見覚えのある物が見えた。
 彼女は顔を蒼くして固まっていたので、私は拾い上げた。それは私のジュモー社製のアンティークドールだった。そして……それは――高価だからと遠慮したのだが――アリスがくれた物だった。

 手を振払われて、ブレンダ侯爵令嬢は走って去
って行った。
 後に残され呆然とする私とクラスメイト。暫しの静寂。それを破ってリーナ子爵令嬢が声を上げた。

「あ、あのー……そろそろ皆さんのところに戻りませんか?」
「えっええ、そうね。お茶でも飲んでゆっくりしましょう」

 私の先導でパーティ会場である庭に戻ってきた。その間、会話らしい会話はなく、皆、どこか上の空だった。
 先程のアンティークドールを見に行かず、ブレンダ侯爵令嬢の暴挙を知らないクラスメイトが楽しそうに歓談している。戻ってきた私達の微妙な表情を見て、訝しげに一瞬表情を変えたが、すぐに笑って話しかけて来た。その後は、楽しく過ごした。




「お姉ちゃん、何があったの?」
「うーん、なんだろう? ちょっと言~えないかな。アンネに関わり合いのない事だから」

 もしかしたら誤解かもしれない。そう思いたいのかもしれない。でも、モヤモヤとして気分が晴れない。
 アンネはガーデンパーティが終わっても帰らなかった。ディナーを食べて帰るつもりなんだろうか?
 アンネはコミュ力が高く、使用人にも気さくに挨拶するため、家の使用人達ともいつの間にか仲良くなっていた。それに私の初めての女友だちだからか、皆、アンネに優しい。

「ふーん。……クローゼット見ていい?
「いいけど……」
「お母様の形見もあるから盗らないでね」

 先程のことがあったから、思わず出た言葉だった。失言だった。一瞬のうちに後悔した。だから頭を下げた。

「ごめんなさい」
「とらないよ。後でちゃんと返すしー。そういえば、姉のもの勝手に借りてちょー怒られたな。懐かしいなぁ。あの頃は家も学校も楽しかったなぁ~」
「なんで妹って姉ものを勝手に借りるのかしら……!? 使おうとした時ないのは、もの凄く腹が立つのよね。しかもこっちが言うまで返さないのよ。どこの家でも妹ってそんな感じなのかしら?」
「そうだよ。そういうもんだよ」
「あなたの姉が怒る姿が目に浮かぶわ」
「宝石箱見ていい?」
「いいけど、勝手に持ってかないでね」
「わかった~」

 アンネは宝石箱を開けて感嘆の声を洩らした。

 先程、生まれた時からいる執事に手紙を貰った。王家の薔薇と棘と剣の紋章の封蝋が押されている。きっとアリスからだ。開けると爽やかで中性的なコロンの匂いがした。馴染みのあるアリスの匂いだ。内容は、本日の夕方遊びに来ると言うことだった。

「悪いけど、これからアリスが来るの。だから帰ってもらえる?」
「えぇ~ご飯食べて帰ろうと思ってたのに~! でもいいや。さっきパーティで余ったお菓子貰ったから……」
「貴方……凄いわね。きっと何処でも生きていけそうね」

 私は呆れた声を出した。そして、少し前から考えてたことを口にした。

「私……今日こそ、アリスにキスしてみるわ。それぐらいならなんとか出来るかもしれない」
「えぇっ! あの奥手なお姉ちゃんが!? 頑張って」

 本当は自信ない。だから、逃げられないようにアンネに決意を宣言した。

「わかった。後で報告してね」

 アンネが可愛くウィンクをして、帰った。私の心臓は今からソワソワしていた。





「今日はどうしたの?」
「う~ん……なんとなく」

 アリスが私の顔を数秒見つめた。
 クラスの女子とガーデンパーティをしたのは知っているはずだ。

「何かあった?」

 あったといえばあったが、今はそれどころじゃない。普段かかない汗で手が湿っぽい。唾を飲んだだけで不自然に喉がなってしまった。
 アンネが帰った後、アリスが来て、応接室でお茶を飲んでいた。外はガーデンパーティを開いた庭が見える。これから庭に散歩でもして、そこでキスをするわ、絶対に。

「何もないよ」
「アルちゃんは嘘が下手なのを自覚したほうがいいよ」

 クスリと笑ってアリスが言った。

「そんなに顔に、出るタイプかしら?」

 私はアンネみたいに、そんなに表情が豊かなタイプではないはずだが……。

「顔じゃないよ。目とか、緊張すると手を強く握る癖とか……」


 膝に置かれた手を見れば、確かに重ねられた手をしっかり握っていた。

「アリスだって素直すぎるわ。そんなところが好きだけど、アリスは国王になるのよ。そんないい子じゃ心配だわ」

 アリスみたいないい子が、宰相の言いなりなったり、他国の国王にいいようにされないか心配だわ。

 アリスは曖昧に笑って、紅茶を飲んだ。

「ごめんね。僕、用事が出来たから行かないと……」

 アリスがソファから立ち上がった。

「えぇっ! もう?」

―まだキスしてないわ! 絶対するんだから。


 私も立ち上がって、アリスの後を追いかけた。そして扉に向かうアリス進行方向を手で遮った。アリスが私の方を驚いて見た。そしてアリスの頬に両手を添えて、少し背伸びをしてキスをした。アリスの柔らかで温かい唇が私の唇と重なる。ファーストキスだ。キス初心者の私は、唇を合わせればキスぐらいしか考えていなくて、この後どうすればいいか全くわからなくて、そのまま重ねただけだった。けど、ヌルリとしたものが唇を割って入ってきて、私は尻もちをついて床に転んで、アリスを見上げた。アリスは今まで見たことのない顔で笑っていて、喫驚した私は走って逃げた。
感想 15

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

お兄ちゃんは、ヒロイン様のモノ!!……だよね?

夕立悠理
恋愛
もうすぐ高校一年生になる朱里には、大好きな人がいる。義兄の小鳥遊優(たかなしゆう)だ。優くん、優くん、と呼んで、いつも後ろをついて回っていた。  けれど、楽しみにしていた高校に入学する日、思い出す。ここは、前世ではまっていた少女漫画の世界だと。ヒーローは、もちろん、かっこよくて、スポーツ万能な優。ヒロインは、朱里と同じく新入生だ。朱里は、二人の仲を邪魔する悪役だった。  思い出したのをきっかけに、朱里は優を好きでいるのをやめた。優くん呼びは、封印し、お兄ちゃんに。中学では一緒だった登下校も別々だ。だって、だって、愛しの「お兄ちゃん」は、ヒロイン様のものだから。  ──それなのに。お兄ちゃん、ちょっと、距離近くない……? ※お兄ちゃんは、彼氏様!!……だよね? は二人がいちゃついてるだけです。

ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。 毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!

由汰のらん
ファンタジー
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。 しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。 そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。 「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」 やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった。しかしハルの血が特殊だと知ったダンピールはハルを連れ帰って? いっそ美味しい『血』(治癒)と『体液』(バフ)と『癒し』を与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!

山に捨てられた元伯爵令嬢、隣国の王弟殿下に拾われる

しおの
恋愛
家族に虐げられてきた伯爵令嬢セリーヌは ある日勘当され、山に捨てられますが逞しく自給自足生活。前世の記憶やチートな能力でのんびりスローライフを満喫していたら、 王弟殿下と出会いました。 なんでわたしがこんな目に…… R18 性的描写あり。※マークつけてます。 38話完結 2/25日で終わる予定になっております。 たくさんの方に読んでいただいているようで驚いております。 この作品に限らず私は書きたいものを書きたいように書いておりますので、色々ご都合主義多めです。 バリバリの理系ですので文章は壊滅的ですが、雰囲気を楽しんでいただければ幸いです。 読んでいただきありがとうございます! 番外編5話 掲載開始 2/28

婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜

紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。 連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。