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66話
自室に戻ってベットにうつ伏せに飛び込んだ。嫉妬に胸が焦げてムカムカする。エバンにもあの女性にも自分にも腹が立つ。
――私の騎士に触らないで! 何であんな女に微笑んでるのよ。エバンのバカ! エバンは私のことが好きなのよ…………でももう私のこと好きじゃないのかもしれない。
仕事をしようとしても手につかない。いても立っても居られなくなって、サイドテーブルのベルを鳴らした。
「お嬢様、どうされましたか?」
「エバンを読んで頂戴」
衝動的にメイドに告げ、メイドは彼を呼びに行った。理性的ではない馬鹿な考えとわかってはいても止められなかった。
何か口実でもないかと部屋を物色する。アンネがくれたチョコレートが目に入った。確か誰かと食べろって言ってたっけ。これでいいいやと手に取って、他のメイドにお茶の準備をお願いした。
「あー、これはどうかしら?」
ドレスを当てて、姿見で確認する。いつもはこんなご時世だから、コットンのシャツとスカートで平民と変わらない服を着ていた。
「可愛らしいです」
「最近はドレスなんて着てなかったのにいきなりこんなの着てたら変よね?」
「可愛いですが、少し派手かもしれないですね」
「久しぶりだから、姫としてきちんとしないといけないじゃない……」
恋心を隠すため、言い訳を口にした。ただエバンに可愛く見られたいだけなのに。他の女性に目移りなんてしてほしくないから。
結局いつもと同じブラウスにスカートのリボンと花柄のスカートとアクセサリーをつけた格好にした。エバンの瞳と同じ色の深く濃い青のブルーグ産のサファイアに気づくだろうか……。
もうお茶の準備は整っている。ソファに腰掛けてエバンを待つ。心臓がドキドキする。
――コンコン
心臓が跳ね上がる。
「どうぞ」
出だしの声が僅かに震える。
「姫!」
エバンが満面の笑みで私を見つめ、片膝を立て膝まずき私の手を取り、手の甲にキスをする。頬が熱い。もっとずっとキスをしてて欲しいなんて恥知らずで恥ずかしくて言えない。
「座って頂戴」
「失礼します」
態と椅子を指し示したりしなかった。もしかしたら隣に座ってくれるかもしれないから……。
エバンは向かいのソファに座ったのでしょんぼりと心が萎んだ気がする。
「元気だった?」
「はい。おかげさまで休ませて頂きました」
「友人として招いたのだから、気楽に話してほしいわ」
「わかった。姫も楽に接してくれ」
他愛もない話。街がどうとか、魔物がどうとかそんなとりとめない話をしながら、アンネからもらったチョコレートを食べた。
「あっ、美味しい。なんか少しだけスパイシーでそれがチョコと合ってる。不思議だけど美味しいわ。エバンも食べてみて」
「ああ……うまいな」
「もっと食べてよ。アンネから誰かと食べてって貰ったの。だから一緒に食べようと思って……でもなんでかな?」
2,3つチョコレートを食べた。かなり美味しくて手が止まらない。
「楽しくなれるチョコとか?」
「今でもエバンと一緒に話してて十分楽しいわ」
自分が示せる最大限の好意を口にした。自然と笑顔になる。
「俺も世界で一番楽しいよ」
「それにいつも守ってくれてありがとう。エバンが隣にいるだけでいつも心強いの」
「ああ……」
エバンは紅茶を一気に飲み干した。耳が赤くなっている。胸が熱くなる。とてもかわいい人だと思った。エバンは照れ隠しにチョコレートを数個食べた。
「さっきまで畑にいたから、喉が渇いていて……」
「休みなんだから気にせず休養を取ればいいのに……」
「体動かさないと訛っちまうもんだから」
「…………届かないわ」
「え?」
「紅茶のおかわり……それに声も聞き取りにくいわ」
下心たっぷりの言葉は不機嫌で、無愛想な色を含んでいた。こんな幼稚で意地悪じみた言葉しか言えないなんて嫌になって俯いた。私自身に影が覆いかぶさる。エバンが側に来たからだ。顔を上げると彼の深く凪いだ海のような瞳と目があった。頬が熱くなる。隠せない恋心。
「すき……」
心臓うるさい。ぎゅっと目を瞑った。彼の大きな手が頬に触れ、銀糸のような髪を梳いた。
「男の前で目を閉じちゃだめって習わなかった?」
エバンの唇と私の唇が重なった。
――私の騎士に触らないで! 何であんな女に微笑んでるのよ。エバンのバカ! エバンは私のことが好きなのよ…………でももう私のこと好きじゃないのかもしれない。
仕事をしようとしても手につかない。いても立っても居られなくなって、サイドテーブルのベルを鳴らした。
「お嬢様、どうされましたか?」
「エバンを読んで頂戴」
衝動的にメイドに告げ、メイドは彼を呼びに行った。理性的ではない馬鹿な考えとわかってはいても止められなかった。
何か口実でもないかと部屋を物色する。アンネがくれたチョコレートが目に入った。確か誰かと食べろって言ってたっけ。これでいいいやと手に取って、他のメイドにお茶の準備をお願いした。
「あー、これはどうかしら?」
ドレスを当てて、姿見で確認する。いつもはこんなご時世だから、コットンのシャツとスカートで平民と変わらない服を着ていた。
「可愛らしいです」
「最近はドレスなんて着てなかったのにいきなりこんなの着てたら変よね?」
「可愛いですが、少し派手かもしれないですね」
「久しぶりだから、姫としてきちんとしないといけないじゃない……」
恋心を隠すため、言い訳を口にした。ただエバンに可愛く見られたいだけなのに。他の女性に目移りなんてしてほしくないから。
結局いつもと同じブラウスにスカートのリボンと花柄のスカートとアクセサリーをつけた格好にした。エバンの瞳と同じ色の深く濃い青のブルーグ産のサファイアに気づくだろうか……。
もうお茶の準備は整っている。ソファに腰掛けてエバンを待つ。心臓がドキドキする。
――コンコン
心臓が跳ね上がる。
「どうぞ」
出だしの声が僅かに震える。
「姫!」
エバンが満面の笑みで私を見つめ、片膝を立て膝まずき私の手を取り、手の甲にキスをする。頬が熱い。もっとずっとキスをしてて欲しいなんて恥知らずで恥ずかしくて言えない。
「座って頂戴」
「失礼します」
態と椅子を指し示したりしなかった。もしかしたら隣に座ってくれるかもしれないから……。
エバンは向かいのソファに座ったのでしょんぼりと心が萎んだ気がする。
「元気だった?」
「はい。おかげさまで休ませて頂きました」
「友人として招いたのだから、気楽に話してほしいわ」
「わかった。姫も楽に接してくれ」
他愛もない話。街がどうとか、魔物がどうとかそんなとりとめない話をしながら、アンネからもらったチョコレートを食べた。
「あっ、美味しい。なんか少しだけスパイシーでそれがチョコと合ってる。不思議だけど美味しいわ。エバンも食べてみて」
「ああ……うまいな」
「もっと食べてよ。アンネから誰かと食べてって貰ったの。だから一緒に食べようと思って……でもなんでかな?」
2,3つチョコレートを食べた。かなり美味しくて手が止まらない。
「楽しくなれるチョコとか?」
「今でもエバンと一緒に話してて十分楽しいわ」
自分が示せる最大限の好意を口にした。自然と笑顔になる。
「俺も世界で一番楽しいよ」
「それにいつも守ってくれてありがとう。エバンが隣にいるだけでいつも心強いの」
「ああ……」
エバンは紅茶を一気に飲み干した。耳が赤くなっている。胸が熱くなる。とてもかわいい人だと思った。エバンは照れ隠しにチョコレートを数個食べた。
「さっきまで畑にいたから、喉が渇いていて……」
「休みなんだから気にせず休養を取ればいいのに……」
「体動かさないと訛っちまうもんだから」
「…………届かないわ」
「え?」
「紅茶のおかわり……それに声も聞き取りにくいわ」
下心たっぷりの言葉は不機嫌で、無愛想な色を含んでいた。こんな幼稚で意地悪じみた言葉しか言えないなんて嫌になって俯いた。私自身に影が覆いかぶさる。エバンが側に来たからだ。顔を上げると彼の深く凪いだ海のような瞳と目があった。頬が熱くなる。隠せない恋心。
「すき……」
心臓うるさい。ぎゅっと目を瞑った。彼の大きな手が頬に触れ、銀糸のような髪を梳いた。
「男の前で目を閉じちゃだめって習わなかった?」
エバンの唇と私の唇が重なった。
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