★完結 【R18】変態だらけの18禁乙女ゲーム世界に転生したから、死んで生まれ変わりたい

石原 ぴと

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70話 修道院

 10日、馬車を走らせようやく修道院の近くの村についた。ほぼ何もない。令嬢が好むようなものはなく、家も平屋ばかりで魔物の影響か崩れかけれいる。。遠くに修道院が見える。崖の側に建っていて、後ろは紺碧の青い海だ。北方を思わせる濃く深い青色が、遠い所に来たことを実感させた。
 うみねこが鳴いている声が聴こえる。

「アリス怒ってるかな。エバンは傷ついてないかな…………二人ともこんなの許してくれないよね」

 私が最低な人間なのはわかってる。置き手紙一つも残さなかった。なぜなら、私のこと嫌いになって欲しいから。そうすれば、私のことなど忘れて他の人と幸せになれるだろうから。

 なんだろう、潮風って目にしみるのかな……。涙が出てくる。

 二人に幸せになってほしいのに、忘れてほしくなくて、嫌われたくないって思ってしまう。人間とはなんとも矛盾していて身勝手で、自分の心さえもコントロール出来ない。

 古い石造りの修道院の前に着いた。石垣は所々、石が崩れ掛けている。石には貝殻等が付着している。この修道院は、厳しい戒律で有名だ。緊張しながら、ドアをノックした。

 中からシスター服に身を包んだ修道女が出てきた。胸に十字架をつけている。彼女は私を厳しい視線で頭からつま先まで見た。

「ご奉仕しに参りました」
「話は聞いています。ノヴァ令嬢ですね。うちは厳しいですが、大丈夫ですか?」
「はい、もちろんです」
「ではこちらへ」
「はい」

 貴族令嬢なんかに務まると思っているのかと不躾なシスターの目が物語っていた。

 部屋に案内され、見習い修道女の格好を渡された。渡された服がゴワゴワする生地で繊維が粗く肌が痒い。修道院を内部を案内され、今日を終えた。修道院の朝は早い。私は早々に眠りに着いた。





 ここに来て半月が経った。最初は令嬢が務まるのかと冷ややかな視線も感じたが、今ではみんな普通に接してくれるようになった。修道院での生活は肉体的には重労働だが、精神的には楽だった。一日のスケジュールはほぼ決まっていて、何も考える必要もなく心穏やかに過ごせる。肉体的に辛いお陰で夜はぐっすり寝れるのも良かった。ここに来て、毎日が平凡で平和だった。

 今日はいつもと違う朝だった。何故か騒がしい。何事かと気にはなったが、私みたいなシスター見習いには関係ないと思っていた。

――ズドーーーン!ガラガラガラガラ!!ガッシャーン!!!

 修道院で鳴ってはいけない音がして、尖塔の屋根が吹き飛んだ。平和魔物が襲撃しに来たのだろうか……。魔法が少しでも扱える私は助けになろうと騒がしい玄関の方に駆けていった。

    そこでよく見知った顔を見つける。懐かしさに涙が出てきて、胸に申し訳無さが沢山詰め込まれた。

「アリス……エバン……」
「アルちゃん!!」

 満面の笑みを浮かべて勢いよく駆け寄ってくるアリスはなんて愛らしいのだろうか。何度も何度も幾星霜思い出したアリスの笑った顔とまるで捨てられた犬みたいに心配そうで不安げな顔で私を見つめるエバンの顔を交互に見た。

「なんで帰ってこないの?」
「だって……帰れる訳ないもの。アリスには他の人と!!」

 急に悪寒がし、全身に鳥肌がたって最後まで言えなかった。例えるならばまるで邪神にでも目を付けられたようなそんな感覚だろうか?

「へぇ~、他の人ってなぁに|《・・・》?」
「私なんかじゃ」

 またゾクリと背筋に寒気がした。アリスが底冷えするような冷たい声音で喋り始めた。

「それを決めるのは僕だよね。僕はさ、アルちゃんしか要らないのに、アルちゃんが居ない世界なんて破滅しちゃえばいいのに。そうだ、壊そうか……」
「いや、あっあっあのぉ、居るずっと側に居る。一生いる。死んでからもアリスと一緒に居る」

 再び眼球の白と黒が反転して魔王化が進みそうになったので、慌てて言葉を紡いだ。

「うん。僕もずっとずっとアルちゃんと一緒にいるね。アルちゃんが居なくなったら僕どうなるかわからないからねっ!」

 私はこの世界を人質に取られ、一生アリスといる約束を交わした。
 そして放置されいじけはじめたエバンの名を呼んだ。彼は駆け寄ってアリスごと私を抱きしめた。なんかアリスの方から舌打ちが聞こえたけど幻聴かな。ってか、ここ天井も玄関も吹き飛んでて床しかないんだけど、あれ? 夢かな。まぁ今はアリスとエバンのほうが重要だからどうでもいいや。

「エバンごめんね」

 エバンの柔らかくてフサフサな頭髪を撫でる。するとグリグリと頭を擦り寄せてきた。

「姫さえ無事ならいいんです」

 視線をエバンの方に向けると爽やかな空色の瞳とぶつかる。目元が赤くなっていて泣きそうなのだろうか。そして段々と顔が近づいてきて唇が触れた瞬間、エバンの顔がひしゃげて飛んでった。あれ? と思った瞬間、別の唇で塞がれ、柔らかな舌で口を拓かれ、舐め尽くされ蹂躙された。久しぶりのキスは気持ちよくて、イッちゃいそうになってしまった。脚がガクガクして力が抜けてしまう。

 離れた所から「ひっでー!」という声が聞こえた。がアリスにはまるで聞こえていないようだ。

「帰ろうか?」

 魔王様の笑顔は天使のように愛らしいのに、何故かちょっと怖くて有無言わせない感じだ。でも、私は怖くてもアリスに上目遣いにねだられたら逆らえないし、肯定しかしたことない。でも、言わなくちゃいけないことがある。心臓がバクバクと音をたて、震える唇を開いて告げる。

「私…………エバンのことも好きなの」
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