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39話
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その後、食料や野営に必要な物を購入した。金貨50枚も有るので、ダミーとして同じ様にマントを着せた人物お金を払って雇い、乗り合い馬車に乗せた。
「人のお金そんなに使って良いのか?」
「あの身なりで金貨50枚なんてありえないでしょ?きっと雇い主から貰ったのよ。それに私のアクセサリーも盗られているしね」
私達は帝都に向かう街道を、ひたすら走り続けた。無事街を抜け山を抜けてライ麦畑のある小さな集落に辿り着いた。村の人に馬用の水と牧草を分けて貰い、厩舎で馬を休ませた。私達は木陰で休んで昼食を取ることにした。
「……神桜祭以前のエリカは演技だったのか?」
私は頭を振った。
「こないだまでの愚かな自分も、今の自分も本当の私だよ」
「だからっていきなり変わりすぎだろ?演技だって思うだろ……いやごめん、違う。今まで申し訳なかった。この何日間か一緒にいてそんな奴じゃないってやっとわかったよ」
深く頭を下げた。
「頭を上げてください。今までの私が愚かだったのは理解してる。今まで自分の家柄と容姿に奢っていて、なんの努力も苦労なく生きてきたから、そのツケを今払っているだけの事ですよ」
「二人で無事に帰ろう」
私は殿下の目を見て、”無事に帰れればいい”そう思って頷いて微笑んだ。すると彼は私の手をきつく握った。
「ああ、俺から離れるなよ」
不意に手を握られ意識は手に集中し、ドキドキした。こんなイケメンと手を繋いで、平常心でいられる女子が居るならお会いしたい、女子なら誰でもドキドキしるはず。私はクリフ殿下だとわかっても、好意を持っている事を否定したくて、言い訳を探した。
厩舎に戻ると何だか騒々しい。前方から貴族の馬車が近づいてきた。旗の紋章は斧とオークだ。さっきの街にあった紋章だ。きっとこの土地の領主だろう。村にいた人は道に除けて、地べたに平伏している。どうしよう、殿下こんなことさせられない。私は踵を返して家屋の裏手に周った。然し、時は既に遅し、この熱いのに目深に被ったマントが怪しく、兵士に呼び止められた。
逃げては怪しくので、立ち止まり兵士が来るのを待った。
「マントを取れ!」
私達はゆっくりマントのフードを外した。
「何故逃げようととした?」
「兄は膝が悪く他の村人同様に跪けないのです」
馬車の扉が開いて、おそらく貴族であろう男性が鷹揚に馬車から降りてきた。
「ふぉっふぉっふぉ、よいよい」
肉付きのいい指には、その指よりも大きい宝石が複数嵌っている身なりの良い30代半ばの男性だ。私達に近づくと貴族らしき男性は殿下の前に跪いた。彼はこの地の領主クラウディン伯爵だ。
「殿下、ご無事で」
私達は馬車に案内された。私が殿下と一緒に馬車に乗り込もうすると「貴方は別の馬車に」と言われた。
「私は殿下と離れません」
私がいても出来る事は身を呈して守る事ぐらいなのだが、何も出来なくても無事に帰るまで離れたく無かった。
「一緒に乗れるだろ」
クリフ殿下は手を差し伸べた。
「女のくせに出しゃばるな」
すれ違いざまに、私にだけ聞こえる声で囁いた。えっ!?びっくりしてよろけた私は、クラウディン伯の足を思いっきり踏んづけた。もちろん態とですけど。それを心配して私の手を引き寄せて抱きとめるクリフ殿下。
「大丈夫か?」
「大丈夫です。申し訳ございまいません」
心配そうに聞くから、少し良心が痛んだ。
帝都に向かう馬車に揺られて気がつくと、クリフ殿下の肩を枕に寝ていた。
彼は袖口で私の口を拭いた。心臓が強く跳ねる。2人は視線を交わした。
「涎垂らしてたぞ。あと鼾もかいてた」
「…………そう言うのは心に秘めとくべきだと思います。けどありがとう、一応礼を言っておくわ。借りてばかりではなんだから、寝てないんでしょ?貸してあげるわ」
私は肩に寄りかかられる覚悟を決め、体を固くして膝の上に手を置いた。
「サンキュー」
殿下は私の膝に頭を乗せた。
「えっいや、あの……肩」
「ねむい」
彼はものも5分も経たず内に寝息を立てた。外は気がつくと山間の森の中を走っていた。
「女性が剣などはしたないのではないか?良ければその剣預かりましょうか?」
クラウディン伯は言った。
うっさい!ほっとけ!と内心毒づく。
「剣など使えはしないですが、身を守る物が側に有るのは多少安心を与えてくれます。ですから手放せないのです」
「我が護衛では不足と申し上げているのですか?」
「まさか、とんでもないことでございです。私は臆病ですので、今でも泣き出さんと堪えているんですよ」
馬車を止めて川のそばで、馬を休ませることにした。
「所で、この近くに滝壺がある。水も綺麗だし体の汚れを落としてきてはいかがか?」
確かに、この狭い馬車の中で汗臭いのはいただけない。クラウディン伯の提案に乗ることにした。
「人のお金そんなに使って良いのか?」
「あの身なりで金貨50枚なんてありえないでしょ?きっと雇い主から貰ったのよ。それに私のアクセサリーも盗られているしね」
私達は帝都に向かう街道を、ひたすら走り続けた。無事街を抜け山を抜けてライ麦畑のある小さな集落に辿り着いた。村の人に馬用の水と牧草を分けて貰い、厩舎で馬を休ませた。私達は木陰で休んで昼食を取ることにした。
「……神桜祭以前のエリカは演技だったのか?」
私は頭を振った。
「こないだまでの愚かな自分も、今の自分も本当の私だよ」
「だからっていきなり変わりすぎだろ?演技だって思うだろ……いやごめん、違う。今まで申し訳なかった。この何日間か一緒にいてそんな奴じゃないってやっとわかったよ」
深く頭を下げた。
「頭を上げてください。今までの私が愚かだったのは理解してる。今まで自分の家柄と容姿に奢っていて、なんの努力も苦労なく生きてきたから、そのツケを今払っているだけの事ですよ」
「二人で無事に帰ろう」
私は殿下の目を見て、”無事に帰れればいい”そう思って頷いて微笑んだ。すると彼は私の手をきつく握った。
「ああ、俺から離れるなよ」
不意に手を握られ意識は手に集中し、ドキドキした。こんなイケメンと手を繋いで、平常心でいられる女子が居るならお会いしたい、女子なら誰でもドキドキしるはず。私はクリフ殿下だとわかっても、好意を持っている事を否定したくて、言い訳を探した。
厩舎に戻ると何だか騒々しい。前方から貴族の馬車が近づいてきた。旗の紋章は斧とオークだ。さっきの街にあった紋章だ。きっとこの土地の領主だろう。村にいた人は道に除けて、地べたに平伏している。どうしよう、殿下こんなことさせられない。私は踵を返して家屋の裏手に周った。然し、時は既に遅し、この熱いのに目深に被ったマントが怪しく、兵士に呼び止められた。
逃げては怪しくので、立ち止まり兵士が来るのを待った。
「マントを取れ!」
私達はゆっくりマントのフードを外した。
「何故逃げようととした?」
「兄は膝が悪く他の村人同様に跪けないのです」
馬車の扉が開いて、おそらく貴族であろう男性が鷹揚に馬車から降りてきた。
「ふぉっふぉっふぉ、よいよい」
肉付きのいい指には、その指よりも大きい宝石が複数嵌っている身なりの良い30代半ばの男性だ。私達に近づくと貴族らしき男性は殿下の前に跪いた。彼はこの地の領主クラウディン伯爵だ。
「殿下、ご無事で」
私達は馬車に案内された。私が殿下と一緒に馬車に乗り込もうすると「貴方は別の馬車に」と言われた。
「私は殿下と離れません」
私がいても出来る事は身を呈して守る事ぐらいなのだが、何も出来なくても無事に帰るまで離れたく無かった。
「一緒に乗れるだろ」
クリフ殿下は手を差し伸べた。
「女のくせに出しゃばるな」
すれ違いざまに、私にだけ聞こえる声で囁いた。えっ!?びっくりしてよろけた私は、クラウディン伯の足を思いっきり踏んづけた。もちろん態とですけど。それを心配して私の手を引き寄せて抱きとめるクリフ殿下。
「大丈夫か?」
「大丈夫です。申し訳ございまいません」
心配そうに聞くから、少し良心が痛んだ。
帝都に向かう馬車に揺られて気がつくと、クリフ殿下の肩を枕に寝ていた。
彼は袖口で私の口を拭いた。心臓が強く跳ねる。2人は視線を交わした。
「涎垂らしてたぞ。あと鼾もかいてた」
「…………そう言うのは心に秘めとくべきだと思います。けどありがとう、一応礼を言っておくわ。借りてばかりではなんだから、寝てないんでしょ?貸してあげるわ」
私は肩に寄りかかられる覚悟を決め、体を固くして膝の上に手を置いた。
「サンキュー」
殿下は私の膝に頭を乗せた。
「えっいや、あの……肩」
「ねむい」
彼はものも5分も経たず内に寝息を立てた。外は気がつくと山間の森の中を走っていた。
「女性が剣などはしたないのではないか?良ければその剣預かりましょうか?」
クラウディン伯は言った。
うっさい!ほっとけ!と内心毒づく。
「剣など使えはしないですが、身を守る物が側に有るのは多少安心を与えてくれます。ですから手放せないのです」
「我が護衛では不足と申し上げているのですか?」
「まさか、とんでもないことでございです。私は臆病ですので、今でも泣き出さんと堪えているんですよ」
馬車を止めて川のそばで、馬を休ませることにした。
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