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第1節
1話
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戦争から5年の歳月が流れた。
建物の多くは直されたものの、未だ新たな遺体が発見され続けている。
王城は未だ修理中で、前国王の殺された書斎や王家の居室を含む中央塔は封鎖されている。
国民たちは貧しい生活を送っており、国はどんよりとした空気に包まれていた。
なぜここまで復興が遅れていたのか、それには、四方を山に囲まれた、ソーラティアならではの理由があるのだ。
1つ目に、この国には未だに車や重機などを通すための道路が用意されておらず、隣国へ移動するためには丸一日かけて山を越えるしかないため、建物を修理するのに人力しか方法がなかったこと。
2つ目に、山奥のため雪が多く降り、1年の三分の一近く作業ができなかったこと。
3つ目に、非常時の支援を盛り込んだ条約を結んでいなかったこと。
4つ目に、戦争によって唯一と言っていいほどの産業を破壊され、他国からの支援を募るための材料を持ち合わせていなかったこと。
そして、最後の理由は…
コンコン!コンコン!
東棟の2階の角に作られた“国王仮居室”の扉を、食事をお盆にのせた家臣の一人が何度もノックしていた。
「レーヴァ国王!そろそろ外に出てはいかがですか!?もうしばらくへやにこもりきりではないですか!」
家臣がそう叫ぶが、部屋からは返答どころか、一切の物音すらしない。
家臣は扉を開けようとはしなかった。
だいぶ前から内側に鍵がかかっており、開けることができないのだ。
「…国王、お食事はここに置いていきます。冷めないうちに食べてくださいね。」
そう言って家臣はトレイを廊下の窓の前に置き、そこから立ち去った。
~~~
部屋の中は多少ホコリが残っているものの、ゴミや服は散らかっておらず、軽い掃除ですぐきれいになるような状態だった。
その中で一番キレイだったベッドから顔を出し、部屋の窓から差し込む僅かな光を見つめる一人の青年がいた。
青年は体を起こしベッドから降り、部屋の中をゆっくりと歩き、カーテンを開けた。
「…朝か」
少年は青年になっていた。この青年こそ、第63代国王のレーヴァ・ハスティルムその人である。
レーヴァは窓の反対側にある扉の前へ行き、5つの鍵を開け、少し重い扉を開けた。
レーヴァはすぐさま食事の置かれたおぼんを回収し部屋に戻り、合計6つある鍵のうち3つをロックした。
朝食のメニューはとても硬いパンが一切れ
レーヴァはテーブルでご飯を食べ始めた。
13分後、硬いパンをなんとかして食べたレーヴァは、再度廊下に出てお盆を置き、部屋に戻った。
そして、カーテンを開き、窓を大きく開けた。
そのままの足取りで扉を開け石レンガで作られたバルコニーに出ると、大きく深呼吸し、軽い運動を始めた。
レーヴァは部屋に引きこもってはいたものの、
窓を開けたりバルコニーに出て適度な運動をしたり、と、ある程度健康的な生活を送っていた。
ただ、部屋の外に出ていないだけなのである。
「ふう…今日も始めるか。」
そう言ってレーヴァは部屋から模擬剣を取ってきて、軽い素振りを始めた。
基本的な構えから実践的な斬撃の練習、自身の身体能力も加味した上での訓練も行った。
50分ほど経ったところで、レーヴァはあるものを見つけた。
東棟から見える位置にある正門で、何やら言い合いをしているように見える兵士と一人の男の姿を。
「なんだあの人…?来訪者…のようには見えないけど…」
ここからでは声までは聞こえないが、姿ははっきりと見ることができた。
「!もしかして!?」
レーヴァはその男の姿を見て驚愕した。
そして、急いで外に出れるような服装に着替えたあと、大急ぎで正門へ走り出した。
階段は段差など気にせず、持ち前の身体能力で飛び降り、
できるだけ足を止めないよう、人の多い通路を使わないよう多少遠回りし、
曲がり角は手すりを強く握ってジャンプし旋回、ほとんどノーブレーキで走り続けた。
「!国王!?何故そこまでお急ぎで…!?」
「国王が部屋の外に出てらっしゃる…!」
「このあたりで国王を見るのは半年ぶりくらいか…!?」
家臣や使用人たちは騒いでいたが、レーヴァはそれを気にせず走り続けた。
「帰ってきた…約束通り帰ってきてくれた…!」
かつて、王子としての立場上あまり外の世界を見ることができなかった自分に、その景色を小説にして見せてくれた青年。
レーヴァは建物の扉を開け、大急ぎで門まで走る。
そして、母は幼い頃に亡くなり、父は王の仕事で忙しくほとんど会うことができない彼にとっての、たった一人の家族であり、たった一人の相棒。
レーヴァはその青年の名を呼ぶ。
「待っててくれ…今迎えに行くから…ゼヌアス!」
==========================
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
こんなテンションで書き進めますので、今後もよろしくおねがいします。
建物の多くは直されたものの、未だ新たな遺体が発見され続けている。
王城は未だ修理中で、前国王の殺された書斎や王家の居室を含む中央塔は封鎖されている。
国民たちは貧しい生活を送っており、国はどんよりとした空気に包まれていた。
なぜここまで復興が遅れていたのか、それには、四方を山に囲まれた、ソーラティアならではの理由があるのだ。
1つ目に、この国には未だに車や重機などを通すための道路が用意されておらず、隣国へ移動するためには丸一日かけて山を越えるしかないため、建物を修理するのに人力しか方法がなかったこと。
2つ目に、山奥のため雪が多く降り、1年の三分の一近く作業ができなかったこと。
3つ目に、非常時の支援を盛り込んだ条約を結んでいなかったこと。
4つ目に、戦争によって唯一と言っていいほどの産業を破壊され、他国からの支援を募るための材料を持ち合わせていなかったこと。
そして、最後の理由は…
コンコン!コンコン!
東棟の2階の角に作られた“国王仮居室”の扉を、食事をお盆にのせた家臣の一人が何度もノックしていた。
「レーヴァ国王!そろそろ外に出てはいかがですか!?もうしばらくへやにこもりきりではないですか!」
家臣がそう叫ぶが、部屋からは返答どころか、一切の物音すらしない。
家臣は扉を開けようとはしなかった。
だいぶ前から内側に鍵がかかっており、開けることができないのだ。
「…国王、お食事はここに置いていきます。冷めないうちに食べてくださいね。」
そう言って家臣はトレイを廊下の窓の前に置き、そこから立ち去った。
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部屋の中は多少ホコリが残っているものの、ゴミや服は散らかっておらず、軽い掃除ですぐきれいになるような状態だった。
その中で一番キレイだったベッドから顔を出し、部屋の窓から差し込む僅かな光を見つめる一人の青年がいた。
青年は体を起こしベッドから降り、部屋の中をゆっくりと歩き、カーテンを開けた。
「…朝か」
少年は青年になっていた。この青年こそ、第63代国王のレーヴァ・ハスティルムその人である。
レーヴァは窓の反対側にある扉の前へ行き、5つの鍵を開け、少し重い扉を開けた。
レーヴァはすぐさま食事の置かれたおぼんを回収し部屋に戻り、合計6つある鍵のうち3つをロックした。
朝食のメニューはとても硬いパンが一切れ
レーヴァはテーブルでご飯を食べ始めた。
13分後、硬いパンをなんとかして食べたレーヴァは、再度廊下に出てお盆を置き、部屋に戻った。
そして、カーテンを開き、窓を大きく開けた。
そのままの足取りで扉を開け石レンガで作られたバルコニーに出ると、大きく深呼吸し、軽い運動を始めた。
レーヴァは部屋に引きこもってはいたものの、
窓を開けたりバルコニーに出て適度な運動をしたり、と、ある程度健康的な生活を送っていた。
ただ、部屋の外に出ていないだけなのである。
「ふう…今日も始めるか。」
そう言ってレーヴァは部屋から模擬剣を取ってきて、軽い素振りを始めた。
基本的な構えから実践的な斬撃の練習、自身の身体能力も加味した上での訓練も行った。
50分ほど経ったところで、レーヴァはあるものを見つけた。
東棟から見える位置にある正門で、何やら言い合いをしているように見える兵士と一人の男の姿を。
「なんだあの人…?来訪者…のようには見えないけど…」
ここからでは声までは聞こえないが、姿ははっきりと見ることができた。
「!もしかして!?」
レーヴァはその男の姿を見て驚愕した。
そして、急いで外に出れるような服装に着替えたあと、大急ぎで正門へ走り出した。
階段は段差など気にせず、持ち前の身体能力で飛び降り、
できるだけ足を止めないよう、人の多い通路を使わないよう多少遠回りし、
曲がり角は手すりを強く握ってジャンプし旋回、ほとんどノーブレーキで走り続けた。
「!国王!?何故そこまでお急ぎで…!?」
「国王が部屋の外に出てらっしゃる…!」
「このあたりで国王を見るのは半年ぶりくらいか…!?」
家臣や使用人たちは騒いでいたが、レーヴァはそれを気にせず走り続けた。
「帰ってきた…約束通り帰ってきてくれた…!」
かつて、王子としての立場上あまり外の世界を見ることができなかった自分に、その景色を小説にして見せてくれた青年。
レーヴァは建物の扉を開け、大急ぎで門まで走る。
そして、母は幼い頃に亡くなり、父は王の仕事で忙しくほとんど会うことができない彼にとっての、たった一人の家族であり、たった一人の相棒。
レーヴァはその青年の名を呼ぶ。
「待っててくれ…今迎えに行くから…ゼヌアス!」
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こんなテンションで書き進めますので、今後もよろしくおねがいします。
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