御伽の国の聖女様! 婚約破棄するというので、聖女の力で結界を吸収してやりました。精々頑張ってください、私はもふもふと暮らします

地鶏

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二章 御伽の国

47 魔王、召喚!

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 すっかり雪がとけました。農作業も始まり、堕天使の3人も覚束無い手つきで手伝っているようですね。

 あ、この前のカレーという食べ物は、とっても美味しかったです。

 ただ、匂いでほかの家から苦情が来たのと、食べさせて欲しいという要望があったので魔界との取り引き品に追加しておきました。

 王も手は出してこないですし、勇者も吹き飛ばしましたから、すっかり平和……という訳にも行かないようです。

 私は家でゆっくりするつもりだったんですが、ルールーとシルフィに呼び出されました。

「単刀直入に言いますと、この村は独立しないといけません」
「独立、ですか?」
「はい。この村は一応王国の領地内にあります。付近にはろくな開拓村もありませんが、それでも領地であることに変わりはないのです。そして、領地の中にあり、独立していないのであれば王国に属しているということになってしまいます」

 むむむ、王国に属すのは嫌ですね。気分的にもですし、納税の義務などが面倒です。

「なら、独立しましょう!」

 簡単にはできなさそうです。ただ、人口も増えてきていますし、取引を行うならちゃんとした独立を行うのがいいのでしょう。

「独立自体は簡単ですよ? ただ、宣言すればいいだけです」
「え、そんな簡単に行くものですか?」

 ルールーが言うんだから本当なんでしょうが、宣言するだけとは……。

「王国の歴史、覚えてますか?」
「……大陸を支配する大国で起きた内乱の末できた国のひとつでしたか?」
 
 たしか、そんな感じでした。

「その時も、この国は独立するって宣言しただけですよ。問題は、他の国がその宣言をどうするかです。反対するのか、賛成するのか、無視するのか」

 反対した場合は、内乱や戦争になるわけですか。出来れば全ての周辺国に無視してもらうか、取引を考えると賛成して欲しいところです。

「王国は反対するでしょうね」
「マーガレット様の話だと、王は巨大な鳥に食べられたのでは?」
「死んでは無いと思いますよ。王には加護がありますし……」

 問題は王以外ですよ。バカ王子とか、王を信奉する貴族たちとか。

「王国領土を奪うな! って戦争をしかけてきてもおかしくありません」
「防ぐ手立てとしては、後ろ盾を得ることですね」

 はぁ、なんか政治的でややこしくなってきました。

 わかりやすく、シンプルに行きましょう。

「召喚!」
「え?」
「ま、魔王様?!」

 はい、魔王さんを召喚しました。丁度休憩時間だったみたいでした。

「マーガレットさん? ここはノアか?! 召喚されたの俺?!」
「そうです。あの、ノアの後ろ盾になってくれませんか?」
「その前に言うことがあると思うのだが?」

 え? あぁ!

「休憩中に仕事をしてもらうのも申し訳ないですね。シルフィ、お茶をお出ししてください」
「違う違う違う、そこじゃない! なぜ俺を召喚できたんだ?! 魔王城には魔法を阻害する防壁があるはず!」

 あぁ、ちょっと召喚時に手こずりましたね。ただ、力技でどうにかしました。

「突破しました」
「国家侵略なのだが……」

 大袈裟ですね魔王さん。というか、興奮してるせいか、人見知りの魔王さんは普通に喋れてますね。

「はぁ、言っても無駄か。それで、後ろ盾と言ったか? どういうことだ?」

 ルールーが話を整理して魔王さんに伝えてくれます。私はその間……あ、シルフィ、お茶をありがとうございます。もらいますね。

 ……美味しいですね。シルフィ、お茶を入れるのが上手です。

「なるほど、独立したいと。それで魔王国に後ろ盾になってくれないかという事だな」
「その通りです」
「別に構わないが……致命的な問題があるぞ」

 致命的な問題? そんなのありますか?

「俺、人類の敵だが?」
「……」
「……」
「……」

 そうでした。魔王さんは人類の敵でしたね。悪魔に慣れすぎて頭から抜けおちてました。

 うーん……そうなると後ろ盾を作る計画は無くなってしまいます。

「そもそも、後ろ盾以外の手段を考えるべきではないか?」
「後ろ盾以外と言うと?」
「要は周辺諸国に手を出されない理由を作ればいいのだ。簡単なのは強さを示すこと。戦争に勝つのでもいいし、強大な魔物を倒すのでもいい」
 
 なるほど、さすがは魔王さんですね。

「この前の勇者との戦いや天使との戦いを喧伝するのは?」
「王国が隠蔽しているのでは? それに、あまり信じて貰えない気が……」
「むむむ、難しいですね」

 ですが、なにかしらこの村が独立できるだけの力を示さなきゃ行けません。

 何か考えないと行けませんね……。
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