21 / 72
二章 御伽の国
51 オリハルコンとヒヒイロカネ
「なるほど。黒ドワーフは帝国の中でのドワーフの権力を維持したい種族で、白ドワーフは権力に興味がない種族ってことでいいですか?」
「うむ」
「相違ない」
それぞれのドワーフの代表者に話を聞いていますが、二回ボコボコにされたせいかすごく大人しいです。
一回目は村のみんなに、二回目はここに連れてこられた時に私に攻撃してきたタイミングですね。傍にいたアーさんとフェンにボコボコにされてました。
この黒ドワーフと白ドワーフですが、権力に対しての意見は違えど、鍛冶師としての誇りと、金属に対する興味は同じらしく、喧嘩しながらヒヒイロカネとオリハルコンを求めてここまで来たそうです。
「儂ら白ドワーフはただヒヒイロカネとオリハルコンを打たせて欲しいだけだ」
「儂ら黒ドワーフも打たせて欲しいが、帝国以外でそれを行ってしまえば帝国内でのドワーフの権力が無くなってしまう」
ヒヒイロカネやオリハルコンを打てる鍛冶師のほとんどがドワーフですものね。帝国が権力を与えているのも納得です。
「えーと、この村で、この村のために武器や防具を作ってくれるなら構いませんよ。しっかり働いてくれるなら多少持ち帰ることも許しますし、滞在中は食事と宿も提供します」
「本当か?! それは嬉しい限りだ。よろしく頼む」
白ドワーフの人はすぐに頭を下げて、こちらの提案を受けてくれます。
「ぐぬぬ……儂らもやりたい。やりたいが……帝国内での権力が……」
黒ドワーフはかなり悩んでますね。
しばらく悩む様子を見せたところで、何かを思いついたように黒ドワーフは顔を上げます。
「そうだ、《神々の炎》がないだろう! あれがなければオリハルコンやヒヒイロカネのような金属は打てない!」
神々の炎? なんですかそれ。アーさん知ってます?
知らないみたいです。
「《神々の炎》というのは天界に存在すると言われる消えない炎のことだ。帝国にはあるが、なにせ秘宝と呼ばれるものだからな……」
残念ながら、この村にはその《神々の炎》というものはありません。
「やはり、ないのだろう! では、帝国に持ち帰って作るしかなーー何してる?」
天界にあるって聞いたので、天界のことをよく知ってる人を呼んでます。
「……なんだよ」
鳥の天使、アラエルさんです。私には冷たいですが、アーさんがいるからか渋々答えてくれます。
「《神々の炎》? これのことか?」
アラエルさんの手元には白い炎が浮かんでいます。
ドワーフさんたちは顎が外れるんじゃないかと言うほど、いいリアクションを見せてくれていますね。
「これがどうしたんだ?」
「鍛冶で使いたいんですけど、大丈夫ですか?」
「……こんなものでいいなら勝手にしろよ」
そういってアラエルさんは火をアーさんに投げつけて去っていきます。ありがとうございます、アラエルさん。
「はい。あと必要なものはありますか?」
「……な、ないはずだ」
白ドワーフさんが何とか正気を取り戻して答えてくれました。
「黒ドワーフさん、まだ文句がありますか?」
「……」
返事がありません。あまりの衝撃に意識が戻らないみたいです。
どうしようかと迷っていると、白ドワーフさんが黒ドワーフさんの頭を掴んで床に叩きつけます。そさて自分も頭を下げました。
すごい音がしましたが大丈夫ですか?
「すまんかった。儂らはただヒヒイロカネとオリハルコンを打たせて頂きたいだけ。こやつらにも文句は言わせん。どうか、受け入れて欲しい」
白ドワーフさんが代表して場をまとめようとしてくれています。
「……わかりました。大丈夫ですよ。あ、ただ村の鍛冶師にも色々教えてあげて欲しいのと、見学希望者は受け入れてください」
ドワーフがいなくとも、この村てオリハルコンやヒヒイロカネを扱えるのが理想的ですからね。これでも、ちゃんと村のことは考えているのです。
ドワーフさんたちのこれからの作業場や、衣食住に関しては文官勢に任せました。暴れると困るのアーさんとアラエルさんに監視をお願いしました。
これで金属問題は解決です。
あとは完成を待ちましょう。武器や防具ができる頃には攻略メンバーの訓練も進んでいるはずです。
村に来た時はかなり物騒な展開になりましたが、ドワーフたちは鍛治師としてはとても優秀みたいですし、性格も細かいことを気にしないので、3日も経つ頃には村人たちに馴染んでいました。
お酒の消費量が凄まじいですが……これはどうにかしないと行けません。
作業は順調に進んでいるみたいで、残り1週間ほどで出来るはずです。
どんな性能の武器や防具ができるのか楽しみですね。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
予定より少し遅くなったそうですが、武器と防具が完成したみたいです。
作業場に向かいましょう……あれ? なんかすごい大きな建物が見えるんですけど、作業場があった場所って確かあそこでしたよね?
「おお、マーガレットのお嬢。来たか」
「白ドワーフさん。ここ、どうしたんです?」
「狭かったんでな。少し弄らせてもらった」
少し? 簡易的な屋根しかない作業場だったのに、工房になってますね。炉も増えてますし。
中に入ってみると、黒ドワーフも白ドワーフも関係なく完成品の調整をしてるようです。
初日の仲の悪さはどこへいったんでしょう……。
「硬さが売りのオリハルコンは防具に、しなやかな強さを持ったヒヒイロカネは武器にした。いま、試してもらいながら最終調整を行っている」
外では攻略メンバーがそれぞれの武器を試していますね。
アダムは特に近接戦闘はしないので武器を持ってはいません。目立つのはヤニムの剣と、バレンタインの槍ですね。
「ヤニム、新しい武器はどうですか?」
「すげぇ手に馴染みます。だけど木の的だと簡単に斬れるから切れ味がよく分からなくて」
そういってヤニムが木の的に剣を当てると、なんの抵抗もなくするするっと木の的が切れていきます。
切れ味、良すぎません? うっかり落としたりしたら大惨事になりそうです。
「的……じゃあ、これなんかどうです?」
爆会祭で使ったバカ王子の像を出します。これなら試し斬りに申し分ない硬さのはずです。
「いや……これは無理じゃないですか?」
「やってみないとわかりませんよヤニム、さぁ、切れ味を見せてください」
ヒヒイロカネという半ば伝説の金属を使った武器がどれほどの力を持っているのか、気になります。
「よーし……やってやるぜ」
ヤニムが剣を構えます。訓練の成果なのか、隙がない構えですね。ただ、戦い方の問題なのか、性格の問題なのか、どんな方向から攻撃が来ても逃げれるような構えです。
「はっ!」
ヤニムが短く声を発して、剣を振り抜きます。
おお、ヒヒイロカネの剣はあれだけ爆会で硬さを証明したバカ王子の像に、はっきりと一本の傷を残しました。
「まじかよ……すげぇ! どうなってんだこの剣!」
ヤニムがかなり興奮してます。そしてみんなも続々とバカ王子の像を的にして試し斬りしてますね。
うんうん、どの武器もいい切れ味ですね。ドワーフ達はいい仕事をしてくれました。
「防具はこれですね」
次は防具を試しましょう。とりあえず、軽く攻撃してみましょうか。
軽く身体強化をかけて殴ってみます。
えい。
「……手が痛いです」
「ガハハ、そりゃそうだ」
けど、私が殴っても大丈夫なら、強度的に問題はありませんね。
ドワーフさん、いい仕事です。
「うむ」
「相違ない」
それぞれのドワーフの代表者に話を聞いていますが、二回ボコボコにされたせいかすごく大人しいです。
一回目は村のみんなに、二回目はここに連れてこられた時に私に攻撃してきたタイミングですね。傍にいたアーさんとフェンにボコボコにされてました。
この黒ドワーフと白ドワーフですが、権力に対しての意見は違えど、鍛冶師としての誇りと、金属に対する興味は同じらしく、喧嘩しながらヒヒイロカネとオリハルコンを求めてここまで来たそうです。
「儂ら白ドワーフはただヒヒイロカネとオリハルコンを打たせて欲しいだけだ」
「儂ら黒ドワーフも打たせて欲しいが、帝国以外でそれを行ってしまえば帝国内でのドワーフの権力が無くなってしまう」
ヒヒイロカネやオリハルコンを打てる鍛冶師のほとんどがドワーフですものね。帝国が権力を与えているのも納得です。
「えーと、この村で、この村のために武器や防具を作ってくれるなら構いませんよ。しっかり働いてくれるなら多少持ち帰ることも許しますし、滞在中は食事と宿も提供します」
「本当か?! それは嬉しい限りだ。よろしく頼む」
白ドワーフの人はすぐに頭を下げて、こちらの提案を受けてくれます。
「ぐぬぬ……儂らもやりたい。やりたいが……帝国内での権力が……」
黒ドワーフはかなり悩んでますね。
しばらく悩む様子を見せたところで、何かを思いついたように黒ドワーフは顔を上げます。
「そうだ、《神々の炎》がないだろう! あれがなければオリハルコンやヒヒイロカネのような金属は打てない!」
神々の炎? なんですかそれ。アーさん知ってます?
知らないみたいです。
「《神々の炎》というのは天界に存在すると言われる消えない炎のことだ。帝国にはあるが、なにせ秘宝と呼ばれるものだからな……」
残念ながら、この村にはその《神々の炎》というものはありません。
「やはり、ないのだろう! では、帝国に持ち帰って作るしかなーー何してる?」
天界にあるって聞いたので、天界のことをよく知ってる人を呼んでます。
「……なんだよ」
鳥の天使、アラエルさんです。私には冷たいですが、アーさんがいるからか渋々答えてくれます。
「《神々の炎》? これのことか?」
アラエルさんの手元には白い炎が浮かんでいます。
ドワーフさんたちは顎が外れるんじゃないかと言うほど、いいリアクションを見せてくれていますね。
「これがどうしたんだ?」
「鍛冶で使いたいんですけど、大丈夫ですか?」
「……こんなものでいいなら勝手にしろよ」
そういってアラエルさんは火をアーさんに投げつけて去っていきます。ありがとうございます、アラエルさん。
「はい。あと必要なものはありますか?」
「……な、ないはずだ」
白ドワーフさんが何とか正気を取り戻して答えてくれました。
「黒ドワーフさん、まだ文句がありますか?」
「……」
返事がありません。あまりの衝撃に意識が戻らないみたいです。
どうしようかと迷っていると、白ドワーフさんが黒ドワーフさんの頭を掴んで床に叩きつけます。そさて自分も頭を下げました。
すごい音がしましたが大丈夫ですか?
「すまんかった。儂らはただヒヒイロカネとオリハルコンを打たせて頂きたいだけ。こやつらにも文句は言わせん。どうか、受け入れて欲しい」
白ドワーフさんが代表して場をまとめようとしてくれています。
「……わかりました。大丈夫ですよ。あ、ただ村の鍛冶師にも色々教えてあげて欲しいのと、見学希望者は受け入れてください」
ドワーフがいなくとも、この村てオリハルコンやヒヒイロカネを扱えるのが理想的ですからね。これでも、ちゃんと村のことは考えているのです。
ドワーフさんたちのこれからの作業場や、衣食住に関しては文官勢に任せました。暴れると困るのアーさんとアラエルさんに監視をお願いしました。
これで金属問題は解決です。
あとは完成を待ちましょう。武器や防具ができる頃には攻略メンバーの訓練も進んでいるはずです。
村に来た時はかなり物騒な展開になりましたが、ドワーフたちは鍛治師としてはとても優秀みたいですし、性格も細かいことを気にしないので、3日も経つ頃には村人たちに馴染んでいました。
お酒の消費量が凄まじいですが……これはどうにかしないと行けません。
作業は順調に進んでいるみたいで、残り1週間ほどで出来るはずです。
どんな性能の武器や防具ができるのか楽しみですね。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
予定より少し遅くなったそうですが、武器と防具が完成したみたいです。
作業場に向かいましょう……あれ? なんかすごい大きな建物が見えるんですけど、作業場があった場所って確かあそこでしたよね?
「おお、マーガレットのお嬢。来たか」
「白ドワーフさん。ここ、どうしたんです?」
「狭かったんでな。少し弄らせてもらった」
少し? 簡易的な屋根しかない作業場だったのに、工房になってますね。炉も増えてますし。
中に入ってみると、黒ドワーフも白ドワーフも関係なく完成品の調整をしてるようです。
初日の仲の悪さはどこへいったんでしょう……。
「硬さが売りのオリハルコンは防具に、しなやかな強さを持ったヒヒイロカネは武器にした。いま、試してもらいながら最終調整を行っている」
外では攻略メンバーがそれぞれの武器を試していますね。
アダムは特に近接戦闘はしないので武器を持ってはいません。目立つのはヤニムの剣と、バレンタインの槍ですね。
「ヤニム、新しい武器はどうですか?」
「すげぇ手に馴染みます。だけど木の的だと簡単に斬れるから切れ味がよく分からなくて」
そういってヤニムが木の的に剣を当てると、なんの抵抗もなくするするっと木の的が切れていきます。
切れ味、良すぎません? うっかり落としたりしたら大惨事になりそうです。
「的……じゃあ、これなんかどうです?」
爆会祭で使ったバカ王子の像を出します。これなら試し斬りに申し分ない硬さのはずです。
「いや……これは無理じゃないですか?」
「やってみないとわかりませんよヤニム、さぁ、切れ味を見せてください」
ヒヒイロカネという半ば伝説の金属を使った武器がどれほどの力を持っているのか、気になります。
「よーし……やってやるぜ」
ヤニムが剣を構えます。訓練の成果なのか、隙がない構えですね。ただ、戦い方の問題なのか、性格の問題なのか、どんな方向から攻撃が来ても逃げれるような構えです。
「はっ!」
ヤニムが短く声を発して、剣を振り抜きます。
おお、ヒヒイロカネの剣はあれだけ爆会で硬さを証明したバカ王子の像に、はっきりと一本の傷を残しました。
「まじかよ……すげぇ! どうなってんだこの剣!」
ヤニムがかなり興奮してます。そしてみんなも続々とバカ王子の像を的にして試し斬りしてますね。
うんうん、どの武器もいい切れ味ですね。ドワーフ達はいい仕事をしてくれました。
「防具はこれですね」
次は防具を試しましょう。とりあえず、軽く攻撃してみましょうか。
軽く身体強化をかけて殴ってみます。
えい。
「……手が痛いです」
「ガハハ、そりゃそうだ」
けど、私が殴っても大丈夫なら、強度的に問題はありませんね。
ドワーフさん、いい仕事です。
あなたにおすすめの小説
「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。
しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
「君は完璧だから、放っておいても大丈夫」と笑った夫。~王宮から私が去ったあと「愛していた」と泣きついても、もう手遅れです~
水上
恋愛
「君は完璧だから、放っておいても大丈夫だ」
夫である王太子はそう笑い、泣き真似が得意な見習い令嬢ばかりを優先した。
王太子妃セシリアは、怒り狂うこともなく、静かに心を閉ざす。
「左様でございますか」
彼女は夫への期待というノイズを遮断し、離縁の準備を始めた。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。