御伽の国の聖女様! 婚約破棄するというので、聖女の力で結界を吸収してやりました。精々頑張ってください、私はもふもふと暮らします

地鶏

文字の大きさ
26 / 72
二章 御伽の国

56 お手伝いです

しおりを挟む
 ダンジョンの攻略が終わってから、村に冒険者ブームが訪れています。

 大人は自分で責任を負えるので自由にしていますが、子供は親の許可と、私の許可、そしてギルドからの許可を得る必要があります。

 子供からは不評ですが、安全を考えると仕方の無いことです。

 独立の話はかなりまとまってきていて、セレモニーと共に他国の代表を招いて大体的に独立を宣言する方向になりました。

 独立するということは、小さくとも国という形をとることになります。そうなると、私が女王ということになります……。

 あんまり乗り気では無いですが、私以外の人がやると余計に問題が起こりそうなので諦めて受け入れましょう。形式的なものだと思いますし。

 そして、今はみんなでセレモニーの内容を話し合っています。各種族の代表や、文官勢が同席しています。

 まずは私。あと魔狼代表のフェン、悪魔代表のアーさん、エルフ代表のシルフィ、人間代表のルールーとナオキ、魔族としてバレンタイン、黒ドワーフと白ドワーフの代表が1人ずつ、堕天使の代表として、鳥の堕天使アラエルさん、あとはお客様代表としてマトン君ですね。

「セレモニー、なにか案はありますか?」
「各国の代表が来る訳ですし、誰が見ても楽しめるものがいいのでは?」
 
 そうですね、ルールー。爆会祭はある程度魔法に対しての知識がないとあまり楽しめませんから、もっと分かりやすいのがいいでしょう。

「じゃあ、武闘会はどうだ? 見ててわかりやすいぞ!」

 バレンタインの意見も悪くないとは思います。村の中の強さの序列にも、少し興味がありましたし。個人的に気になるところです。

 最強は私ですけどね。そこは譲りません。

「確かに……力を示すこともできます。私もバレンタインの意見に賛成します」
「シルフィも賛成ですか。他の方はどうです?」

 現実的な考え方をするシルフィが賛成するのならば、武闘会をするのも悪くないのでしょう。

「我は主に従う。だが、武闘会は面白そうだ」
「悪魔族としても賛成だ。個人的にも、武闘会は興味がある」

 アーさんもフェンも、そっけなく言っていますがかなりやる気になってますね。

「お前が出るなら文句はねぇ。堕天使の枠も用意して欲しい」
「負けたことを忘れたのか? アラエル」
「はぁ? 今度こそぶちのめしてやるよ、悪魔が」

 アラエルはアーさんにリベンジマッチを仕掛けたいんですね。他に文句がある種族も居ないみたいで、みんな武闘会に賛成のようです。

「よし、じゃあ……やりますか。武闘会!」

 ちょっと忙しくなりますが、みんなで頑張って準備しましょう!


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 武闘会の準備のため、みんなが忙しなく動いています。私も手伝いますが、魔法でやりすぎるとみんなの仕事を奪ってしまうので、色々なところを回りつつちょこちょこ作業をしましょう。

 さぁ、どこに行きましょうか……あれは、ブッチャー団の人たちですね。たしか担当は対戦を行う場所の設営でしたか。

 石を切り出してきて、敷き詰めていく作業です。すっかり上手くなった魔法を使いながら、順調に進んでいるみたいですね。

「順調そうですね、金髪」
「あ、聖女じゃねぇか。おれは金髪じゃなくてブッチャーって名前があるんだよ。なんかい言えばわかんだ……」

 多分、何度言われても金髪呼びは変わりません。

「困ってることはありませんか?」
「あー、作業は問題ないんだけど、気になることはある」
「気になること?」

 金髪は作りかけの会場に向かっていきます。そして、体に魔力をめぐらせて強化し、思いっきり踏み抜きました。

「なるほど。問題は強度ですか」
「そーなんだよ。俺がやっても割れちまうのは問題だろ? この村、化け物しかいないし」
 
 失礼ですねぇ。自分も簡単に石を踏み割っているのに。

「化け物かどうかはおいておいて、確かにこの強度は問題がありますね」

 軽く身体強化をかけて叩いただけで、ヒビが入ってしまいました。これだと、武闘会当日は一瞬で会場が壊れます。

 軽く魔法で石材を強化しましょうか。そうですねー、爆会祭で作った馬鹿王子の像と同じくらいにしましょう。

「これでもう一回やってみてください」
「お? 魔法で強化したのかよ。どれどれ……よっ!」

 金髪が思いっきり石を踏みぬこうとしますが、さすがにビクともしません。

 なんなら、反動で足を痛めたのか金髪が声にならない声を上げて悶絶してます。大丈夫ですか?

「硬くしすぎだろ! 俺の足が壊れたらどうすんだよ!」
「怪我したら治しますよ」

 治す魔法はちゃんと知ってます。大丈夫ですよ金髪。

「そういう問題かよ」
「強度的には大丈夫ですか?」
「これを踏み抜けるやつはこの村にもいないだろ……」
「じゃあ、切り出してるやつは魔法かけておきますね。残りは後でまた来た時に」

 頑張ってください金髪。応援してますよ。

 次は誰のところに行きましょうか……あ、あそこなんか揉めてますね。

 堕天使ソロネとバレンタインが揉めてます。あの二人の担当は確か……武闘会の対戦組み合わせを決める係でしたね。

「だーかーら! バトルロワイヤルがいいっていってるじゃんか!」
「それでは公平性が保てません。くじ引きでのトーナメントにするべきでしょう」
「それじゃあ派手さが足りないだろ!」
「派手さよりも見やすさ、公平性を保つべきでしょう。なんですか? 頭の中まで脳筋になったのですか?」
「は?」

 あ、喧嘩が始まりそうです。あのふたり、最初の出会いが戦いだったので、常にピリピリしてます。

 ただ……ソロネはバレンタインに泣かされたことで堕天したので、喧嘩が始まると大抵の場合は……。

「泣かされたいのか?」
「……そんなわけないでしょう。あなたこそ、やる気ですか?」

 口では強気ですが、泣きそうになってますね、ソロネ。

「はいはい、喧嘩はダメですよ」
「あ、マーガレット。なぁ、トーナメントとバトルロワイヤル、どっちがいいと思う?」

「そうですねー。初めての武闘会ですし、怪我人が多発するのもよくないので、危険が多くて来賓が見ずらいバトルロワイヤルよりも、トーナメントの方がいいと思います」
「……マーガレットがそう言うなら、トーナメントにする」

 ありがとうございます、バレンタイン。ただ、それだとソロネが可哀想なのでちゃんと二人で話しあって決めてくださいね。

 私が言ったからといって、すぐさま決定するのはよくありません。ちゃんと自分で考えることが大切なのです。

 誰かの受け売りですけどね。私もできてないことが多いですし。

 さ、次はどこを手伝いましょうか。
しおりを挟む
感想 65

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。

猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。 復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。 やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、 勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。 過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。 魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、 四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。 輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。 けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、 やがて――“本当の自分”を見つけていく――。 そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。 ※本作の章構成:  第一章:アカデミー&聖女覚醒編  第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編  第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編 ※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位) ※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

悪役令嬢は手加減無しに復讐する

田舎の沼
恋愛
公爵令嬢イザベラ・フォックストーンは、王太子アレクサンドルの婚約者として完璧な人生を送っていたはずだった。しかし、華やかな誕生日パーティーで突然の婚約破棄を宣告される。 理由は、聖女の力を持つ男爵令嬢エマ・リンドンへの愛。イザベラは「嫉妬深く陰険な悪役令嬢」として糾弾され、名誉を失う。 婚約破棄をされたことで彼女の心の中で何かが弾けた。彼女の心に燃え上がるのは、容赦のない復讐の炎。フォックストーン家の膨大なネットワークと経済力を武器に、裏切り者たちを次々と追い詰めていく。アレクサンドルとエマの秘密を暴き、貴族社会を揺るがす陰謀を巡らせ、手加減なしの報復を繰り広げる。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。