いいんだよ

歌華

文字の大きさ
8 / 13

不理解な人間

しおりを挟む
「眠れない」
昨日、確か夜の十時頃に寝る前の薬を飲んで床に入った。薬はすぐには効いてこないのは分かっていたが状態を横にすることで寝る心持ちになるのではないかと思い横になるものの一時間、二時間全く眠気が来ない。仕方なく追加で飲む薬を服薬をする。するとやっとウトウトと眠気をゆっくり近付いて来る。そしてタイミング良く目を閉じてなにも考えない。すると眠りに落ちた。
「!」
しばらく寝ると目を覚まし。後はもう眠気は来なかった。時計はちょうど朝の四時
「はえーよ」
うんざりした。

***

朝。バタバタと家の中に音が目覚め咲愛の足を引き吊って歩く音がする。これが六時頃。杏子の走る音がして咲愛と会話する音がする。これも六時を少し廻ったところだ。ドスドス大きな太い足音が聞こえてくる。これは昌太郎の足音だ。これは六時半頃。琉生が朝ずっとベッドに横になり耳を澄ませていると聴こえる足音三重奏に慣れてきたなぁなんて思って真っ白の天井を見上げている。
「まぁ・・・・・・一応朝には起きているけど、もう少し寝たいよなぁ」
そして体を起こすと体が感じる倦怠感。それは常軌じょうきを逸しており、今までにどんなに疲れても感じなかった倦怠感が毎日のように体を襲うまるで体が岩みたいで重く。動かない。やっと朝トイレに行きダイニングに行く頃には杏子も昌太郎も家を出た後だった。
「琉生、大丈夫?」
「なんか倦怠感凄くて。起きれなくてごめん」
「ご飯食べれそう?」
「それは食べるよ」
「じゃ、卵焼くから座って待ってて?」
「ありがとう」

***

やっとこさ起き。朝食を食べ終わると、薬を飲んでまたベッドに倒れ込む。そのまま薬の副作用なのか?眠りに落ちて目が覚めると昼を過ぎている。このままではダメだと思い。何かしないとと勉強机に向かい遅れている勉強をしようとノートを開く。
半刻もしない内に頭がぐらぐらしてきて吐き気が襲ってくる。ガタガタと震えてきて冷や汗をだらだらと掻き断念する。そしてまたベッドに戻る。
すると心がざわざわして心に汗を掻く感覚が迫ってくるドッドッドと心臓の音が耳で聴こえるようになるほど心音を感じてどうしようと焦る。
「琉生?大丈夫?」
余りにも静かだと咲愛が定期的にノックをして来るようになって。うるさい!って思うときもあるけど。
「大丈夫じゃない・・・・・・なんか苦しい」
小さな声で反応する
「入るわよ?」
「うん」
ガチャリとドアを開けて入ってくる咲愛が壁とベッドの縁でうずくまる、琉生を見て一旦部屋を出てコップに水を汲んで持ってくる。
「不安な時に飲む薬飲みなさい!」
「う、うん」
蚊の鳴くような声で返事をして薬を服薬する。咲愛は同じベッドに座り様子を看ておく。その間ずっと背中をさすっている
「大丈夫よ、大丈夫」
「・・・・・・」
暫くすると顔色が元に戻り。少し落ち着いたような顔つきになる。
「ごめん。母さん、俺ダメかも・・・・・・」
毎回心が折れそうになる。不安になり、どうしようもなく悲しくて辛くなる。もうダメだこれ以上は辛くてえられそうにないって思い。ずっと辛い。冷静になると益々ますます自分の事を俯瞰して見てしまい。もう駄目なんじゃない?お前生きてて良いの?と悲しくなった。
「大丈夫!琉生!大丈夫だから!」

ピンポーン

そのインターフォンは悲劇の来訪者の者だった。

「咲愛さーん?居ます~?」
その声は叔母の孝子こうこのモノだった。孝子は昌太郎の叔母でたまにこうして連絡もなしにやってきてはまるで意地悪なしゅうとめのように振る舞う。
「はい、孝子さん。お久しぶりです」
「暑~い!早くお茶ちょうだい、喉が渇いたわ」
咲愛が玄関を開けるとガバリと自分でドアを開け中に入ってくる。
「今日は何のようですか?言っておきますが、お金はもう貸しませんよ」
「そうケチケチしないであと十万ほど貸して欲しいんだけど~」
「何度も言いますが、家は叔母さんの財布ではないですし。お金も湧いてくるほどあるわけじゃないんですよ!」
「あ~嫌だ嫌だ!やっぱり三条家の血筋かしら咲愛さんの兄妹はそんなにケチなの?あとお茶ちょうだい、私熱中症になって倒れそうよ?」
これはお茶を出さないと出すまで居続けるし言葉もキツくなると頭をよぎる・・・・・・咲愛が冷蔵庫から麦茶を出し。コップへ注ぐ。
「早く!クーラーももっと下げて」
ピッピッピと冷房を下げてリビングの冷房が当たるところに陣取っている。
「冷房強くしないでください!今の電気代高いんですよ!」
「なによ?貰うもの貰えば出ていくわよ!麦茶ね?早く運んできて頂戴」
咲愛から麦茶の入ったコップを受け取るとぐびぐびと飲み干す。
「咲愛さん?私知っているのよ?へ・そ・く・り!あるんでしょう?」
「ありません!」
「忘れたのね?いいわ、私が探すから!確か寝室は・・・・・・」
孝子が立ち上がり寝室へ行こうとする。咲愛は立ち塞がり通さないようにする。
「なによ?たった十万よ?知っているのよ?あるでしょう!渡しなさい」
「なんですか!」
「私、人工透析通っているんだけど~?他にも色々病院にお金がかかるのよ~?その為に決まっているでしょう?」
咲愛が呆れてため息を付くと
「言いましたよね?家にあるお金は杏子や琉生の将来のお金なんです!それに叔母さんにはもう何百万って貸してますよね?」
「そんなに借りていたかしら?」
「家に近寄らない関わらない代わりにその借金は返済しないって裁判で決めましたよね?」
「病院に行くお金くらい貸しなさいよ!」

部屋の外でギャーギャー咲愛と孝子の怒鳴り声で琉生はドキドキしてせっかく落ち着いてきた感じなのに叔母のかん高い声を聴いていると頭が痛くなった。
孝子は昌太郎と咲愛が結婚して琉生が生まれた年に家を建ててまだそのローンを払っていることも知っている。咲愛は孝子が来る度こんなに大きな声を出して家を守っていたなんて知らなかった。
「母さん・・・・・・大丈夫かな?」

「三条家の人間はそんなに冷たい一族なの!だから私は昌太郎とあなたとの結婚は反対したのよ!」
嘘だ。咲愛の旧姓の三条家の人間も夏目家の人間も誰一人として昌太郎と咲愛の結婚を反対する者などいなかった。それに咲愛は義父や義母に凄く可愛がられていた。杏子を出産し琉生が生まれ昌太郎の両親や自分の両親に会わせる度もう可愛くて可愛くて目に入れても痛く無い様子だった。叔母も琉生が小さい当時は可愛がってくれた。
だが叔母の旦那で琉生の叔父に当たる人が亡くなって子供の居なかった叔母は琉生の家の近くにアパートを借りて頻繁に会いに来るようになった。最初は咲愛がしまってあるお金が数千円減っている。杏子や琉生が必要になって取ったのだろうってなっていたがそれがどんどん何回も数万単位になり本人達を問い詰めると「違う」と言う。その内防犯カメラを玄関に設置してお金がなくなった日の映像を見るとどこで合鍵を作ったのか?叔母が誰も居ないときに入ってくるのが動画として残されておりその度に何万と計算も合わなくなりお金が保管されている所にも防犯カメラを設置するとそこで叔母が盗んでいる決定的な証拠になり。叔母は逮捕されたのだ。
しかし自分の身内と言うこともあり、お金に苦しんでいた事実があったので夏目家に近付かない入らないを条件に盗んだお金の返済を取り止めたのだ。昌太郎も咲愛も本当に疲れているようだったしそれで関わりがなくなるならそれで良いとの事になり決着した。
「け、警察」
琉生がスマートフォンを手に取る。

「待ってください!寝室には行かないでください!」
足の不自由な咲愛には叔母の勢いを止めて踏ん張る力がない。
「しつこいわね!パチンコに行く!じゃなかった病院に行かないと死ぬのよ!」
「待って!」
琉生が慌てて部屋を飛び出してくる。バクバクと心臓の音が五月蝿い。
「琉生!部屋に居なさい!」
「琉生?あなた学校どうしたのよ?サボり?」
「い、行ってないです」
「でき損ないね!昌太郎も?その嫁も?どうせ娘も?挙げ句に息子もでき損ないなのねこの家は!」
「琉生には琉生の事情があるんです!」
「はっ!サボっているだけのでき損ないが?何言っているのよ!琉生退きなさい!」
「もう警察に連絡したから!」
「チッ!クズが!」
そう言い残すと寝室には目もれず玄関から立ち去っていった。
「琉生!大丈夫?」
咲愛が足を引き吊って琉生に近寄る。琉生がガクンとその場に力無く座り込んで壁にもたれ掛かる。
「大丈夫」
「ごめんね。琉生、あなたはクズなんかじゃない!でき損ないでもない!大丈夫!」
「そう、だよね・・・・・・」
「あっちがおかしいのよ」と何度も繰り返して涙を溢す自分より体格の良い我が子をずっと抱き締めた
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アルファポリスとカクヨムってどっちが稼げるの?

無責任
エッセイ・ノンフィクション
基本的にはアルファポリスとカクヨムで執筆活動をしています。 どっちが稼げるのだろう? いろんな方の想いがあるのかと・・・。 2021年4月からカクヨムで、2021年5月からアルファポリスで執筆を開始しました。 あくまで、僕の場合ですが、実データを元に・・・。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

『続・聖パラダイス病院』

菊池昭仁
現代文学
『聖パラダイス病院』の続編です。こんな病院なら入院生活も悪くはありません。

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写はすべて架空です。

処理中です...