Holonic 〜百鬼夜行と僕との調和された世界〜

阿弥陀ヶ峰 風月

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2章 夢を見ましょうか

21話 血の香る家

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 夢を見ましょうか?
 どんな夢がお望みでしょうか?
 ご希望がございましたら何なりとお申し付けください。

 ここは夢の中。
 どんな事だって思いのままです。
 好きな人とのデート。
 テーマパークで1日中友達と遊ぶ。
 スーパーヒーローになって悪人を倒す……等々お好きな内容で夢が見られます。

 方法は簡単です。
 この私からチケットを一枚受け取り、そのチケットを握りしめながら夢でみたい内容を思い描いてください。
 そのまま、先にある改札口を潜ればいいだけ。
 
 それだけで、貴方はみたい夢を見ることができる。

 ただ報酬というわけではありませんが、チケットを受け取る際に貴方の元気と言いますか、生気と言いますか、それを少しですね……本当にほんの少しいただくことになります。
 
 そのため朝起きた時に気怠さが残ります、しかしそんなに気にするものでもありません。
 1日2日ゆっくりすれば回復します。

 さぁ、夢を見ましょう。
 現実世界は辛いことばかり、せめて夢だけは、夢の中だけは幸せな自分であろうではありませんか!
 
 お客様!本日はどのような夢を見ましょうか?


 ――――――


 始業のベルがなる。


 僕は阪口くんの座席を見る。
 今日も欠席だろうか、坂口くんはそこにはいない。

 坂口くんは施設から通う子だ。
 今まで深く彼のことを考えたことがなかったけれど、両親を亡くした僕は、同じ環境下になったこともあり、彼のことが気がかりになる。
 
 坂口くんは幼い頃から家族がいない。
 そんな人たちが共同生活をしている施設育ちの子だ。
 今までいろいろと大変なこともあったんだろうな。

 僕は両親を失い1人になったが、叔父さんと叔母さんがいてくれる。
 支えてくれる人がいてくれる。
 彼には血は繋がっていないけど、施設に知里ちゃんという妹のように可愛がっている子がいると言っていた。
 その子が精神的な支えのようだ。
 高校を卒業と同時に施設を出なくては行けない彼は、すでにその後の知里ちゃんを心配していた。


 そんな坂口くんは最近学校に来なくなった。


 「先生、坂口くん今日も欠席ですか?」

 「そうね。少し体調が悪いみたい、今日も休むって連絡があったわ」

 クラスメートの質問に、担任の渡辺先生が答えた。
 施設から連絡が入ってるってことだから、本当に体調不良なのだろう。
 今日で9日連続の欠席になる。

 スマホに連絡をしても既読にすらならない。
 施設では就寝時間とか決まりはあっても、結構な自由時間があると言っていたからいつもレスポンスは早かった。
 それが既読にすらならないから心配なんだ。

 担任は何か別の事情を聴いているのかもしれない。
 でもそれをみんなに伝えないということは大事なのだろうか?

 昼休み、先輩に相談してみよう。


 ――――――


 先輩は昼休みになると図書室にいる。

 僕は図書室に向かい、いつもの場所でいつものように本を読んでいる先輩を見つけた。
 恐ろしいほど集中して本を読んでいるので、声を掛けづらい。

 「先輩」

 「……」
 
 「あの、先輩!」

 「……なんでしょう」

 眼も合わせずの相槌が返ってくる。
 これだから見た目は幼いのにみんな先輩を怖がって声を掛けないんだよな。

 「すみません、話はバイトの時でもいいです」

 「構いませんよ今で、本を読みながらでも話くらい聞けます。それにバイト中の私語は土蜘蛛が許さないでしょう」

 「はい、ありがとうございます」

 僕は坂口くんのことを先輩に話した。
 9日間の欠席、連絡も全く取れない、担任からは体調不良としか説明がないこと……などなど。
 先輩は話を聞いたあと。

 「お勧めはできませんが視覚共有を持っている土蜘蛛に頼んで坂口くんの様子を確認してもらってはいかがですか?」

 と言った。
 確かに言い案だと思うが、そこまでするべきか悩む。
 さとりの眼を持つ僕が言うのもなんだけど、人のプライバシーを簡単に見ていいわけがない。

 
 僕は先輩にお礼を言って、図書室を出た。


 ―――――― 


 放課後、正門には妖狐が立って待っていた。


 すでに護衛は解かれているようだけど、いつも待ってくれている。
 妖狐にも坂口くんの話をした。

 「放っておきゃいいんだよ、そんなの」

 の一言で終わった。
 そもそも化け物は、仲間以外の者を心配するって感情が薄いのかもしれない。
 知らない人への同情や、寄付など人間特有の物なのだろうか。

 「そんなことよりさ、あんた今からバイトだろう?フライドチキン買って帰ってきておくれよぉ」

 まったく、この狐は……。

 
 今日は17時からケンちゃんのフライドチキンでバイトだ。

 先輩は勤務していない。
 そして店長も会議のため今日は店舗にいない日だ。
 アルバイトだけで営業ができる大変優秀な店舗に店長が作り上げたのだ。

 大学生のアルバイトリーダーを中心に、完璧なフォーメーションで店舗が動いている。

 今日の僕のポジションは商品をパックしてお客様に提供することだ。
 そのポジションではスピードと正確さが重要になり、あとお客様への挨拶をいの一番にするボイスリーダーの役も任された。

 平日の夕方のピークタイムということで多少は忙しいが、問題なくお店は動いている。
 店舗の前の通りも、まばらに人通りがある程度だ。
 これくらいのピークなら、僕でも乗り切れると思う。

 「……あれ、坂口くん?」

 店舗の前の通りを歩く坂口くんが見えた。
 いや坂口くんに似た人?
 ずいぶん痩せ細っているように見えた。
 僕はアルバイトリーダーにお願いをして3分だけ店を抜けさせてもらい、坂口くんを追いかけた。

 「坂口君!」

 「……やぁ」

 生気の無い顔色の坂口君が、笑顔をこちらに向けた。
 9日間欠席するだけで、これほどやせ細るものなのか?
 骨格が見えるくらい短期間で痩せている。
 
 「身体、大丈夫?」

 「あぁ、大丈夫だよ」

 「3日間も休んでいるから心配したよ」

 「大丈夫さ。しばらくしたら復帰するから」

 言葉とは裏腹に力の無い声だった。
 坂口君はすぐに踵を返して立ち去ろうとする。
 僕は慌てて引き留めようとした。

 「坂口く……!」
 
 その時、少し、ほんの少しだけど右目が疼いた。
 嫌な疼き方。
 化け物が蠢く感じ。
 すぐさま眼鏡を外して、彼を見つめた。
 けれどもおかしな心の動きは見られない。

 もう一度彼を追いかけようとするところで、妖狐が僕の背中に手を当てた。

 「やめておきなよ」

 一言で僕を制止した。

 「なにかが変なんです。化け物の気配がするのに、心に変な感情がない」

 「あのお友達さぁ、すでに憑りつかれているね」

 憑りつかれているね。
 怪談話とかでよく聞く、あの憑りつく。のことなのか?
 坂口君に何が憑りついているというのか?
 さとりの眼では読み取ることができなかった。

 「ややこしいねぇ。洗脳系か、幻術系かで対応は変わるからね。洗脳系なら厄介極まりないよ」

 「氷花さんなら何が憑りついているのか、分かるんですか?」

 妖狐は少し考えた上で、ひとつの可能性を上げた。
 サキュバスという、女淫魔による誘惑と洗脳が考えられるとのことだった。

 サキュバスとは夢の中もしくは現実世界にて、性交により男性の生気を吸い取る悪魔をさすらしい。

 「夢の中に潜伏しているなら退治するのも一苦労さ、彼の寝ているところに立会い、夢の中にわたし達が向かわなくてはいけないからね」

 「なんで坂口くんが、そのサキュバスなんかに?」

 「さぁね、そればかりはわからないよ。偶然なのか、必然なのか、惹かれたのか、惹かれあったのかね」

 「とにかく助けないと」

 友人をこのまま放って置けない。
 今の僕には、こんな状況を打破できる力がある、その力を人の為に使える時が来たと思う。
 坂口くんは施設で暮らしていると言っていた。
 その施設の場所を特定して、忍び込めばなんとかなるのではないか。

 「君は見かけによらず短気で短絡的だねぇ。施設に忍び込むなんて、人の世では大問題になるんだろう?」

 「でも……」

 「それにサキュバスと決まった訳でもないんだ。ここは慎重に下調べしてから動くべきだろうね」

 そう言えば百目との戦いの時も、店長から敵の事がわからない以上は、迂闊な行動を禁じられた思い出がある。
 考えなしの行動は身を滅ぼすのだろう。
 
 それならそれで施設の場所がわからないので、坂口くんは追いかけておくべきだった。
 でもアルバイト中だし勝手な行動は取れない。

 「氷花さん、すみませんが彼を追いかけて貰えませんか?」
 
 「大丈夫さ」

 「?」

 「彼の匂いは覚えた。この辺りに住んでるなら匂いで追えるさ」

 妖狐に追跡を任せて、僕はアルバイトに戻った。
 アルバイトは21時に終わる。
 終わり次第、妖狐と合流して対策考えようと思う。


 ――――――


 妖狐は匂いを辿り坂口くんを追いかけた。
 追いかけていけば施設の場所もわかり、いろいろと準備ができる。
 妖狐は1つだけ僕に言わなかったことがあった。
 それは阪口くんを尾行するにあたって覚えた匂いに関してだ。

 順調に尾行を進めた先で、一軒の民家に入っていくのを見た。
 匂いはその家の中に続いている。
 
 独特の匂いが家屋から漂う。
 坂口くんから漂っていた匂いと同じ匂い。
 複数人の人間の血の匂い。
 
 そして人間なら気が付かない、化け物の匂い。
 嗅いだことのない化け物の香り。

 「やれやれ、面倒臭いことになってきたねぇ」

 妖狐は18時を過ぎてとっぷり陽が落ちた家を見上げた。
 
 「わたしが勝手にしゃしゃり出る訳にもいかないか、発情鬼になんとかさせないとね」

 妖狐はその場を後にして、僕のアルバイト先まで戻ってきた。
 すでに妖狐は僕の知り合いのお姉さんということで、店舗では周知されている。
 また見た目が見た目なので、男性陣には大変人気がある。

 「火鳥ー!お姉さん来てるぞー」

 「はーい!」

 僕はホールに向かった。
 アルバイトリーダーが気を利かせて妖狐を席に座らせてくれている。
 ドリンクまで用意されて……。
 リーダーは妖狐にいつもデレデレだから、自腹で用意してくれたのだろうな。
 あとでリーダーにお礼を言っておかなくては……。

 「フライドチキンは付かないのかい?」
 
 「付かない!」

 「なんだい、頼まれごとをして来てやったのにケチくさいねぇ」

 「で、どうでしたか?」

 阪口くんは施設では無く、一軒の家に入っていった。
 その家からは無数の人間の血の香りが立ち込めていた。
 そして嗅いだことのない化け物の匂いがあったことを伝えられた。

 「おそらく、厄介だよ」

 「早く助けた方がいいってことですね」

 「サキュバスの線が消えた訳ではないけど、別の何かがあの家にはいる。急ぎなら潜入する必要があるね」

 「氷花さんの姿隠しの術で潜入できませんか?」

 姿隠しの術は対人間にはある程度の効果があるようだけど、化け物に対しては無効らしい。
 それに妖力を使おうとしたり、衝撃を受けると簡単に解除されるので、今回の潜入には不向きなようだ。

 「なら、どうすれば……?」

 「いるじゃないか。他人の家に自由に出入りして、暮らすこともできる潜入潜伏の天才が」

 「あっ!」

 そうだ、先輩だ。
 家入先輩なら、簡単に人の家に入ることができるはずだ。
 
 
 僕は今から先輩へ坂口くんの調査を依頼することにする。
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