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第三話 性別専用装備の設定がバグってる

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 宮廷魔術師のエリクに押し倒された。
 どうなっちゃうのオレ!?

「……すまない」

 すっとエリクが離れていく。

「面白半分に男を揶揄うな。でないとこういう怖い目に遭う」

 オレから目を逸らしながら彼が呟く。
 今のは怖い目だったのか??

「……では、そういうことで」

 エリクは言葉少なに部屋を立ち去った。

「……あ。何の用だったんだ?」

 結局聞けずじまいで終わってしまった。

 *

 翌日になった。

 今日は鍛錬がある日らしい。
 まあ仮にも騎士だからな。身体を鍛えておかないと鈍ってしまう。

「こちらが姫の鎧でございます」

 爺やが部屋に鎧を持ってきて置いておいてくれる。
 どうやらこれを来て訓練場に来いということらしい。

「爺やも気が利くな」

 ただの鍛錬とは言え、鎧を来て剣を振り回すなんてファンタジーっぽくてワクワクする。
 ニコニコしながらオレは鎧を手に取り……そして愕然とした。

「な……っ!?」

 それは、ビキニアーマーだった。

 そもそも発売直前にアントワネット姫がアントワーヌ王子に差し替えになったらしいということを、オレたちプレイヤーがどうして知っているのか。
 それは発売前に公開された画像やPV映像にがっつりアントワネット姫が映っていたからだ。
 その映像では確かにアントワネット姫はビキニアーマーを装着していた……。

 だからって王子がビキニアーマーはおかしいだろ!?
 いや、冷静に考えると姫がビキニアーマーもおかしいな……?

 なるほど、分かってきたぞ。
 オレがいま女装しないで済んでいるのはゲームでアントワーヌ王子の立ち絵が用意され、その立ち絵でしっかり男の格好をしていたからだ。
 ところが多分、いやほぼ確定だが、台詞での呼び名すら「姫」から変えられてないくらいなんだから、アントワーヌ王子は女性専用装備が装備できる設定のままになっていたのだろう。
 そしてそのまま初期装備のビキニアーマーがオレに宛がわれた、と。

「屈辱だが、着てみてサイズの合わない様を見せれば変えてくれるだろう」

 自分に言い訳するように独り言を呟く。
 そしてオレはいそいそと着替えを始める……。

 そして、ぴったりサイズが合ってしまったのだった。

「なんで……」

 男性の胸にしっかりフィットする胸部プレートに、申し訳程度に腰を守る謎の金属片。
 そしてその下に履いたブリーフ程度の面積の謎の布地。
 丸出しの臍と、剥き出しの生足。

「男がこんな格好してたら変態だろ……っ!」

 正直、泣いた。
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