悪逆第四皇子は僕のお兄ちゃんだぞっ! ~商人になりたいので悪逆皇子の兄と組むことにします~

野良猫のらん

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第二部 セルフィニエ辺境伯領編

第百三話 辺境伯領に到着

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 途中で熱を出して寝込んでしまったので、セルフィニエ辺境伯のお城に着いたのは九日目のこととなった。

 熱を出したらいつもは体力が回復するまで何日もかかるのに、かかりつけ医のお爺さんにキラキラと光を出して治癒魔術をかけてもらったら一晩寝ただけで朝にはすっかり元気になっていた。
 治癒魔術ってすごい。こりゃみんな薬なんか碌に研究せずに魔法かけときゃいいじゃんってなるわけだ。

 辺境伯のお城は皇帝のお城と比べてかなり無骨な雰囲気だった。
 お城というより砦に近い雰囲気を感じる。
 きっと実際に戦にたくさん使われて来たのだろうなという感じがした。

 城についた僕は早速城の主であるセルフィニエ辺境伯の元に通されることになった。

「セルフィニエ様、カレン殿下が参りました」

 城内を案内してくれていた執事っぽい人が先にドアをノックして中に声をかける。
 この先に辺境伯がいるようだ。
 返事をもらった執事が優雅な動作でドアを開けた。

「ようこそおいで下さいました、カレン殿下」

 セルフィニエ辺境伯はガッシリとした体格の口髭をたくわえたナイスミドルだった。
 思い出した。タソトキの攻略対象の一人だ。
 どんな風に攻略するのかまでは例によって行商人プレイにしか興味の無かった僕は知らない。

 室内には辺境伯以外にもう一人の人物がいた。
 辺境伯とは打って変わった雰囲気の細身の柔和なおじさんだ。
 星座を想起させる幾何学模様が刺繍された藍色のローブを羽織っている。
 顔には見覚えないけど、美形だから攻略対象の一人なのではないかと思う。

「これから御身を預からせていただきますリベラトーレ・ガレッティ・セルフィニエと申します」
「初めまして、セルフィニエさん」

 ぺこりと頭を下げた。

「話に聞いていた通りとても利発そうな方だ」
「えへへ」

 ローブのおじさんの方に視線を向けると、おじさんはにこりと微笑んだ。

「私はバスティアン・ラシュ・セルフィニエ。この城の専属顧問魔術師……古めかしい言い方で言うところの宮廷魔術師です」
「おお! 宮廷魔術師!」

 ファンタジーな単語に心が躍る。
 そういえばタソトキの王侯貴族の城にはそういう役職の人が時々いたなと思い出す。

「名字からお気づきかもしれませんが、私の愚弟でございます」

 と、辺境伯が一言言い添えた。

 口には出さないが、似てない兄弟だなーとしみじみと二人を眺めた。
 ミドルネームが違うから二人は異母兄弟だと分かる。
 異母兄弟だとあんまり似てないものなのかもしれない。
 僕とお兄ちゃんだって瞳の色ぐらいしか似てないと思うし。

「これから殿下にはこの城で生活を送っていただき、教育も受けて頂きます」

 うんうんとセルフィニエさんの言葉に頷く。

「いろいろとご説明しておきたいことは沢山あるのですが、今日は長旅でお疲れでしょう。まずはお部屋にご案内いたします」
「はーい」

 辺境伯のこの気遣いはありがたかった。
 まだ明るい時間だけれど僕はもうくたくただったから。

 その時、コンコンとドアがノックされる。
 ドアの外からくぐもった声が入室の許可を求める。

「おお、そうだ。エヴァレットを呼んでいたんだった。入りなさい」
「エヴァレット……?」

 僕のミドルネームと同じ名前。
 お祖父ちゃんは辺境伯に仕えるお役人さんだと聞いた。

 つまり、このドアの向こうにいるのは……僕のお祖父ちゃん!?
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