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第二部 セルフィニエ辺境伯領編
第百十一話 祖父母の家に遊びに行く
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今日はお休みの日だ。
時間があったら遊びに来てとお祖父ちゃんに誘われてたことを思い出し、僕はお祖父ちゃんとお祖母ちゃんの家に遊びに行くことにしたのだった。
そして祖父母宅に向かう馬車の中、僕の隣には当然のようにお兄ちゃんが座っていたのだった。
「ご挨拶しなければならないからな」
などと訳の分からないことを言っているが、僕の体調を心配して付いてきてくれたのだろう。
口には出さないがお兄ちゃんは優しいのだ。
下級貴族の生活水準は日本で言う公務員と同じくらいだろうかという予想は大体正しかったようだ。
ひと昔前の普通の日本人がローンでやっと建てる「夢のマイホーム」くらいの規模の慎ましやかな一戸建てが祖父母宅だった。
馬車が祖父母宅に着くと、お祖父ちゃんとそして白髪に近いブロンドの髪を持った老年の女性が暖かく出迎えてくれた。
年を経てやや色味は薄くなっているものの、僕と同じ色の髪の毛だと思った。
この女性こそが僕のお祖母ちゃんなのだ。
「まあ、本当にあの子にそっくりなのね……!」
祖母は感極まったかのように目尻に涙を滲ませる。
「お祖母ちゃん……!」
僕が祖母に駆け寄ると、祖母はそっと僕をハグしてくれた。
それからお兄ちゃんの姿を認めると、祖母は不思議そうに目を瞬かせた。
「あら、どなたかしら……?」
「ご挨拶が遅れました、カレン殿下と親しくさせていただいておりますウィルフリート・クラム・アッシュフィールドと申します」
兄は如才なく微笑んだ。
お兄ちゃんがそんなに爽やかな笑い方ができるだなんて知らなかったな。
何故だか物凄く頑張って祖父母に好かれようとしているようだった。
「ほら、前に話してた公爵家の……」
と祖父が祖母に囁く。
「まあ! こんなに立派なご友人がいるのねカレンは!」
えっへん、僕のお兄ちゃんなんだぞ!
……とは言えないけれど、お兄ちゃんが立派だと言ってもらえて僕はとっても嬉しかった。
まるで自分が褒められたかのように僕ははにかむ。
「良ければウィルフリート様も一緒にお食事をしていかれませんか? カレンが来ると思ってご馳走を作ってありますの」
「急に人数が増えてしまってよろしいのですか?」
「多めに作ってありますから、全然問題ございません」
こうして祖父母宅でみんなで一緒に食事をいただくことになったのだった。
祖母が腕を振るってご馳走してくれたのは、南部の家庭料理だった。
アイユフラワーというニンニクのような辛味がする花の蕾を刻んで炒めたもの、オリーブ油、そしてハーブで味付けした料理が特徴のようだった。
セルフィニエ辺境伯領にはなんと海のように大きな湖があるらしく、新鮮な魚介類が豊富だった。
今の僕には飲めないが白ワインととても合うだろうなという気がした。
「カレリーナは身体が弱いのに昔っからわんぱくでねぇ……」
「ふふ、その点は殿下とそっくりですね」
食事をしながら懐かしそうに僕のお母さんの思い出話を語る祖母に、お兄ちゃんが目を細めて相槌を打つ。僕のお母さんの話が聞けて、何故だかお兄ちゃんも嬉しそうにしていた。
「ええー、僕そんなにわんぱくじゃないよう」
ぷくっと頬を膨らませてみせるが、「その表情もそっくりだ」と一同の微笑みを誘ったのだった。
時間があったら遊びに来てとお祖父ちゃんに誘われてたことを思い出し、僕はお祖父ちゃんとお祖母ちゃんの家に遊びに行くことにしたのだった。
そして祖父母宅に向かう馬車の中、僕の隣には当然のようにお兄ちゃんが座っていたのだった。
「ご挨拶しなければならないからな」
などと訳の分からないことを言っているが、僕の体調を心配して付いてきてくれたのだろう。
口には出さないがお兄ちゃんは優しいのだ。
下級貴族の生活水準は日本で言う公務員と同じくらいだろうかという予想は大体正しかったようだ。
ひと昔前の普通の日本人がローンでやっと建てる「夢のマイホーム」くらいの規模の慎ましやかな一戸建てが祖父母宅だった。
馬車が祖父母宅に着くと、お祖父ちゃんとそして白髪に近いブロンドの髪を持った老年の女性が暖かく出迎えてくれた。
年を経てやや色味は薄くなっているものの、僕と同じ色の髪の毛だと思った。
この女性こそが僕のお祖母ちゃんなのだ。
「まあ、本当にあの子にそっくりなのね……!」
祖母は感極まったかのように目尻に涙を滲ませる。
「お祖母ちゃん……!」
僕が祖母に駆け寄ると、祖母はそっと僕をハグしてくれた。
それからお兄ちゃんの姿を認めると、祖母は不思議そうに目を瞬かせた。
「あら、どなたかしら……?」
「ご挨拶が遅れました、カレン殿下と親しくさせていただいておりますウィルフリート・クラム・アッシュフィールドと申します」
兄は如才なく微笑んだ。
お兄ちゃんがそんなに爽やかな笑い方ができるだなんて知らなかったな。
何故だか物凄く頑張って祖父母に好かれようとしているようだった。
「ほら、前に話してた公爵家の……」
と祖父が祖母に囁く。
「まあ! こんなに立派なご友人がいるのねカレンは!」
えっへん、僕のお兄ちゃんなんだぞ!
……とは言えないけれど、お兄ちゃんが立派だと言ってもらえて僕はとっても嬉しかった。
まるで自分が褒められたかのように僕ははにかむ。
「良ければウィルフリート様も一緒にお食事をしていかれませんか? カレンが来ると思ってご馳走を作ってありますの」
「急に人数が増えてしまってよろしいのですか?」
「多めに作ってありますから、全然問題ございません」
こうして祖父母宅でみんなで一緒に食事をいただくことになったのだった。
祖母が腕を振るってご馳走してくれたのは、南部の家庭料理だった。
アイユフラワーというニンニクのような辛味がする花の蕾を刻んで炒めたもの、オリーブ油、そしてハーブで味付けした料理が特徴のようだった。
セルフィニエ辺境伯領にはなんと海のように大きな湖があるらしく、新鮮な魚介類が豊富だった。
今の僕には飲めないが白ワインととても合うだろうなという気がした。
「カレリーナは身体が弱いのに昔っからわんぱくでねぇ……」
「ふふ、その点は殿下とそっくりですね」
食事をしながら懐かしそうに僕のお母さんの思い出話を語る祖母に、お兄ちゃんが目を細めて相槌を打つ。僕のお母さんの話が聞けて、何故だかお兄ちゃんも嬉しそうにしていた。
「ええー、僕そんなにわんぱくじゃないよう」
ぷくっと頬を膨らませてみせるが、「その表情もそっくりだ」と一同の微笑みを誘ったのだった。
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