婚約破棄されるなり5秒で王子にプロポーズされて溺愛されてます!?

野良猫のらん

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第四十三話 囚われの身

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 ヴァンが目を覚ますと、すべては闇に包まれていた。
 
 どうやら、ズタ袋か何かを頭に被せられて床に転がされているようだ。
 手足は縛られており、身動きが取れない。
 指の感触からするとギュスターヴにもらった婚約指輪は嵌まったままのようで、ヴァンはほっと息をついた。

 捕まった。
 この状況は、そう捉えても差し支えないだろう。

 自分は、夕闇の精霊の付与魔術を受けて眠ってしまった。
 その間に、縛られてズタ袋をかぶせられたのだろう。耳の違和感から、耳栓か何かも嵌められているように思う。

 夕闇の精霊の付与魔術は、毒ではなく眠りたいという欲求を強めるものだ。だから、ギュスターヴから様々な加護を受けた婚約指輪を装着していても、防げなかったようだ。欲求を強めるだけだから、たっぷり睡眠をとっている者には効かない。ここ最近思い悩んで眠れない日々が続いていたヴァンは、あっさり眠りに誘われてしまった。

 縛られたまま、ヴァンは歯噛みする。

 ミレイユに騙されたのだ。
 この状況に、否が応でも自分の失態を突きつけられる。

 これから、自分はどうなるのだろう。
 王城に戻るまで、どれくらいかかるだろうか。それとも、もう戻れないのだろうか。
 ギュスターヴは心の底から心配するだろう。彼を苦しませるつもりはなかったのに。

 馬鹿だった。
 ミレイユのことを信じるなんて。
 ギュスターヴにもフィリップにも相談せず、勝手に自分ひとりで行動するなんて愚行だった。
 悔やんでも悔やみきれない。

 精霊神の祠で祈れば加護が増えるという噂の話も、真っ赤な嘘だったのかもしれない。
 あんな話を信じてしまうなんて。心のうちの焦りを利用されてしまったのだ。
 加護の数を増やそうだなんて、分不相応な望みを抱くんじゃなかった。
 
「殿下は、ありのままの自分に自信を持てと言ってくれたのに……」

 呟きが漏れた。

 ギュスターヴが一度でも、ヴァンの加護の数が増えてくれたらいいのになんて言っただろうか。彼は最初から、ありのままの自分を認めてくれていた。彼の言葉を信じていればよかったのだ。
 こんなことに陥ってしまったのは、どう考えても自分のせいでしかなかった。
 自分が、加護を増やしたいと思ったせいだ。

 ありのままで、よかったのに。

 それにしても、ミレイユは一体なぜこんなことをしたのだろう。
 自分のことを捕まえて、一体どうするつもりなのか。
 いつの間にか恨みを買っていたのだろうか。婚約破棄したのは、あちらなのに?

 考えても、結論が出ることはなかった。

 ともかく、なんとかしなければ。
 縛られていても、何かできることはないだろうか。
 
 這いずってでも動こうとした、その時だった。
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