おっさん異世界物語 ~物理魔法と「鉄の理」。愛欲と硝煙に塗(まみ)れた男が、やがて神を殺すに至る覇道戦記~

眠れる森のおっさん

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第1章 グリム編

第15話 魔の森へ行くわけがない! アイテムボックスの『中』で秘密特訓

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 よし。あらかた準備は整った。
 装備と持ち物を点検して、いよいよ魔の森へと魔物狩りに―――

 ―――行くワケあるかっての。

 ちょっと準備できたからって、ホイホイ気軽に命のやり取りに行くなんてのは馬鹿のすることだ。
 まだ金は余裕がある。
 焦る必要なんてどこにもない。

 魔物と戦って死んだら終わりなんだからな。
 行くのはやれることをやってからだ。

 明日からはトレーニングだ。
 まずは筋トレだ。
 基本デブだからな。
 もっと動けるようにならなくては。

 次に魔法だ。
 俺は剣術だの体術だのは全くできない。
 どれだけ魔法をできるかが、俺の生死に直結するからな。
 これを鍛えなければならない。

 筋トレは良いとしても、問題は魔法をどこで練習するか、だ。
 このワンルームで魔法をぶっ放す訳にもいかないし。
 かといって、人目を避けて魔の森へ行くのも本末転倒だな。

「アイテムボックスが使えないだろうか?」

 目の前にアイテムボックスを出現させる。
 手を突っ込んでアイスバレットを発射する。
 アイテムボックスの中で魔法を発動できるようだ。
 そもそも、このアイテムボックスってのはどうなってんだ?

 手を入れても大丈夫なんだから頭を入れても大丈夫だよな。
 アイテムボックスに頭を突っ込んでみる。

「!!!」

 すぐに頭を引き抜いた。

「ハアッハアッ! 息ができねえ」

 アイテムボックスの中は真っ暗闇で何も見えない。
 そして空気がなかった。息が出来なかったのである。

 俺は部屋の窓を開けて外を眺める。前の通りに人は歩いてない。
 アイテムボックスを窓の外で超高速に動かして、空気を収納していく。
 目にも止まらない速度で動いているので、例え見られたとしても分からないだろう。

 窓を閉めて、もう一度アイテムボックスに顔を突っ込んでみる。
 すぐに空気を呼び寄せる。
 顔の周りに空気が集まった。息ができる。

「ふう、これで息はできるな」

 俺はアイテムボックスの中で喋る。
 周りを見回してみるが完全な漆黒だ。
 星が1つもない宇宙空間のようだ。

 俺は顔を抜いて、もう一度部屋の窓を開ける。
 アイテムボックスを超高速に動かして今度は光を収納していく。

 窓を閉じて、再びアイテムボックスに顔を突っ込む。
 空気と光が集まってくるように意識すると、明るくなった。
 光に照らされているのは俺の体だけだ。
 首元が光で照らされている。

「アイテムボックスの内側は何もないんだなぁ。
 よし、ちょっと入ってみるか」

 首元にあるアイテムボックスの出入口を操作して、足元まで移動させていく。
 足の先まですっぽりとアイテムボックスに入ったと思ったら、出入口が消えた。

「なんだと!? 出口がなくなっちまった!」

 焦って出口を探すと、すぐ足元に出入口が現れた。
 出入口を操作して、足元から胴体、首、顔と出していく。
 無事に部屋へ戻ってこられた。
 一瞬ヒヤっとした。

「ふう、なかなか痺れたな」

 アイテムボックスには自由に出入りできるようだ。
 一息ついたところで、もう一度アイテムボックスの中に入ってみる。

 空気と光を全身に纏わせる。
 大量に空気を収納したから、問題なく息ができる。
 光が照らしているのは自分の体だけだ。
 やはり自分以外には何も見えない。
 完全な暗闇だ。

 まるで宇宙空間に俺だけが浮かんでいるかのようだ。
 だが無重力ということではないらしい。
 体が回転しているような気はしない。

 ピタッと止まっていると思う。

「そうだ。俺の小便ってどうなってんだ?」

 魔の森で念のため飲み水にと思って小便を保管しておいたんだった。
 小便を思い浮かべると、目の前に黄色い液体が現れた。

「うお!……これって俺の小便か?」

 かなり黄色が強めの小便だ。よく我慢して溜まった時に出てくる色をしている。

「すげえ濃いな。
 ……これ飲むことにならなくて良かったわ」

 指先で小便に触れてみると暖かい。出したてのホヤホヤだ。

「小便が冷めてないな。
 ……時間が止まってるのか?」

 腐っていないかどうかは、飲んでみないと分からない。
 というか、腐ってない小便の味なんて知らんしな。
 後でお湯か何かで冷めないか試してみるとするか。

 小便よ消えろと念じると、浮かんでいた小便がパッと消えた。

 それにしても、この真っ暗闇の空間は魔素が濃厚だな。
 とびきりの濃度で魔素が充満している感じがする。
 牛乳なら特濃クラス以上だ。

 目の前にサッカーボール位の炎を作り出す。
 炎を飛ばしてみる。
 真っすぐ飛んで行って、見えなくなった。
 この空間に終端はないようだ。
 少なくとも端っこは見えない。

 いくら魔法を使ってみても、魔素が減少する気配は全くない。
 というか、これって本当にアイテムボックスなのか?
 もはや何か別物のような気がしないでもないが。
 とにかく、この暗黒空間で明日から魔法のトレーニングができそうだ。

 その後、大体検証できたので部屋に戻ってきた。
 1階に降りると食堂が人で賑わっていた。
 もう夕飯の時間を過ぎていたようだ。
 俺は受付にいた女将に声をかけて、追加で10泊分を支払っておいた。
 これで財布の残金は金貨1枚ってとこだ。

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