おっさん異世界物語 ~物理魔法と「鉄の理」。愛欲と硝煙に塗(まみ)れた男が、やがて神を殺すに至る覇道戦記~

眠れる森のおっさん

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第1章 グリム編

第29話 空飛ぶ魔法で『ゴブリン』退治! そして消えた受付嬢

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 しかし、これで検証したかったことは大体済んだ。
 結構時間を使ったので、もう夕方まであまり時間はない。

 早速フライを発動して、魔物の探索を開始する。
 岩板に立ち2メートルほどの高度に浮かせる。
 これ位の高さでも地上の魔物には、かなり優位に立てるだろう。

 岩板を動かして、自転車で走る位の速度で進んでいく。
 もし落ちたら大怪我をするからな、あまり速度は出さない。
 それでも草木が生い茂る地面を歩くよりは数倍速い。
 木の枝や蔓などの障害物を、するすると避けていく。

 少し川沿いに進むと、河原を歩く人影が見えてきた。
 フライのまま高い位置で木の陰に身を潜めて様子を見る。

「ギッギィッ」
「ギィーギィ」

 裸に近い恰好に木の棒を持っている。
 醜い顔をしている、耳と鼻が異様に大きい。
 背が低い、小学生位の身長だ。
 イメージ通りだ、あれがきっとゴブリンだろう。

 3体のゴブリンが河原を歩いている。
 段々と俺の方に近づいてくる。
 彼我の距離は30メートル位だ。
 奴らは全く俺に気付いてない。

「『ファイアアロー』」

 手始めに1本の炎の矢を作り出して、一番近くのゴブリンに向けて放つ。
 ヒュオッという音とともに炎の矢が飛んでいった。
 炎の矢が直撃してバガンッと大きな音を立てて爆発した。

 直後、残りのゴブリンが俺に向かって走り出す。

「『ファイアボール』」

 向かって右側を走るゴブリンに火の玉が飛んでいく。
 直撃を食らったゴブリンが後ろに吹っ飛ぶ。

 最後のゴブリンが木の棒を振りかざして俺に走り寄る。

「『エアハンマー』」

 ゴブリンめがけて圧縮された空気の塊を放つ。
 喰らったゴブリンが吹き飛ばされて倒れ込んだ。

「よし。全部仕留められたかな」

 こいつら、仲間がやられても最後まで立ち向かってきやがった。
 フライで浮いてるから、奴らの身長じゃ攻撃が届かないのにな。
 普通は逃げるとかしそうなもんだが、知能が低いんだろうか。

 フライを解除して地上に降りる。
 仕留めたゴブリンの様子を見に行く。
 ファイアアローとエアハンマーを喰らった奴は動かなくなっていた。

 ファイアボールを喰らった奴はまだ息があったようだが、ウィンドカッターでとどめを刺してやる。

「さて、こいつらの心臓に魔石があるんだよな」

 ナイフを使ってゴブリンの胸部から魔石を取り出す。
 ゴブリンを解体するなんぞ気持ち悪いが、仕方ない。
 せめて革の手袋をしていて良かった。
 中から真っ黒い石が出てきた。

「ふう、これが魔石か……今日はこれ位で帰るとするか」

 魔石を3つ回収することができた。
 今日は時間も遅いので街へ帰ることにする。
 初めての魔物狩り、大成功だ。
 ゾンビとポイズンスネークも仕留めてるが、あの時は魔の森から脱出中だったしな。

 帰り道は途中までフライで飛んで行き、森を抜ける手前で地上に降りる。
 そこからグリムまでは歩きだ。
 飛んでいるところを誰かに見られたらマズイからな。

 北門を抜けて広場につくと、冒険者ギルドに入っていく。
 買取所に行くと、血まみれエプロン姿のバランがいたので声をかける。

「バラン。この魔石を査定してくれ」
「おう。リューイチじゃねえか。
 見せてみろ……この魔石なら1つ銀貨1枚だな」
「そうか。全部買い取ってくれ」
「おう。魔石3つで銀貨3枚だな。
 んじゃ、この買取札を受付に持っていけ」

 買取札を受け取ってギルドの受付に行く。
 あの小娘は……いないようだ。
 大人しそうな顔した女の受付に声をかける。

「この買取札を頼めるかな」
「はい、かしこまりました。
 討伐報酬と合わせて銀貨3枚と銅貨6枚になります」
「どうも。
 ……ところで、前にいた受付の女の子はどうしたんだ?」
「あぁ、ヘルガのことですね。
 あの子は退職しましたので……もう冒険者ギルドにはいません」
「そうだったのか。なるほど、分かった」

 あの受付の小娘はヘルガというらしい。
 受付の女が仕方ないといった顔をしながら教えてくれた。
 ヘルガが退職させられた事情を察しているのだろう。
 どうやらギルドマスターが、きっちり仕事してくれたようだ。

 冒険者ギルドを出ると、ちょうど17時の鐘が鳴った。
 宿に帰ると、ニーアが部屋で食事を用意して待っていた。

「待たせたか?」
「ご主人様っ!」

 ドアを開けるとニーアが俺に飛びついてきた。
 胸に寄せた顔を見ると、泣きそうな表情をしている。

「大丈夫だ。俺は何ともない」
「はい……」
「ニーア。留守番ご苦労だったな」
「いえ……ご主人様が無事でよかったです」

 ニーアはずっと心配して待っていたようだ。
 椅子に座って一緒に飯を食う。

「今日は金物屋で安くて良い鉄鍋がたまたま売ってて、それで……」

 ニーアが楽しそうに買い物の話をしているのを聞いてやる。
 彼女の顔を眺めながら適当に話を聞き流す。
 彼女の話は何も頭に残ってはいない。

 飯を食い終わったら、湯浴みと歯磨きだ。
 ここ数日の湯浴みで彼女の髪も大分綺麗になってきた。
 就寝前に親愛の口づけをさせてやる。

「ご主人様……帰ってきてくれて、良かった」
「ああ、心配かけたな」
「……ふふっ……おやすみなさい」
「おやすみ。ニーア」

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【探し方】
Web検索、またはノクターンノベルズのサイト内で
『 おっさん異世界物語 』
と検索してください。
(※作者名『眠れる森のおっさん』で検索しても見つかります)
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