おっさん異世界物語 ~物理魔法と「鉄の理」。愛欲と硝煙に塗(まみ)れた男が、やがて神を殺すに至る覇道戦記~

眠れる森のおっさん

文字の大きさ
31 / 56
第1章 グリム編

第30話 魔の森で遭遇! 言葉を話す『ゴブリン』の正体とは?

しおりを挟む
 商人ギルドを介して大きな屋敷の賃貸契約を結ぶことができた。
 屋敷には備え付けの家具はあったが、日用雑貨を色々と買い揃えなければ生活できない。
 その辺りの買い物はニーアに任せて、俺は魔物狩りに専念することにした。

 初の魔物狩りはゴブリン3体を仕留めることができた。
 たかがゴブリン、されどゴブリン。俺にとっては上々の滑り出しだ。

 ---

 ――翌日。

 ニーアが朝食を用意する音で目が覚める。
 俺が起きる前から、彼女は甲斐甲斐しく働いているようだ。
 もうすぐ屋敷へ移動するしな。
 彼女にも張り合いが出ているのだろう。

 部屋でニーアの作った朝食を食いながら、買い物の状況を確認する。
 順調に買い揃えていってるようだ。
 彼女に金貨1枚を追加で渡しておく。

 彼女にグリム周辺のことを聞いてみるが、どうやらこの辺りの土地勘は無いらしい。
 グリムには奴隷として連れて来られただけだからな。
 分からないのも無理はない。

 他に知ってることを聞いてみる。
 このグリムという街は一つの独立した自治都市であり、都市国家であるらしい。
 こういった自治都市がいくつか集まって都市国家群を形成している。

 この世界には、いくつかの大国がある。
 その1つがニーアの故郷であるジパーン国だ。
 グリムの東側に隣接した都市国家のセレーネ。
 そのエルマーナ市の東側に隣接しているのがジパーン国とのことだ。

 その他には、一番大きな領土を持つ神聖アーカディア帝国。
 都市国家群に隣接するシーナ国。
 そして大陸中に広く影響力を持つ宗教国家、聖法皇国。

 地図なんてものは出回っていないから、それぞれの国の位置関係はよく分からない。
 ニーアも話に聞いただけの知識だ。大陸なんて概念も無かった。

 魔の森は、どの国も手つかずのようだ。
 ずっと南の方にも、魔物が跋扈する深い森があるらしい。
 この異世界は魔物の脅威が大きい。
 人間の生きる領域が限られている。

「今日も魔物狩りに行ってくる」
「お気をつけて……ご主人様」

 遅めの朝食を食い終えたら、今日も魔物狩りに出発する。
 広場に出ると市場が閉まっていた。
 毎日市場が開いている訳ではないらしい。

 北門を通って街道を歩き、魔の森に辿り着く。
 今日も遠くで伐採作業をやっているのが見える。

 少し森の中を歩いて人目につかない所でフライを発動する。
 魔法で作った岩板に立ち、2メートルほどの高さに岩板を浮かせる。
 手元に作った岩塊を握って、振り落とされないように体を固定する。
 自転車並みの速度で、空中を滑るように森の中を進んで行く。

 少しすると前方50メートルほど先に動物が見えてきた。
 音を立てずにフライで近づいていく。

(魔物には見えないな。猪か?)

 あと20メートル程の所まで近づくと、獲物が走って逃げ出した。
 だが、飛んで追いかければ、すぐに追いつく。

「『アイスバレット!』」

 獲物の後頭部に小さめのアイスバレットを打ち込む。
 力を無くした獲物が倒れて地面を滑った。
 地上に降りて、仕留めた獲物を確かめる。
 見た感じは完全に猪だが、念のため心臓部分を確認してみる。

「魔石はないな。やっぱり猪だったか。
 魔の森には普通の動物もいるんだなぁ」

 仕留めた猪は、大型犬と同程度の大きさだった。
 異次元空間に収納しておく。

 再びフライを発動して、高度を上げていく。

「うぉっ! あぶねっ!?」

 頭に何かぶつかりそうな気配を感じて身をよじる。
 距離をとって目を向けると胴体だけで1メートル位の巨大蜘蛛がいた。
 木の枝から糸に垂れ差がった巨大蜘蛛が足をワキワキさせている。

「げえっ! 『ウィンドカッター!』」

 咄嗟に巨大蜘蛛へ向けて複数の風の刃を放つと、細切れになって地面に落下した。
 地上に降りて、恐る恐る近づく。

「ぐえぇぇ……マジかよ……気持ち悪すぎるんだけど」

 小さな蜘蛛でも生理的に受け付けないってのに、馬鹿デカイ蜘蛛が細切れになっている。
 気持ち悪いのを我慢して、近くに落ちていた枝を使って探すと魔石が見つかった。
 やはり巨大蜘蛛は魔物だったらしい。
 魔石の大きさは直径1センチ位だから、ゴブリン並みのサイズだ。

「頭上にも魔物がいるってことか。
 注意しないとマズイな」

 再びフライを発動して探索を再開する。
 頭上にも魔物がいないか注意しながら進んで行く。

 しばらくすると、白いウサギが目に入った。
 20センチ位の角が生えている。
 目が赤い。
 中型犬くらいの大きさだ。

「ピィ! ピィィ!」

 俺に気づくや否やピョンピョンと跳ねながら近寄ってきた。
 体が大きいから思った以上の速度で近づいて来る。
 十分に引き寄せてからウィンドカッターで角ウサギの首を狙う。
 一撃で仕留めた。

「これが角ウサギかぁ。毛がフサフサしているな。
 売れそうだし、このまま持って帰ってみるかな」

 その後も森の浅い層を探索していると、何匹か角ウサギを仕留めることができた。
 フライで飛んでるから攻撃が届かないはずなのに、どの角ウサギも逃げずに向かってくる。
 魔物ってのは人間を見たら襲う習性でもあるのか?
 逃げられるより仕留めやすいから、こっちとしては助かるんだけどな。

 途中で鹿っぽい動物も見かけたんだが、近づく前に気づかれて逃げられてしまった。
 猪も俺を見て逃げたしな。動物は逃げるから仕留めるのが難しいかも。罠とか作れると違うんだろうか。

 ひと働きしたので木の枝に座って一休み。
 休憩後は、もう少し森の奥へと進んでみることにした。
 しばらく森の中を進むと、ゴブリンの声が聞こえてきた。

「ギィッギィ」

 遠くの方で俺から見て右から左へと横切るように数体のゴブリンが歩いている。
 奴らは弱いから、もう隠れて様子を見る必要もないな。

「『ファイアアロー!』」

 目に付いたゴブリンへ炎の矢を発射しながらフライで近づいていく。
 炎の矢が命中して爆発する。
 残ったゴブリンがギィギィと騒ぎ出した。

「ニゲ、ル!」

 騒いでるゴブリンから「逃げる」と聞こえた気がして手を止める。
 一際大きなゴブリンがいた。
 人間の成人男性位の身長だ。
 大きなゴブリンが走って逃げて行くので、後ろからアイスバレットを打ち込む。

「グアアッ!」

 右腕を撃ち抜かれて、大きなゴブリンが悲鳴を上げて転げ回る。
 それを確認して、先に他のゴブリンをアイスバレットで始末する。
 他の始末を終えてから、そいつに声をかけてみる。

「おい、ゴブリン。俺の言葉が分かるか?」
「グウウ……」
「答えろ!
『ウィンドカッター!』」

 威嚇のために、地面に風の刃を叩きつける。

「グオオッ! ヤ、メ! ワカ、ル!」
「おおっ! 分かるのか!」
「グウウ……ワカ、ル……」

 何故かゴブリンと話せている。
 知性のある魔物なら話せるってことか。
 こいつも口の動きと聞こえてくる言葉が合ってない。

--------------------------------------------------
★【R18完全版】のご案内★

本作は「ノクターンノベルズ」にて、ここには書けない過激な描写(18禁シーン)を全て収録した
『R18完全版(オリジナル版)』
を連載中です。

カットされた「夜の営み」や「リューイチの容赦ない制裁」を楽しみたい方は、ぜひそちらをご覧ください。
激しいシーンを、遠慮なく細部に渡って克明に描写しております。

【探し方】
Web検索、またはノクターンノベルズのサイト内で
『 おっさん異世界物語 』
と検索してください。
(※作者名『眠れる森のおっさん』で検索しても見つかります)
--------------------------------------------------
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

世界最強の七賢者がお世話係の俺にだけはデレデレすぎる件

Y.
恋愛
国の頂点に君臨し、神にも等しい力を持つ『七賢者』。 火・水・風・土・光・闇・氷の属性を極めた彼女たちは、畏怖の対象として国民から崇められていた。 ――だが、その「聖域」の扉を一枚隔てた先では、とんでもない光景が広がっていた。 「アルトぉ、この服脱がせてー。熱いから魔法で燃やしちゃった」 「……アルトが隣にいないと、私、一生布団から出ないから」 「いいじゃない、減るもんじゃないし。さあ、私と混ざり合いましょう?」 彼女たちの正体は、私生活が壊滅的にポンコツで、特定の一人に依存しきったデレデレな美少女たちだった! 魔法の才能ゼロの雑用係・アルトは、世界で唯一「彼女たちの暴走魔力に耐えられる」という理由で、24時間体制の身の回りのお世話をすることに。 着替え、食事の介助、添い寝(!?)まで……。 世界最強の7人に取り合われ、振り回され、いじり倒される。 胃袋と心根をガッチリ掴んだお世話係と、愛が重すぎる最強ヒロインたちによる、至福の異世界ハーレムラブコメ、開幕!

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

処理中です...