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第1章 グリム編
第32話 強敵『オーク』出現! そしてギルドで絡んでくるチンピラ冒険者
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――翌日。
遅い朝食をとってから、魔の森へとやってきた。
人目につかない場所でフライを発動し、魔の森の浅い層を探索する。
体感的に2~3時間の探索で、猪を1頭、角ウサギとゴブリンを複数仕留めることができた。
木の上で休憩をとってから、また少し森の奥へと行くことにした。
昨日はメリン川の向こう側にゴブリンの集落があった。そっちに魔物が多いのかも知れない。
メリン川を渡って西側を森の奥へと進んでいく。
しばらく獲物を発見できない時間が続く。
ふと遠くから足音が聞こえてきた。
フライで飛びながら足音のした方へ近づくと、前方30メートル先に2つの巨体の後ろ姿が目に飛び込んできた。
チラリと横顔が見えた。
大きな体躯に豚の頭が乗っかっている。
地球の格闘家よりも背が高くて体幹が太い。
人類とは骨格が違うのだと、一目見て分かる。
丸太のような馬鹿デカイこん棒を持っている。
あんなもので殴られたら間違いなく即死する。
だが、急所は丸出しだ。
いける。
腰に毛皮を巻いているだけで、他には何の防具もない。
「『ファイアアロー!』」
手始めに炎の矢を2本作り出して、2体の頭部に向けて撃ち放つ。
炎の矢は狙いを違わず後頭部に着弾した。爆発音が上がる。
しかし直撃を食らったはずの2体とも、爆発の衝撃を耐えて踏みとどまった。
倒れない。
奴らが振り返って俺を睨む。
発見された。
こん棒を振り回しながら、ズシンッ…ズシンッ…と足音を立てて走って来る。
「『アイスバレット!』」
残り20メートル。
前を走る1体に向かって氷弾を連射していく。
何発も胴体に命中する。
心臓にも当たっているはずだが、全く怯む様子がない。
脚にも命中しているのに止まらない。
腕に命中しても、こん棒を振り落とさない。
「『エアハンマー!』」
残り15メートル。
少し遠いが圧縮した空気の塊を放って足止めを図る。
前を走る奴がエアハンマーを受けて少し速度を緩めたが、またすぐに速度を取り戻して走り始める。
あと10メートル。
俺の腰の高さに巨体の頭がある。
こん棒が当たる。
死ぬ。
迫りくる死の気配に怖気が走った。
「うおお!
『ウィンドカッター!』」
間近に迫る巨体の首を狙って、複数の風の刃を瞬時に撃ち放つ。
これで駄目なら逃げる!
風の刃を受けて首が深く切り裂かれた。
足を踏み外した巨体が地面を滑る。
後ろを走っていた奴にも首を狙って複数の風の刃を叩き込む。
致命傷を負い、巨体が地面に倒れ込んだ。
手足をバタつかせてもがいている。
数分して、ようやく巨体の動きが完全に止まった。
動かなくなった。
俺は空中に立ったまま、呆然としてその様子を眺めていた。
地面に降りて近寄る。
豚に似た顔。
物凄い体格だ。
骨格が太い。
ファイアアローが直撃した後頭部は皮膚が焦げているが、頭蓋骨にはヒビも入っていない。
アイスバレットは分厚い筋肉と脂肪、頑丈な肋骨に阻まれて急所に届いていないようだ。
ウィンドカッターで切りつけた首も頚椎は無傷だ。
遠距離からの攻撃では突進を止めることができなかった。
仕留められたから良かったものの、至近距離から首の頸動脈を切断するなんて賭けに出てしまった。一歩間違えば俺が死んでいた。
この魔物と戦うには今のままでは駄目だ。
力不足だ。
巨体の死骸を観察しながら思案を巡らせる。
今日はこれで街へ帰ることにする。
異次元魔法は大分慣れてきた。魔物の巨体も問題なく収納できた。
街に帰ったら、冒険者ギルドのバランに小物の査定を依頼する。
「猪と角ウサギ、それと魔石か。
合わせて金貨1枚、銀貨3枚、銅貨5枚だな」
「それでいい。買い取ってくれ。
……それと豚の顔した魔物のことを聞きたいんだが」
「おう。オークのことか?」
「ああ、それだ。オークってのはどうなんだ?」
「そりゃあ、おめえ。
オークつったら最上級の肉よ。
内臓も旨いし、薬にもなるぞ」
「どうやって仕留めるんだ?」
「そりゃあ、大人数で取り囲むしかねえだろうが、奴らは魔の森の奥にいる。
そこまで行くだけでも命懸けだからな。
滅多に出回らねえよ」
「1人で仕留められる奴はいないのか?」
「グリムにはいねえだろうなあ」
「なるほどな」
豚の魔物はオークだったようだ。
オークを倒せる奴はそうそういないらしい。
バランから買取札を受け取って、ギルドの受付で換金する。
ギルドを出ようとしたところで後ろから声をかけられた。
「おっさんよお。ちょっと面貸せや」
酒場の方から無精髭を生やした2人組の男が近寄ってきた。
2人とも帯剣している。
「……ああ? 何の用だ?」
「細けえこたぁいいんだよ。黙ってついて来い」
「断る。何の用かも分からんのに、ついてく義理はねえな」
「ジジイ! ゴチャゴチャうるせえんだよ!」
――ゴガッ
片方の男に不意を突かれ、鼻っ柱を強く殴られた。
壁際へ吹っ飛ぶ。
後頭部を強かにぶつけた。
目の前がチカチカする。
鼻が痛い。
「このグズがよお! 黙ってついてくりゃいいんだよ!」
俺を殴った奴が執拗に腹蹴りを加えてくる。体を丸めて防御に徹する。
ここで魔法を使えば騒ぎが大きくなる。今は耐えるしかない。
「やめろ! やめるんだ、てめえら!」
「そこまでにしなさい。
これ以上は冒険者プレートをはく奪しますよ」
腹蹴りに耐えていると、買取所のバランとギルドマスターのシスモンドがやってきた。
「チッ!
ジジイ。これ位にしといてやるよ」
「おっさんよお。弱えのにイキがってんじゃねえよ。
今度は口ごたえすんなよ?」
2人組が捨て台詞を残して冒険者ギルドを出ていった。
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腕に命中しても、こん棒を振り落とさない。
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残り15メートル。
少し遠いが圧縮した空気の塊を放って足止めを図る。
前を走る奴がエアハンマーを受けて少し速度を緩めたが、またすぐに速度を取り戻して走り始める。
あと10メートル。
俺の腰の高さに巨体の頭がある。
こん棒が当たる。
死ぬ。
迫りくる死の気配に怖気が走った。
「うおお!
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間近に迫る巨体の首を狙って、複数の風の刃を瞬時に撃ち放つ。
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風の刃を受けて首が深く切り裂かれた。
足を踏み外した巨体が地面を滑る。
後ろを走っていた奴にも首を狙って複数の風の刃を叩き込む。
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