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第1章 グリム編
第36話 囚われの姫は『ヘルガ』!? 盗賊一味を魔法で一掃せよ
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「おっさんよお。ここだ。入れ」
目的地についたようだ。
2人組があばら家の扉を開けて中に入っていく。
奴らの後に続いて、俺も中に入る。
「ここに立ってろよぉ。動くんじゃねえぞ」
俺は室内の中央に立たされる。
前に俺を殴った奴が、扉の前に立って出口を塞ぐ。
視線を動かして室内を見回す。
平屋だ。薄暗い。
奥の椅子に座った男が1人。10メートルの距離。
右奥にベッドが1つ。
ベッドに腰かけた男が1人。
ベッドにボロ布をかけられて誰か寝転がっている。
あれがニーアか?
「連れてきたぜ。ガンズの旦那」
「やっと来やがったか。てめえ。手間取らせやがってよう」
ガンズと呼ばれた男が返事をした。
右手にナイフを持ってベッドに腰かけている。
「そいつの武器を奪え」
ガンズが俺の隣の無精髭に命令した。
「おっさんよお。ベルトを外して前に放り投げろや」
言われた通りにベルトを外して、片手剣と財布を前に放り投げる。
ガンズがベッドに腰かけたまま、俺に話しかけてくる。
「てめえ。トール達をどうしやがった?」
「……何のことだ?」
「てめえを追って魔の森に行った奴らのことだ」
「……知らんな」
話が繋がってきたぞ。
トールってのは俺の金を狙った3人組のうちの1人だ。
奴らは俺が魔の森で始末した。
「知らねえはずがあるかよう!? 正直に吐けえ!」
ガンズがベッドのボロ布を剥ぎ取る。
寝ていた人間の髪の毛を鷲掴みにして、無理やり起き上がらせた。
ナイフを首に当てて凄む。
「こいつをぶっ殺されてもいいってのか!? ああ!?」
「んんんー! んんー!」
(………………)
ガンズが女の口に咬ませた布に指を引っ掛けてずらした。
「もがもが…ぷはっ! リューイチさん! 助けてください!!」
――ヘルガだった。何故かヘルガが捕まっていた。
(………………おまえかよ!)
「どうだ? 素直に吐けば、楽に殺してやろうじゃねえか」
「いったあい! やめて! 髪の毛ひっぱらないで!」
ヘルガが髪の毛を引っ張られて痛がっている。
全く状況が分からないが、とにかく攫われたのはニーアじゃなかったようだ。
胸を撫でおろすと同時に、強烈な脱力感に襲われる。
「……ふう。あ~分かった。話す話す」
俺は溜息をつき、一瞬で魔法を構築する。
不可視の空気の刃を撃ち放つ。
隣に立つ無精髭の喉元が深々と切り裂かれた。
鮮血をまき散らし、どうっと倒れ込む。
同時に、ナイフを持つガンズの右腕めがけて風の刃を放つ。
「ぐあっ!」
腕を深く斬られたガンズがナイフを取り落とす。
続いて椅子に座った男の脳天に小さめの氷弾を撃ち込む。
「ぽげっ」
眉間を撃ち抜かれた男が、間の抜けた声を上げて絶命した。
振り返って出口を塞ぐ男に圧縮された空気の塊を撃ち放つ。
「いぎゃあっ!」
両膝を砕かれた男が悲鳴を上げて崩れ落ちる。
倒れた所に近づいて、思いっきり顔面を蹴り上げる。
「ぷごっ」
蹴り上げた男が白目を剥いて気絶したのを確認して、眉間に氷弾を打ち込む。
確実に息の根を止めた。
振り返ってガンズを見る。
あと生きているのは、こいつだけだ。
「俺の…俺の腕がああ!」
「ひいい……あわわわ」
ガンズが傷口を左手で押さえて止血しながら叫んでいる。
両手を縛られたヘルガは、ベッドの上を後ずさっている。
俺はガンズに近づきながらファイアボールを発動して火球を宙に浮かべる。
「ガンズって言ったか? これが何だか分かるか?」
「ひっ……ファイア、ボール」
「ガンズ。生きたまま焼かれてみたいか?」
「や、やめてくれえ! すまなかった!
魔術師だなんて知らなかったんだ!」
「それじゃあ、今度はお前が正直に吐く番だよな」
「分かった、しょ、正直に話す!」
「よし。じゃあ、話せ。
何でこいつが俺の奴隷なんだ?」
「え? あ、ああ……昨日あんたがこの女を追い込んでるとこ……奴隷商に身売りさせようとしてんのを、ウチの奴が見てたんだ」
「なに? 俺がこいつを追い込むだと?」
「違うのか? 因縁つけて仕事辞めさせてよう。
……奴隷に落として手籠めにするつもりだったんだろ?
よくある手口じゃねえか」
そういえば……昨日ヘルガに会った時に、奴隷商に身売りするだの何だの言ってたような気がする。
ガンズの隣で黙って話を聞いているヘルガを見る。
「あはっあははっ?
……そういえばそんなこと言った、かも~?」
こ、こいつ……マジでイラつかせる奴だな。
またこいつのせいかよ。
「……なるほどな。
で、他に攫った女はいないのか?」
「い、いねえよ……この女だけだ。他は攫ってねえ」
「よし。分かった。もうお前に用はない。
『エアハンマー』」
圧縮した空気の塊をガンズの顔に向かって放つ。
ゴグッと嫌な音が響き、首があらぬ方向に曲がって床に倒れ込んだ。
「ひえええ……」
目の前で殺されたガンズを見て、ヘルガが慄いている。
ファイアボールを解除して、代わりに小さな炎でヘルガを照らす。
後ろ手に両手をロープで縛られている。
つぎはぎだらけのボロい服を着ている。
こいつはギルドの制服以外じゃ、こんな服しか持ってないのか?
「さて、ヘルガ。お前をどうするか、だな」
「あははっ……リューイチさんって強いんですね~! すごいな~格好いい!」
「お前。俺の魔法を見たな?
見られたからには生かしておけないな。
やはり、お前も口封じが必要か」
「ちょ! ちょっと待ったあ! ちょ~っと待ってくださいよ~!
あ、あれ? あたし何でここにいるんだっけ~?
何にも覚えてないや……あはっ」
ヘルガを眺める。
ファイアボール程度なら見られても構わないが、こいつは俺の魔法を見過ぎた。
何があるか分からんからな。
どう釘を刺しておくか。
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「……何のことだ?」
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寝ていた人間の髪の毛を鷲掴みにして、無理やり起き上がらせた。
ナイフを首に当てて凄む。
「こいつをぶっ殺されてもいいってのか!? ああ!?」
「んんんー! んんー!」
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(………………おまえかよ!)
「どうだ? 素直に吐けば、楽に殺してやろうじゃねえか」
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ヘルガが髪の毛を引っ張られて痛がっている。
全く状況が分からないが、とにかく攫われたのはニーアじゃなかったようだ。
胸を撫でおろすと同時に、強烈な脱力感に襲われる。
「……ふう。あ~分かった。話す話す」
俺は溜息をつき、一瞬で魔法を構築する。
不可視の空気の刃を撃ち放つ。
隣に立つ無精髭の喉元が深々と切り裂かれた。
鮮血をまき散らし、どうっと倒れ込む。
同時に、ナイフを持つガンズの右腕めがけて風の刃を放つ。
「ぐあっ!」
腕を深く斬られたガンズがナイフを取り落とす。
続いて椅子に座った男の脳天に小さめの氷弾を撃ち込む。
「ぽげっ」
眉間を撃ち抜かれた男が、間の抜けた声を上げて絶命した。
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倒れた所に近づいて、思いっきり顔面を蹴り上げる。
「ぷごっ」
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確実に息の根を止めた。
振り返ってガンズを見る。
あと生きているのは、こいつだけだ。
「俺の…俺の腕がああ!」
「ひいい……あわわわ」
ガンズが傷口を左手で押さえて止血しながら叫んでいる。
両手を縛られたヘルガは、ベッドの上を後ずさっている。
俺はガンズに近づきながらファイアボールを発動して火球を宙に浮かべる。
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「ひっ……ファイア、ボール」
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