「魔女」と俺の日常

蓮 怜

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1、前の席の美女

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 俺のクラスには学校一の美女がいる。周りから人気がすごく、特に女子からの支持を集めている。
 しかし彼女は、ある欠点により、一部では『魔女』とも呼ばれている。そんな彼女と仲がいい俺は彼女の欠点を知らない男どもから嫉妬される。嫉妬されるのは嫌なのでここで彼女との日常を書こうと思う。

◇◇◇

 高校生になって一ヶ月。中学とは少し離れたスポーツで有名な高校に中学の時に高校の先生から推薦を受けていた俺は、そのまま軽くテストを受けて入学した。
 初めて彼女を見た時は、一瞬息が止まった。
 透き通るほどに白い肌と腰まである艶やかな黒い髪。ふっくらとした赤い唇に丸くて大きな目。どこか儚げなように見えるが、彼女の強い意思を映した瞳がそうではないと告げている。
 「初めまして、飯田 花鈴です。得意な科目は数学で苦手な教科は、家庭科と美術です。よろしくお願いします」
綺麗な礼をして席に座った彼女に見惚れてしまい次は俺の番だということをすっかり忘れていた。気づいた時に慌てて
 「上野 航太です。よろしく」
と言ったがみんなも彼女に見惚れていて多分俺の自己紹介など聞いてもいないのだろう。クラスのみんなの視線が彼女にあるのを見て悟った。
 まあそういうわけで出席番号順で並んで座っているので俺は学校一の美女の後ろの席となった。

◇◇◇

 入学式の次の日、昨日の様なクラスの親睦の時間ではなく普通の授業が始まった。
 初めての高校での授業なのにクラスのみんなは先生の顔を見てしっかり授業を聞いているのなんて、真面目な生徒か彼女だけだ。その他大勢はみんな彼女を見ている。俺の席では残念ながら彼女の顔を見ることができないが、見ることができていたら俺も見ていただろう。
 そんな中彼女がシャーペンを落としてしまう…次の瞬間
 ドタドタ!という足音が聞こえそうなほどの勢いでみんなが彼女のシャーペンを拾おうと動いた。彼女の席は廊下側の一番前だ。残念ながら彼女がシャーペンを落としたのは、ドアの近く。誰かが拾う前に彼女はスッと自分で拾ってしまった。
 彼女のシャーペンを拾おうとした者は、一斉に動きを止めた。
 教室を見回すとほとんどの男どもが席を立っていた。シャーペンをきっかけに仲良くなってあわよくばとでも思ったのだろう。自分も少し腰を上げていたのを棚に上げて周りを観察していると、彼女もこの状況に気づいた様だ。
すると彼女の目はスッと冷たくなり、
 「わざわざ遠くの席から人のシャーペンを拾いにきて何が楽しいの?」
 小さくだがはっきりと言った。みんなが一斉にシャーペンを拾いに行ったことが本人にバレてシンっとしていたクラスには、彼女の声がよく聞こえており、彼女が座った瞬間みんながうなだれながら自分の席に戻って行った。
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