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第2章 流転
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輸送船が到着した惑星は、規模の大きな星だった。
それまでソルがいた惑星と違い、沢山のビルが立ち並び、人々が行き交う。都市とは行かないまでも活気があった。
中立国に連なる惑星の一つ。
ここなら、帝国の情報を得る手段もあるだろう。だが、どうやればアレク自身と連絡がつくのか分からない。
帝国の傭兵部隊だと言っていたけれど…。
連合の艦が港についてから、ソルは志願の申し込みを夕刻まで待ってもらっていた。
別に自分一人入隊しようがしまいが、関係ないのだろうが、担当した兵士は律義に応じてくれた。
邪険に扱わない所を見ると、兵士が必要な他に、それなりにこういった素性の子どもたちの苦労を知っているのだろうか。
ケイパーとはそこで一旦別れた。
気前よく見送ってくれたが、どうせまた会うだろうと口にする。
ソルもそうなることは予測していたが、それでも、僅かな期待もあり。
とりあえずアレクに関わる情報を得ようと、誰でも利用できる街頭のコンピューターシステムを使ってアクセスした。
個人番号を入力すれば、誰でもある程度の情報がつかめる。
少しためらったのち、『アレク・ラハティ』と入力した。ついでに年齢と容姿も。
十九才。金髪碧眼。
言葉は共通語を話していたから母国語はどこかは分からない。他に検索に使えそうな情報はなかった。
暫くして該当者が表示される。
上から順にそれらしきものを選別していくと、ようやく下の方に目的に近いものがあった。
そこには『エテルノ帝国 宇宙軍大尉』とだけある。
「これだ…」
しかし連絡先などあるはずもなく。情報は制限がかかり、それ以上見ることが出来なかった。
当たり前と言えば当たり前だ。
仕方なくこの星で帝国に関わる場所はないかと探る。
そこで直接、アレクの傭兵部隊について尋ねてみようと思ったからだ。無謀だとは思ったが他に手はない。
見ると駐在所があった。
そこなら何か連絡先が分かるかもしれない。
僅かな希望をそこにかけた。
情報を頼りに駐在所についたのは昼過ぎ。入口には衛兵が銃を構え立っている。
一体どう声をかければいいのかと逡巡していると、不審に思った衛兵の一人がこちらに向かってきた。
「おい、お前。さっきからそこで何をしてる? 用がないのなら立ち去れ」
それでようやくソルは勇気を振り絞って口を開く。同盟やアレクと違って、帝国の兵士の態度は高圧的で冷たい。
腰の銃に手を当てているのを見れば、子どもでも容赦しないだろう事がうかがわれた。
「あの…、人を探していて…。アレク・ラハティ大尉とは何処に行けば会えますか?」
ソルのような子供からその名が出たのが不思議だったのだろう。一気に眉間にしわが寄る。
「貴様、なぜその名を知っている? 大尉になんの用だ?」
用心深く兵士は俺を上から下まで探る様に見てきた。
「…会いたいんです。その、彼の戦闘機を修理した時、約束をして…」
「修理? いったいいつの話だ?」
兵士はますます怪訝な表情になる。こんな子どもが修理とはありえないのだろう。
まして、約束など。
声をかけたことを後悔した。
「会えないならいいです…。ご迷惑おかけしました…」
軽く目礼して、兵士に背を向ける。
足早に去る背後で、なんだあのガキは? と声を荒げる兵士の声が聞こえた。
それも当然だろう。
ソルは結局、その日の夜、連合の兵士へ志願した。
それまでソルがいた惑星と違い、沢山のビルが立ち並び、人々が行き交う。都市とは行かないまでも活気があった。
中立国に連なる惑星の一つ。
ここなら、帝国の情報を得る手段もあるだろう。だが、どうやればアレク自身と連絡がつくのか分からない。
帝国の傭兵部隊だと言っていたけれど…。
連合の艦が港についてから、ソルは志願の申し込みを夕刻まで待ってもらっていた。
別に自分一人入隊しようがしまいが、関係ないのだろうが、担当した兵士は律義に応じてくれた。
邪険に扱わない所を見ると、兵士が必要な他に、それなりにこういった素性の子どもたちの苦労を知っているのだろうか。
ケイパーとはそこで一旦別れた。
気前よく見送ってくれたが、どうせまた会うだろうと口にする。
ソルもそうなることは予測していたが、それでも、僅かな期待もあり。
とりあえずアレクに関わる情報を得ようと、誰でも利用できる街頭のコンピューターシステムを使ってアクセスした。
個人番号を入力すれば、誰でもある程度の情報がつかめる。
少しためらったのち、『アレク・ラハティ』と入力した。ついでに年齢と容姿も。
十九才。金髪碧眼。
言葉は共通語を話していたから母国語はどこかは分からない。他に検索に使えそうな情報はなかった。
暫くして該当者が表示される。
上から順にそれらしきものを選別していくと、ようやく下の方に目的に近いものがあった。
そこには『エテルノ帝国 宇宙軍大尉』とだけある。
「これだ…」
しかし連絡先などあるはずもなく。情報は制限がかかり、それ以上見ることが出来なかった。
当たり前と言えば当たり前だ。
仕方なくこの星で帝国に関わる場所はないかと探る。
そこで直接、アレクの傭兵部隊について尋ねてみようと思ったからだ。無謀だとは思ったが他に手はない。
見ると駐在所があった。
そこなら何か連絡先が分かるかもしれない。
僅かな希望をそこにかけた。
情報を頼りに駐在所についたのは昼過ぎ。入口には衛兵が銃を構え立っている。
一体どう声をかければいいのかと逡巡していると、不審に思った衛兵の一人がこちらに向かってきた。
「おい、お前。さっきからそこで何をしてる? 用がないのなら立ち去れ」
それでようやくソルは勇気を振り絞って口を開く。同盟やアレクと違って、帝国の兵士の態度は高圧的で冷たい。
腰の銃に手を当てているのを見れば、子どもでも容赦しないだろう事がうかがわれた。
「あの…、人を探していて…。アレク・ラハティ大尉とは何処に行けば会えますか?」
ソルのような子供からその名が出たのが不思議だったのだろう。一気に眉間にしわが寄る。
「貴様、なぜその名を知っている? 大尉になんの用だ?」
用心深く兵士は俺を上から下まで探る様に見てきた。
「…会いたいんです。その、彼の戦闘機を修理した時、約束をして…」
「修理? いったいいつの話だ?」
兵士はますます怪訝な表情になる。こんな子どもが修理とはありえないのだろう。
まして、約束など。
声をかけたことを後悔した。
「会えないならいいです…。ご迷惑おかけしました…」
軽く目礼して、兵士に背を向ける。
足早に去る背後で、なんだあのガキは? と声を荒げる兵士の声が聞こえた。
それも当然だろう。
ソルは結局、その日の夜、連合の兵士へ志願した。
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