8 / 56
1章 僕の怪談のはじまり ~新谷坂山の口だけ女~
口だけ女と夜食をともに
しおりを挟む
「ナナオさん、探すっていってもどこを探すのさ」
「うーん、昔の偉い人がこの山に封印したんだろ? じゃあ昔の文献、とか」
「文献? 図書館とか?」
「図書館は調べたけど何もなかったからなぁ」
「来歴が書いているなら石碑、とかかな」
今いきなりここで調べるのは限界がある。お化けがどこにいるなんてさ。
とりあえずナナオさんと一緒に石碑石碑と呟きながら境内をうろうろ動き回った。けれども石碑どころか何かが書かれたもの自体が見つからない。普通は神社のいわれとかって入り口とかに書いてあるものなのに、それもない。事前に調べたけど、伝承が喪失したってこういうことなのかなって思う。
これじゃあこの神社がいつからあって、何を祀っているのかもよくわからないや。
僕が調べたことなんて当然ナナオさんも調査済だろうし、結局の所これ以上できることはないように思う。
「手がかり、何もないね」
「うーん、ないなぁ。絵馬とかにヒントがあったりしないかなぁ?」
「絵馬に?」
絵馬掛所の絵馬も片っ端からのぞいてみたけど8割がたの恋の絵馬と2割がたの普通のお祈り絵馬が奉納されているだけ。ヒントみたいなものはなかった。
当然といえば当然だけれど。クイズじゃないんだし。
社務所も見てみた。鍵がかかっていて、無理にゆすると扉が壊れそうだったのであきらめた。薄く曇った窓ガラスから懐中電灯を照らしててみても、物自体があまりない。空っぽのスチールラックと簡易の机と椅子くらい。
本殿ものぞいてみたけど、神殿に榊やお神酒がささげられ、神鏡や御幣、大麻(ふさふさした白いの)や灯明なんかはあったけれど、他のものは何もなかった。最低限のものだけお祀りしてある感じでヒントになるものってなにもなさそう。
そもそも普段ここには誰もいないだろうから、貴重な資料を置いてたらかえって危険だよね。盗難とか考えたら。
その後も僕らは境内をうろうろ歩き回る。
賽銭箱、手水舎、井戸、鳥居、狛犬、灯篭。
一通り調べてはみたけど、どこにも文字なんかなかった。
「ちょっと手詰まりだな。どうしたもんかなぁ?」
「やっぱり無理じゃない? そもそも封印がどこにあるのかもわからないし」
「そうはいってもさ。私の勘が何とかなると言っている」
ナナオさんは自信たっぷり断言する。
ナナオさんの勘はわりとあたるからなぁ、いい方と悪い方と均等に。
八方手を尽くして何もない。仕方がないから口だけ女の子のところに戻って作戦会議を続けることにした。どうせ朝まで行くところはない。……女の子がこの周辺にいる以上、下手に動くこともできない。
再びぺたりと冷たい石畳に座り込む。
「ごめん、何もみつかんなかった」
「そう。でもありがとう」
僕は口だけ女状態を見ていないし声はかわいいものだから、時間が経つにつれて恐ろしさは段々と薄れていた。でもナナオさんは口だけ女状態の姿を見ている。怖くないのかな、怖いんだろうな。でも多分。怖い以上に、なんとかしてあげたいっていう気持ちが勝っているんだと思う。僕には無理だ。
時刻は既に午前2時。正直寒い。
石畳からじんわり冷気があがって少し冷えてきた。上着はナナオさんに貸してしまったし、と思って僕は簡易のクッキングセットをリュックから引っ張り出す。僕の父さんは多趣味な人で、二人でキャンプにいったことを思い出しながら。
小さなガスバーナーとコッヘルのセットとドリッパー。コッヘルっていうのはキャンプ用品で、マトリョーシカみたいにいくつもの皿替わりにもなる軽量鍋が組み合わさって入ってる。それにインスタントラーメンにインスタントコーヒー。
バーナーに火をつけ一番大きい鍋、といっても手鍋サイズだけど、それに水筒から水をいれてお湯を沸かす。お湯の一部はドリッパーでコーヒーを作って、残りはそのままラーメンを作る。
「トッチーすげえ。なんでこんなもんもってきたん」
「どう考えたって一泊ルートだし。徹夜だと夜食くらい必要でしょ。おなかすくじゃん」
さすがに山の上の真っ暗な神社でのんきに寝てらんないよ。野犬も出るって話だったし。
ほわほわ漂う暖かな白い湯気。ふわりと広がる珈琲の香りと食欲をそそるラーメンの匂い。
その中でナナオさんは森の奥の暗闇をじっと見つめていた。
「あの子は一緒に食べらんないよな」
「近寄れないならラーメンは無理でしょ。お菓子ならあるけど」
クッキーの袋をナナオさんに渡す。
ナナオさんは受け取って、と暗闇に声をかけてクッキーの袋を投げ入れる。
パサっという袋が落下した音がした場所にガサガサと何かが移動する音がする。
いる。その動物じみた音は怖い。
「クッキーだよ。おいしいから食べて」
「ありがとう」
小さい声が応えた。少しだけ恐ろしさは薄らいだ。なんだか頭の中が不安定で、くらくらする。
暗闇を挟んで夜食を食べながら再開される話し合い。
女の子はかなり前にお母さんと一緒にこの山に封印されたけど、しばらく前に女の子だけ外に出たらしい。でも封印への戻り方はわからなくてずっとこの山のあたりを彷徨っていた。
封印された時のことはよく覚えていない。神社のほうから何かがやってきて、気が付いたら封印されていたそうだ。封印されている間の記憶はあまりない。結構長い時間だと思うけど、どのくらいかはよくわからない。
……直接は詳しくは聞けなかったけれど、人や動物といった動くものがいれば無意識に襲い掛かってしまうようで、野犬被害っていうのは多分この子の仕業だと思う。恐怖が少し、帰ってきた。
それから女の子はこの神社の中には入れないらしい。
そこで、僕は疑問に思う。
「ねぇ、神社の中に入れないの? 君が封印から出た時はこの神社から出たんじゃないの?」
少し考えるような間ののち、小さな風と一緒に女の子の声が耳に届いた。
「……私が出たのはもっと山の下のほう。でもどこかはもうわからないな。神社の中には全然入れないし、ここから出たわけじゃないと思う……」
そうすると封印はもっと麓のほうにあるのかな。でも麓といっても山の外周なわけで、手当たり次第に探すわけにはいかないし探せる範囲じゃない。
「あれ? 私、昔えらい人がここで悪いものを、あっごめん、とにかくここで封印したからここに神社ができたって聞いたんだけど」
「神社が後なの? じゃあ封印は麓と神社と2つあるのかな。お母さんは麓のほうにいる?」
「……ううん、よくわからないけど、お母さんは神社のところに、この近くにいる気がするの」
ハフハフとラーメンをすするナナオさんに淹れたてのコーヒーを渡しながら考える。
女の子とお母さんは一緒に封印に入って同じ封印の中にいて、女の子は麓から出て来た。お母さんは山の上のここにいる。
あれ?
『……新谷坂山はいい山で、昔えらい人が超悪いのをたくさん封印して……』
ナナオさんの言葉を聞いて、僕は新谷坂山は霊山なのかなって思った。
新谷坂神社が出来たのが後のことならば、ひょっとして悪いものを封印しているのは新谷坂神社じゃなくて新谷坂山全体、なのかな。
山が封印?
麓も神社も含めた山全体で『悪いもの』を封印しているんだろうか。
『鉄道会社が山を削ろうとして』なんだかよくわかんないけど『悪いこと』が起こった。『トンネルを掘る話』があって進めてたらなんだかよくわかんないけど『悪いこと』が起こった。
悪いことがおきるのはいつも山を削る時。
そうすると山全体が封印で、山を掘ったら封印に辿りつく……?
なんだかすごく規模が大きくなってきた。
その仮説をナナオさんに話す。
あの子のお母さんが山の中にいるのなら僕らに山を掘るなんてできないよ。それにそもそも僕らは封印を開放したいんじゃない。もっとライトに、簡単に手紙とか何かで繋ぎをつけたいと思っているだけ。
ちょっともう僕らの手におえるレベルじゃないと思う。女の子にもそう告げようと思ったとき。ナナオさんはパチっと指で音をならした。
「ナイス、トッチー! やるじゃん!」
え、今の話のどこにそんな前向きになる余地があるのさ。スコップとか持ってきてないよ。
「ようするにさ、山の底に封印があるわけだろ? 地面の中に入ればいいわけだよな」
そういってナナオさんが指さしたのは境内の井戸だった。
真っ暗な境内の奥底でますます暗く沈む井戸。
そしてその会話を少し崩れかけた社の瓦の上から密かに聞いていた者がいた。
なんと面白きこと。
我がこれほど驚いたのは初めてかも知れぬ。
よもや自らを襲った怪異に情けをかけるとは。
あれはそれほど強い怪異ではないにせよ、あの者共に比べれば圧倒的だ。封印の守りがなければあっという間に食われていただろう。以前に封印を解いた人間と同じように。
彼の方も慈悲深い方ではあったが、怪異にまで慈悲を向けることはなかった。
それに……思い返してみれば、我は怪異をとらえて封印はするものの、怪異自身に目を向けることはなかった。怪異に話しかけるなど考えたこともなかったのだ。
今の世とはこういうものなのだろうか?
怪異と人は混じりうるものになっているのだろうか。
あの者らは封印を解放するようなことも述べていた。もしそうなら、解放したほうが良いのであろうか? 時というものは移り変わっていくものだ。それがどのような意味や結果をもたらすものだとしても。
しかし、我はただの封印のふたである。それを判断する役目は持たぬ。
今しばし、見守ろう。
「うーん、昔の偉い人がこの山に封印したんだろ? じゃあ昔の文献、とか」
「文献? 図書館とか?」
「図書館は調べたけど何もなかったからなぁ」
「来歴が書いているなら石碑、とかかな」
今いきなりここで調べるのは限界がある。お化けがどこにいるなんてさ。
とりあえずナナオさんと一緒に石碑石碑と呟きながら境内をうろうろ動き回った。けれども石碑どころか何かが書かれたもの自体が見つからない。普通は神社のいわれとかって入り口とかに書いてあるものなのに、それもない。事前に調べたけど、伝承が喪失したってこういうことなのかなって思う。
これじゃあこの神社がいつからあって、何を祀っているのかもよくわからないや。
僕が調べたことなんて当然ナナオさんも調査済だろうし、結局の所これ以上できることはないように思う。
「手がかり、何もないね」
「うーん、ないなぁ。絵馬とかにヒントがあったりしないかなぁ?」
「絵馬に?」
絵馬掛所の絵馬も片っ端からのぞいてみたけど8割がたの恋の絵馬と2割がたの普通のお祈り絵馬が奉納されているだけ。ヒントみたいなものはなかった。
当然といえば当然だけれど。クイズじゃないんだし。
社務所も見てみた。鍵がかかっていて、無理にゆすると扉が壊れそうだったのであきらめた。薄く曇った窓ガラスから懐中電灯を照らしててみても、物自体があまりない。空っぽのスチールラックと簡易の机と椅子くらい。
本殿ものぞいてみたけど、神殿に榊やお神酒がささげられ、神鏡や御幣、大麻(ふさふさした白いの)や灯明なんかはあったけれど、他のものは何もなかった。最低限のものだけお祀りしてある感じでヒントになるものってなにもなさそう。
そもそも普段ここには誰もいないだろうから、貴重な資料を置いてたらかえって危険だよね。盗難とか考えたら。
その後も僕らは境内をうろうろ歩き回る。
賽銭箱、手水舎、井戸、鳥居、狛犬、灯篭。
一通り調べてはみたけど、どこにも文字なんかなかった。
「ちょっと手詰まりだな。どうしたもんかなぁ?」
「やっぱり無理じゃない? そもそも封印がどこにあるのかもわからないし」
「そうはいってもさ。私の勘が何とかなると言っている」
ナナオさんは自信たっぷり断言する。
ナナオさんの勘はわりとあたるからなぁ、いい方と悪い方と均等に。
八方手を尽くして何もない。仕方がないから口だけ女の子のところに戻って作戦会議を続けることにした。どうせ朝まで行くところはない。……女の子がこの周辺にいる以上、下手に動くこともできない。
再びぺたりと冷たい石畳に座り込む。
「ごめん、何もみつかんなかった」
「そう。でもありがとう」
僕は口だけ女状態を見ていないし声はかわいいものだから、時間が経つにつれて恐ろしさは段々と薄れていた。でもナナオさんは口だけ女状態の姿を見ている。怖くないのかな、怖いんだろうな。でも多分。怖い以上に、なんとかしてあげたいっていう気持ちが勝っているんだと思う。僕には無理だ。
時刻は既に午前2時。正直寒い。
石畳からじんわり冷気があがって少し冷えてきた。上着はナナオさんに貸してしまったし、と思って僕は簡易のクッキングセットをリュックから引っ張り出す。僕の父さんは多趣味な人で、二人でキャンプにいったことを思い出しながら。
小さなガスバーナーとコッヘルのセットとドリッパー。コッヘルっていうのはキャンプ用品で、マトリョーシカみたいにいくつもの皿替わりにもなる軽量鍋が組み合わさって入ってる。それにインスタントラーメンにインスタントコーヒー。
バーナーに火をつけ一番大きい鍋、といっても手鍋サイズだけど、それに水筒から水をいれてお湯を沸かす。お湯の一部はドリッパーでコーヒーを作って、残りはそのままラーメンを作る。
「トッチーすげえ。なんでこんなもんもってきたん」
「どう考えたって一泊ルートだし。徹夜だと夜食くらい必要でしょ。おなかすくじゃん」
さすがに山の上の真っ暗な神社でのんきに寝てらんないよ。野犬も出るって話だったし。
ほわほわ漂う暖かな白い湯気。ふわりと広がる珈琲の香りと食欲をそそるラーメンの匂い。
その中でナナオさんは森の奥の暗闇をじっと見つめていた。
「あの子は一緒に食べらんないよな」
「近寄れないならラーメンは無理でしょ。お菓子ならあるけど」
クッキーの袋をナナオさんに渡す。
ナナオさんは受け取って、と暗闇に声をかけてクッキーの袋を投げ入れる。
パサっという袋が落下した音がした場所にガサガサと何かが移動する音がする。
いる。その動物じみた音は怖い。
「クッキーだよ。おいしいから食べて」
「ありがとう」
小さい声が応えた。少しだけ恐ろしさは薄らいだ。なんだか頭の中が不安定で、くらくらする。
暗闇を挟んで夜食を食べながら再開される話し合い。
女の子はかなり前にお母さんと一緒にこの山に封印されたけど、しばらく前に女の子だけ外に出たらしい。でも封印への戻り方はわからなくてずっとこの山のあたりを彷徨っていた。
封印された時のことはよく覚えていない。神社のほうから何かがやってきて、気が付いたら封印されていたそうだ。封印されている間の記憶はあまりない。結構長い時間だと思うけど、どのくらいかはよくわからない。
……直接は詳しくは聞けなかったけれど、人や動物といった動くものがいれば無意識に襲い掛かってしまうようで、野犬被害っていうのは多分この子の仕業だと思う。恐怖が少し、帰ってきた。
それから女の子はこの神社の中には入れないらしい。
そこで、僕は疑問に思う。
「ねぇ、神社の中に入れないの? 君が封印から出た時はこの神社から出たんじゃないの?」
少し考えるような間ののち、小さな風と一緒に女の子の声が耳に届いた。
「……私が出たのはもっと山の下のほう。でもどこかはもうわからないな。神社の中には全然入れないし、ここから出たわけじゃないと思う……」
そうすると封印はもっと麓のほうにあるのかな。でも麓といっても山の外周なわけで、手当たり次第に探すわけにはいかないし探せる範囲じゃない。
「あれ? 私、昔えらい人がここで悪いものを、あっごめん、とにかくここで封印したからここに神社ができたって聞いたんだけど」
「神社が後なの? じゃあ封印は麓と神社と2つあるのかな。お母さんは麓のほうにいる?」
「……ううん、よくわからないけど、お母さんは神社のところに、この近くにいる気がするの」
ハフハフとラーメンをすするナナオさんに淹れたてのコーヒーを渡しながら考える。
女の子とお母さんは一緒に封印に入って同じ封印の中にいて、女の子は麓から出て来た。お母さんは山の上のここにいる。
あれ?
『……新谷坂山はいい山で、昔えらい人が超悪いのをたくさん封印して……』
ナナオさんの言葉を聞いて、僕は新谷坂山は霊山なのかなって思った。
新谷坂神社が出来たのが後のことならば、ひょっとして悪いものを封印しているのは新谷坂神社じゃなくて新谷坂山全体、なのかな。
山が封印?
麓も神社も含めた山全体で『悪いもの』を封印しているんだろうか。
『鉄道会社が山を削ろうとして』なんだかよくわかんないけど『悪いこと』が起こった。『トンネルを掘る話』があって進めてたらなんだかよくわかんないけど『悪いこと』が起こった。
悪いことがおきるのはいつも山を削る時。
そうすると山全体が封印で、山を掘ったら封印に辿りつく……?
なんだかすごく規模が大きくなってきた。
その仮説をナナオさんに話す。
あの子のお母さんが山の中にいるのなら僕らに山を掘るなんてできないよ。それにそもそも僕らは封印を開放したいんじゃない。もっとライトに、簡単に手紙とか何かで繋ぎをつけたいと思っているだけ。
ちょっともう僕らの手におえるレベルじゃないと思う。女の子にもそう告げようと思ったとき。ナナオさんはパチっと指で音をならした。
「ナイス、トッチー! やるじゃん!」
え、今の話のどこにそんな前向きになる余地があるのさ。スコップとか持ってきてないよ。
「ようするにさ、山の底に封印があるわけだろ? 地面の中に入ればいいわけだよな」
そういってナナオさんが指さしたのは境内の井戸だった。
真っ暗な境内の奥底でますます暗く沈む井戸。
そしてその会話を少し崩れかけた社の瓦の上から密かに聞いていた者がいた。
なんと面白きこと。
我がこれほど驚いたのは初めてかも知れぬ。
よもや自らを襲った怪異に情けをかけるとは。
あれはそれほど強い怪異ではないにせよ、あの者共に比べれば圧倒的だ。封印の守りがなければあっという間に食われていただろう。以前に封印を解いた人間と同じように。
彼の方も慈悲深い方ではあったが、怪異にまで慈悲を向けることはなかった。
それに……思い返してみれば、我は怪異をとらえて封印はするものの、怪異自身に目を向けることはなかった。怪異に話しかけるなど考えたこともなかったのだ。
今の世とはこういうものなのだろうか?
怪異と人は混じりうるものになっているのだろうか。
あの者らは封印を解放するようなことも述べていた。もしそうなら、解放したほうが良いのであろうか? 時というものは移り変わっていくものだ。それがどのような意味や結果をもたらすものだとしても。
しかし、我はただの封印のふたである。それを判断する役目は持たぬ。
今しばし、見守ろう。
0
あなたにおすすめの小説
短い怖い話 (怖い話、ホラー、短編集)
本野汐梨 Honno Siori
ホラー
あなたの身近にも訪れるかもしれない恐怖を集めました。
全て一話完結ですのでどこから読んでもらっても構いません。
短くて詳しい概要がよくわからないと思われるかもしれません。しかし、その分、なぜ本文の様な恐怖の事象が起こったのか、あなた自身で考えてみてください。
たくさんの短いお話の中から、是非お気に入りの恐怖を見つけてください。
【完結】アラマーのざまぁ
ジュレヌク
恋愛
幼い頃から愛を誓う人がいた。
周りも、家族も、2人が結ばれるのだと信じていた。
しかし、王命で運命は引き離され、彼女は第二王子の婚約者となる。
アラマーの死を覚悟した抗議に、王は、言った。
『一つだけ、何でも叶えよう』
彼女は、ある事を願った。
彼女は、一矢報いるために、大きな杭を打ち込んだのだ。
そして、月日が経ち、運命が再び動き出す。
10秒で読めるちょっと怖い話。
絢郷水沙
ホラー
ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)
平凡志望なのにスキル【一日一回ガチャ】がSSS級アイテムばかり排出するせいで、学園最強のクール美少女に勘違いされて溺愛される日々が始まった
久遠翠
ファンタジー
平凡こそが至高。そう信じて生きる高校生・神谷湊に発現したスキルは【1日1回ガチャ】。出てくるのは地味なアイテムばかり…と思いきや、時々混じるSSS級の神アイテムが、彼の平凡な日常を木っ端微塵に破壊していく!
ひょんなことから、クラス一の美少女で高嶺の花・月島凛の窮地を救ってしまった湊。正体を隠したはずが、ガチャで手に入れたトンデモアイテムのせいで、次々とボロが出てしまう。
「あなた、一体何者なの…?」
クールな彼女からの疑いと興味は、やがて熱烈なアプローチへと変わり…!?
平凡を愛する男と、彼を最強だと勘違いしたクール美少女、そして秘密を抱えた世話焼き幼馴染が織りなす、勘違い満載の学園ダンジョン・ラブコメ、ここに開幕!
半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜
侑子
恋愛
小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。
父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。
まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。
クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。
その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……?
※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
【完結】結婚式の隣の席
山田森湖
恋愛
親友の結婚式、隣の席に座ったのは——かつて同じ人を想っていた男性だった。
ふとした共感から始まった、ふたりの一夜とその先の関係。
「幸せになってやろう」
過去の想いを超えて、新たな恋に踏み出すラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる