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Scene 2
ずっかちゃん
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「マスター、〈汝を玉にす〉の前に来る、言葉って?」
入り口に一番近いカウンターの席に座っている仁さんが尋ねてくる。
彼は毎週木曜日には、毎日新聞の夕刊に掲載されているクロスワードパズルを解く事に執着している。
もうかれこれ店では1年以上お馴染みの光景である。
お客さんからは見えない位置に置いてある私の腕時計を見ると時刻は7時前、予想通り煮詰まってくると踏んだ頃合いだった。
私はグラスを磨いていた手を休め、仁さんに近づく。
「解けねぇなぁ」
悔しさが滲む声でそう言って、グラスに残った液体を飲み干す。
仁さんの喉が鳴る音と同時に氷がカランと音を立てる。
「ちきしょうめ」
そう言って空になったグラスを私の前に置く。
全世界共通のお代わりの合図。
「全部解いたんだろ?」
グラスを手に作業台に戻る私の背中に仁さんの声。
私は歩を止め首だけ回して口元に笑みを浮かべウィンクで応える。
「ちきしょうめ!」
再び歩を進めた背中にさっきより甲高い声が刺さる。
笑いを噛み殺しながらグラスに残った氷をシンクに捨て、フリーザーから角瓶と氷を取り出す。
氷の大きさを考えながらグラスに積んでゆく。
角瓶をそこへ注ぎバースプーンで軽やかにステア、更にミネラルウォーターを注ぎ今度はゆっくりと5回ステア、慎重にバースプーンを引き抜く。
「で、答えを聞く?」
グラスを仁さんのコースターに乗せて尋ねる。
「言うんじゃねぇ!」
続けて、
「笑うなっ!、ぶっ殺すぞ!」
もう堪え切れず、笑い声を上げた。
「あら、なんか穏やかじゃないわね~」
扉を開けて入って来たのは『しずか』ちゃん。
「お晩ですぅ~」
左手をひらひらさせながら言う。
「おっさんだろ!」
と仁さん。
「いやぁねぇ~、それはオ・バ・ハ・ン、レディに向かって失礼よ~」
「誰がレディーだと?、そんなゴツいレディーが居てたまるかってんだ!」
完全な八つ当たりである。
この店では何度も目にするやり取りだが、私の笑いは止まらない。
「ふ~ん、また解けないんだぁ」
仁さんが格闘している夕刊紙を上から覗き込んでしずかちゃんがからかう。
「うるせぇっ! オカマはすっ込んでろ!」
そう、しずかちゃんはこの近所のショー・パブに勤めているオカマさんである。
店でのポジションはチーママ。
彼女を知るみんなは親しみを込めて『ずっかちゃん』と呼ぶ。
年齢36、身長185cm、体重は優に100kgを超える巨漢、いや巨オカマである。
いつも華やかな衣装を纏い、腰を左右にくねらせモンローウォークでご近所に愛嬌を振り撒いて回るこの界隈の愛すべき人気者である。
彼女との最初の出会いは、この場所に店をオープンして間もない頃、ある日口開けのお客として扉のひさしに頭をぶつけぬ様、くぐるように入って来た時だった。
その様子はまるで外の広場から小さな扉をくぐって、寝床へと戻って来る動物園の熊を思い起こさせた。
「新しい店がオープンしたって聞いて来ちゃった」
明るく染めた栗色のショートヘアに濃いメイク。
にこやかに微笑みながら彼女はやって来た。
「あら~、いい男ねぇ~、あなたがマスター?」
「ええ、そうです」
と、私。
「そのロカビリー全開なヘアスタイルがまたいいわぁ~、私のタイプよ~」
言われて、私の背筋がゾゾッとした。
「私、そこのところにあるパブ○○○で働いている『しずか』っていうの、ご存知かしら?」
太い腕から伸びるこれまた太い指で背後を指しながら言う。
「ええ、お店は存じています」
「良かった! これからよろしくね」
言って、太い腕から伸びる大きな手を差し出した。
握り潰されるんじゃないかと、一瞬こちらの手を出すのを躊躇したが、予想に反し柔らかくとてもソフトな握手だった。
大切な商売道具である右手が無事に戻って来てホッとする。
「立ち話しもなんですから、どうぞお掛けになってください」
「やだ、私ったら男前を目にして舞い上がっちゃってたぁ~」
広々とした両手を頬に当て、大きな体躯をくねらせながら言った。
それを聞き、こちらも我が身を悪寒によじる。
ようやく腰を下ろした彼女におしぼりを開いて差し出し、改めて、「いらっしゃいませ」
と、言いながら笑顔を作ったが引きっつっているのが自分でも判る。
「それで、お名前はなんて仰るの?」
尋ねられバックカウンターの引き出しから名刺を取り出し、
「申し遅れました。『○○ ○○』と申します。よろしくお願いいたします」
と、彼女に手渡し頭を下げて告げる。
「いやだぁ、そんなかしこばっちゃあ~」
「襲いかかったりなんかしないから安心して」
手のひらを振りながら言う。
そして、およそその大きな体躯には似つかわしくない小さなポーチから自身の名刺を取り出し、口づけをしてから私に両手で差し出した。
「しずかで~す」
会釈を返しながら私も両手で受け取る。
見ると名刺のほぼ全体を占める巨大で真っ赤なキスマークがヌメネメとプリントされていた。
背中のゾクゾクはもはや止めようが無い。
「何をお召し上がりになられますか?」
平静を装い尋ねる。
「そうねぇ~」
バックカウンターを見渡してから
手を叩き合わせて、
「じゃあ、ブラッディ・マリーにするわ」
と、にこやかな笑顔でそう言った。
「かしこまりました」
と、頭を下げ、
「ご使用するウォッカにご要望はございますでしょうか?」
と、お尋ねする。すると、
「いやだ、慇懃ねぇ~。大阪でそんなんじゃお店が流行らないわよ」
イタズラっぽい口調で言う。
「これが身に着いたスタイルでして・・・」
言ってから苦笑を浮かべる。
「ご出身は関東なのかしら?」
と彼女。
「いえ、生まれも育ちもここ関西なのですが、修行のスタートがホテルでして・・・」
「あぁ~、なるほどね~。でも似合ってるから許す!」
「ロカビリーでありながら、きちんと蝶ネクタイ、そのちょっと高いお声も含めてやっぱり素敵!」
「ん~、惚れ惚れしちゃう~」
「マスターにぜ~んぶオ・マ・カ・セよ、好きにして~」
と、斜にした体勢で人差し指を振り振り投げキッス。
私はウォッカのボトルを危うく取り落とす寸前だった。
10オンスグラスに氷を詰め、バースプーンで素早い速度でステア。
グラスが冷え、氷が溶けて出た水を氷を落とさぬ様バースプーンで支えながら、シンクでグラスを逆さまにして振って切る。
「さすが、鮮やかな手つきねぇ~」
と、頬杖を突きながら見ていた彼女。
「あっ、そうだ! タバスコは置いてらっしゃる?」
と、再び彼女。
「ええ、もちろんございますよ」
と、告げると、
「じゃあ、タバスコをちょっと多めで」
と、返ってくる。
「当店では事前に唐辛子を漬け込んだインフュージョン・ウォッカもご用意しておりますが、そちらをご使用いたしますか?」
と、尋ねると、
「ううん、私タバスコが好きなの。ウォッカはプレーンなままがいいわ」
「仕上げにブラックペッパーもカリカリしてね」
と、今度はウィンク。
「かしこまりました」
と、私。
ようやく彼女とのやり取りにも慣れてきて、背中のゾクゾクは徐々に消えつつある。
フリーザーからスミノフ・ウォッカを取り出しグラスに注ぐ。
次いで、デルモンテの無塩タイプのトマトジュースで満たし、タバスコを5ダッシュ。
こちらを見つめていた彼女をチラと伺い、これぐらいかと目で尋ねる。
彼女も無言で、右手の人差し指と親指で小さな隙間を作って返す。
それを見て頷き返し、更に3ダッシュ。再びバースプーンを手に取りグラスの底から持ち上げる様にしてステア。
そして、ブラックペッパーをペッパーミルから直にグラスに削り落とす。
「お待たせいたしました。ブラッディ・メアリーでございます」
コースターに乗せ彼女の前にグラスを滑らせた。
太い指先でグラスを掴むとグイと勢いよく一気に半分ほどを飲み干す。
見つめているとグラスが小さかったかの様な錯覚に陥ってしまった。
「う~ん、美味しい」
フーッと息を漏らしそう囁いた。
「ふ~ん、外観と同じく内装もシンプルねぇ~」
と、彼女は店内をゆっくり見渡しながら言った。
「照明はBarにしては少し明るめかしら?」
「ええ、敢えてそういたしました」
見上げた彼女の顎のところに、うっすらとファンデーションでも隠し切れなかった盛り上がった傷跡が見えた。
それがふと、私の記憶の片隅にある何かと結びついた。
改めて彼女の顔をまじまじと見つめる・・・。
私の視線に気付き
「何よ、そんなに見つめて。照れちゃうじゃない」
その言葉は無視して、更に真顔で見つめる。
「どうしちゃったのよ、マスター?」
彼女の他にお客さまが居なくて良かったと思った。
もし居れば、私はこの後彼女に真実を確かめる事ができないのだから。
「もし、人違いならお許しください」
私の真剣な眼差しに何かを感じたのだろう。
「な、何よ」
彼女の顔と声に不安から来る狼狽が浮かぶ。
少し間を置き、言葉を選びながらゆっくりと私は話し始めた。
「今から14年前、○○大学のアメフト部で大活躍し将来を嘱望されたひとりの名選手がいました」
彼女の顔が凍り付く。
「1部リーグ最終戦、優勝を賭けた試合でその選手はアクシデントにより左膝前十字靭帯断裂、彼を欠いたチームは完敗。その後復活を期してリハビリで無理した挙句、今度は右アキレス腱断裂」
彼女の指は小刻みに震えていた。
私はカウンターに視線を落とし、
「そして、復帰は絶望的となり、彼の選手生命は絶たれた・・・」
「私が新聞の紙面で知り得たのはここまでです」
ふたりとも動かず沈黙が流れる・・・
「○○さん・・・、ですね?」
顔を上げて、私は彼女の本名を問うた。
「参ったなぁ、まさか俺の過去を知る人とこんなところで出会うなんて・・・」
もう、女性口調ではなかった。
「あなたのプレーをテレビで見て心底ワクワクしました」
「巨漢でありながら俊足、クォーターバックに猛然と襲い掛かる姿
は今も脳裏に焼き付いて離れません」
「相手チームのクォーターバックの選手曰く、まるで凶暴な熊が爪を剥き出しにして突進してくる様だったと、試合後のインタビューでその時の恐怖を語っていましたよ」
「俺でさえ忘れてしまったそんな昔の事、よく覚えていましたね」
彼は静かに応える。
「アメフトは大好きでテレビで中継があれば録画してでも欠かさず観ていましたから」
「それに、その特徴的な顎の傷跡、化粧でも隠し切れなかったようですね」
「ゲーム中はほとんどヘルメットを被っているから気付かれる事はないと思ってました」
「実際、今までに俺に気付いた人なんていませんでしからね」
「こんな傷跡でバレるなんてこれっぽっちも思いませんでしたよ」
顎の傷跡に触れながら言った。
彼の指の震えはもう止まり顔の前で指を絡ませ組んだ。
そしてバックカウンター越しに遠くを見つめ、過去を懐かしむかの様にゆっくり語り始めた。
「あれは3回生の冬。チームの状態も俺のコンディションも絶好調、勝ってリーグ優勝、その先の"甲子園ボウル"も"日本選手権"も勝てると思っていました」
「激しく雨が降っていましたね」
当時のテレビ中継を思い出し私が言った。
「ええ、全く酷い雨でした。第3クォーター、ぬかるんで荒れた地面に足をとられた相手選手が前へつんのめり、彼のヘルメットがモロに私の左膝を直撃したんです」
「瞬間ブチっと鈍い音が全身に響き、自身に何が起こったのか判りました」
私は黙って頷く。
「その後はご存知の様にタンカに乗せられ病院へ直行です」
「痛みはどうだったんです?」
と、私。
「そりゃあ、酷かったっス」
もう、昔の体育会系の口調。
「でも、必ず復活してやる!って思ってました」
「そしてアメリカに渡って絶対NFLで活躍してやるって決めてました」
見ると、組んだ両手は白くなるほど力を込められていた。
「なのに・・・」
と、その先の言葉を促す。
「ええ、復帰を焦ってしまいアキレス腱を・・・」
「でも、まだやれたんじゃないですか?」
「俺もそう思ってました。医者がなんと言おうと、俺はやれるって思ってました」
「でも、どれだけ頑張ってももう以前の様には走れなくなりました」
「結局それで終わり、諦めました」
そう言った彼の顔にはさばさばした笑顔があった。
そして言葉を続ける。
「うちは母親だけの家庭で、その母親も身体が弱く病気がちであまり働けなくてね」
「歳の離れた弟と妹も居たんで、俺が頑張って稼がなきゃいけなかったんです」
「だから、大学も辞めてすぐに働きました」
「力仕事には自信があったから、建設現場、引っ越し屋、なんでもやりました」
「そんで酒屋のドライバーをしてる時、今の店のママに出会ったんス」
「そんで、何が気に入ったのか、俺をスカウトしてきたんス」
「最初は何度も断ったんスけど、一度ショーを観に来てと言われて・・・」
「ショーを観たら、めっちゃ面白くて、お客さんもみんな盛り上がっていて、そんで考えが変わりました」
「初めは恥ずかしさで何も出来なかったんスけど、踊っているうちになんか俺も楽しくなっちゃって」
「今じゃ俺、チーママっス」
「あっ、それと、俺ストレートなんで今までのは全部演技っス」
そう言って彼はにこやかに笑った。
私も心底安心して、釣られて笑った。
私は新しくグラスを用意し、先ほどと同じく氷を詰めてステアする。
氷が溶けて出た水を捨て、バックカウンターから"ウンダーベルグ"を摘み上げる。
キャップを捻って開け、中身を全てグラスに注ぎステア。
そして、トマトジュースで満たしてタバスコを8ダッシュ。
そして、更にステア。
私の作業をじっと見つめていた彼に微笑みかけると、不思議そうな顔で見返した。
仕上げにブラックペッパーを削り入れ、彼の前の空になったグラスと取り替えて置いた。
「こちらは辛い過去を暴いてしまった事の私からのお詫びの一杯です」
彼はグラスと私を交互に見て尋ねる。
「これって・・・?」
「ええ、先ほどのブラッディー・マリーとは違います」
「こちらの"ウンダーベルグ"をベースのお酒に使いました」
と、言って彼に空になった小さなボトルを手渡す。
彼は受け取るとまじまじとあらゆる角度から見つめた。
「まぁ、何はともあれ一口お召し上がりになってみてください」
言うと、彼は恐る恐る口に運ぶ。
その仕草を見て、やはり熊だと思った。
未知の物を恐る恐る口に入れようとする熊さんだ。
「いかがですか?」
と、私。
「なんか薬の様な・・・」
「ええ、そうです。世界43ヶ国から厳選したハーブを元に作られたドイツ原産のお酒です」
「ドイツでは胃腸薬として、とても親しまれているんですよ」
彼は二口目を口に運ぶ。
「・・・美味い」
グラスを見つめて言った。
「二日酔いですよね?」
彼はイタズラを見つけられた子供の様な笑みを返す。
「バレてました?」
「ええ、それだけ目が充血なさってらしたら判って当然です」
彼は苦笑を浮かべた。
「俺、これからもここへ通わせてもらっていいっスか?」
カウンターに両手を突き、身を乗り出してきながら尋ねてくる。
「あくまでも、オカマの"しずか"として」
「ええ、もちろん、いつでも歓迎しますよ」
「あざーっす!」
カウンターにぶつける勢いで頭を下げる。
「それと・・・、俺の過去は誰にも言わないでもらえますか?」
「誰にも明かしてないんです。なんか嫌で・・・」
「もう、とうの昔に終わった事っスから」
そう、誰にだって触れられて欲しくない過去はあるのだ。
「当然です、ご安心ください」
「バーテンダーには守秘義務が課せられていると心得ています」
彼は安堵の笑みを浮かべた。
そして、
「これって名前あるんスか?」
と、グラスを指して尋ねる。
「ん~、確か決まった名前は無かったかな」
と、応える。
「じゃあ、これ"しずかスペシャル"って俺が名付けていいっスか?」
「いいですね、決まりです」
今度は私から右手を差し出し、彼に握手を求めた。
両手でそれに応えた彼の握手は先ほどとは違い、まるで万力で締め付けられるようだった。
「イタッ!イテテテテッ!」
「あっ、すんません、つい昔の勢いで・・・」
危うく大切な利き手を潰されるところだった。
これが私と『ずっかちゃん』との初めての出会いでした。
「うるせぇっ!オカマはすっ込んでろ!」
「あら、随分な言いようじゃない仁さん」
しずかちゃんはそう言って仁さんの横の席に掛ける。
仁さんは途端に、しまったとばかり顔を上げ立ち上がるが逃げ場がない。
続いてしずかちゃんも立ち上がり、仁さんの顎をなでながら、
「このあたしにそんな口をきいていいのかしら~」
「誰があなたのツケを立て替えているのかしらねぇ~」
「い、いや、ほんの冗談だって」
「つい、口が滑ったんだよ~」
「許してくれよ~、ずっかちゃん」
仁さんはしずかちゃんの店でも常連なのだ。
仁さんはカウンターへ身を乗り出し、
「マスター、助けてくれよー!」
もはや悲鳴に近い叫び声。
「ふ~ん、お口が滑ったのねぇ~」
「そ、そうだよ~」
「悪気はなかったんだよ~」
「じゃあ、私も手が滑ってこんな事しちゃう」
言うが早いか、サッと腕を回して仁さんを羽交締めにし、そのまま軽々と持ち上げる。
これこそが正真正銘のベアーハグである。
「ウギャー!」
締められているせいで叫び声がくぐもる。
「まぁすた~ぁぁ!」
「しずかちゃん、それくらいで!」
さすがに助け舟を出す。
その声で、ようやく解放。
「これからはいい子にね」
言って仁さんの頭をヨシヨシと乱暴に撫で回す。
「判ったよぉぉ」
と、仁さん。
「はい、よろしい」
にこやかに微笑んで争いは終結。
「マスター、スペシャルお願いね」
と、しずかちゃん。
「はい、スペシャルね」
と、応える。
「チッ! とんだ災難だぜ」
と、小声で仁さん。
「なんですって!」
途端にしずかちゃんの一喝が飛ぶ。
「いや、な、何も・・・」
目をつむり、首をすくめ両手を上げて降参のポーズ。
このふたりのやり取りはいつも私を楽しませて止まない。
入り口に一番近いカウンターの席に座っている仁さんが尋ねてくる。
彼は毎週木曜日には、毎日新聞の夕刊に掲載されているクロスワードパズルを解く事に執着している。
もうかれこれ店では1年以上お馴染みの光景である。
お客さんからは見えない位置に置いてある私の腕時計を見ると時刻は7時前、予想通り煮詰まってくると踏んだ頃合いだった。
私はグラスを磨いていた手を休め、仁さんに近づく。
「解けねぇなぁ」
悔しさが滲む声でそう言って、グラスに残った液体を飲み干す。
仁さんの喉が鳴る音と同時に氷がカランと音を立てる。
「ちきしょうめ」
そう言って空になったグラスを私の前に置く。
全世界共通のお代わりの合図。
「全部解いたんだろ?」
グラスを手に作業台に戻る私の背中に仁さんの声。
私は歩を止め首だけ回して口元に笑みを浮かべウィンクで応える。
「ちきしょうめ!」
再び歩を進めた背中にさっきより甲高い声が刺さる。
笑いを噛み殺しながらグラスに残った氷をシンクに捨て、フリーザーから角瓶と氷を取り出す。
氷の大きさを考えながらグラスに積んでゆく。
角瓶をそこへ注ぎバースプーンで軽やかにステア、更にミネラルウォーターを注ぎ今度はゆっくりと5回ステア、慎重にバースプーンを引き抜く。
「で、答えを聞く?」
グラスを仁さんのコースターに乗せて尋ねる。
「言うんじゃねぇ!」
続けて、
「笑うなっ!、ぶっ殺すぞ!」
もう堪え切れず、笑い声を上げた。
「あら、なんか穏やかじゃないわね~」
扉を開けて入って来たのは『しずか』ちゃん。
「お晩ですぅ~」
左手をひらひらさせながら言う。
「おっさんだろ!」
と仁さん。
「いやぁねぇ~、それはオ・バ・ハ・ン、レディに向かって失礼よ~」
「誰がレディーだと?、そんなゴツいレディーが居てたまるかってんだ!」
完全な八つ当たりである。
この店では何度も目にするやり取りだが、私の笑いは止まらない。
「ふ~ん、また解けないんだぁ」
仁さんが格闘している夕刊紙を上から覗き込んでしずかちゃんがからかう。
「うるせぇっ! オカマはすっ込んでろ!」
そう、しずかちゃんはこの近所のショー・パブに勤めているオカマさんである。
店でのポジションはチーママ。
彼女を知るみんなは親しみを込めて『ずっかちゃん』と呼ぶ。
年齢36、身長185cm、体重は優に100kgを超える巨漢、いや巨オカマである。
いつも華やかな衣装を纏い、腰を左右にくねらせモンローウォークでご近所に愛嬌を振り撒いて回るこの界隈の愛すべき人気者である。
彼女との最初の出会いは、この場所に店をオープンして間もない頃、ある日口開けのお客として扉のひさしに頭をぶつけぬ様、くぐるように入って来た時だった。
その様子はまるで外の広場から小さな扉をくぐって、寝床へと戻って来る動物園の熊を思い起こさせた。
「新しい店がオープンしたって聞いて来ちゃった」
明るく染めた栗色のショートヘアに濃いメイク。
にこやかに微笑みながら彼女はやって来た。
「あら~、いい男ねぇ~、あなたがマスター?」
「ええ、そうです」
と、私。
「そのロカビリー全開なヘアスタイルがまたいいわぁ~、私のタイプよ~」
言われて、私の背筋がゾゾッとした。
「私、そこのところにあるパブ○○○で働いている『しずか』っていうの、ご存知かしら?」
太い腕から伸びるこれまた太い指で背後を指しながら言う。
「ええ、お店は存じています」
「良かった! これからよろしくね」
言って、太い腕から伸びる大きな手を差し出した。
握り潰されるんじゃないかと、一瞬こちらの手を出すのを躊躇したが、予想に反し柔らかくとてもソフトな握手だった。
大切な商売道具である右手が無事に戻って来てホッとする。
「立ち話しもなんですから、どうぞお掛けになってください」
「やだ、私ったら男前を目にして舞い上がっちゃってたぁ~」
広々とした両手を頬に当て、大きな体躯をくねらせながら言った。
それを聞き、こちらも我が身を悪寒によじる。
ようやく腰を下ろした彼女におしぼりを開いて差し出し、改めて、「いらっしゃいませ」
と、言いながら笑顔を作ったが引きっつっているのが自分でも判る。
「それで、お名前はなんて仰るの?」
尋ねられバックカウンターの引き出しから名刺を取り出し、
「申し遅れました。『○○ ○○』と申します。よろしくお願いいたします」
と、彼女に手渡し頭を下げて告げる。
「いやだぁ、そんなかしこばっちゃあ~」
「襲いかかったりなんかしないから安心して」
手のひらを振りながら言う。
そして、およそその大きな体躯には似つかわしくない小さなポーチから自身の名刺を取り出し、口づけをしてから私に両手で差し出した。
「しずかで~す」
会釈を返しながら私も両手で受け取る。
見ると名刺のほぼ全体を占める巨大で真っ赤なキスマークがヌメネメとプリントされていた。
背中のゾクゾクはもはや止めようが無い。
「何をお召し上がりになられますか?」
平静を装い尋ねる。
「そうねぇ~」
バックカウンターを見渡してから
手を叩き合わせて、
「じゃあ、ブラッディ・マリーにするわ」
と、にこやかな笑顔でそう言った。
「かしこまりました」
と、頭を下げ、
「ご使用するウォッカにご要望はございますでしょうか?」
と、お尋ねする。すると、
「いやだ、慇懃ねぇ~。大阪でそんなんじゃお店が流行らないわよ」
イタズラっぽい口調で言う。
「これが身に着いたスタイルでして・・・」
言ってから苦笑を浮かべる。
「ご出身は関東なのかしら?」
と彼女。
「いえ、生まれも育ちもここ関西なのですが、修行のスタートがホテルでして・・・」
「あぁ~、なるほどね~。でも似合ってるから許す!」
「ロカビリーでありながら、きちんと蝶ネクタイ、そのちょっと高いお声も含めてやっぱり素敵!」
「ん~、惚れ惚れしちゃう~」
「マスターにぜ~んぶオ・マ・カ・セよ、好きにして~」
と、斜にした体勢で人差し指を振り振り投げキッス。
私はウォッカのボトルを危うく取り落とす寸前だった。
10オンスグラスに氷を詰め、バースプーンで素早い速度でステア。
グラスが冷え、氷が溶けて出た水を氷を落とさぬ様バースプーンで支えながら、シンクでグラスを逆さまにして振って切る。
「さすが、鮮やかな手つきねぇ~」
と、頬杖を突きながら見ていた彼女。
「あっ、そうだ! タバスコは置いてらっしゃる?」
と、再び彼女。
「ええ、もちろんございますよ」
と、告げると、
「じゃあ、タバスコをちょっと多めで」
と、返ってくる。
「当店では事前に唐辛子を漬け込んだインフュージョン・ウォッカもご用意しておりますが、そちらをご使用いたしますか?」
と、尋ねると、
「ううん、私タバスコが好きなの。ウォッカはプレーンなままがいいわ」
「仕上げにブラックペッパーもカリカリしてね」
と、今度はウィンク。
「かしこまりました」
と、私。
ようやく彼女とのやり取りにも慣れてきて、背中のゾクゾクは徐々に消えつつある。
フリーザーからスミノフ・ウォッカを取り出しグラスに注ぐ。
次いで、デルモンテの無塩タイプのトマトジュースで満たし、タバスコを5ダッシュ。
こちらを見つめていた彼女をチラと伺い、これぐらいかと目で尋ねる。
彼女も無言で、右手の人差し指と親指で小さな隙間を作って返す。
それを見て頷き返し、更に3ダッシュ。再びバースプーンを手に取りグラスの底から持ち上げる様にしてステア。
そして、ブラックペッパーをペッパーミルから直にグラスに削り落とす。
「お待たせいたしました。ブラッディ・メアリーでございます」
コースターに乗せ彼女の前にグラスを滑らせた。
太い指先でグラスを掴むとグイと勢いよく一気に半分ほどを飲み干す。
見つめているとグラスが小さかったかの様な錯覚に陥ってしまった。
「う~ん、美味しい」
フーッと息を漏らしそう囁いた。
「ふ~ん、外観と同じく内装もシンプルねぇ~」
と、彼女は店内をゆっくり見渡しながら言った。
「照明はBarにしては少し明るめかしら?」
「ええ、敢えてそういたしました」
見上げた彼女の顎のところに、うっすらとファンデーションでも隠し切れなかった盛り上がった傷跡が見えた。
それがふと、私の記憶の片隅にある何かと結びついた。
改めて彼女の顔をまじまじと見つめる・・・。
私の視線に気付き
「何よ、そんなに見つめて。照れちゃうじゃない」
その言葉は無視して、更に真顔で見つめる。
「どうしちゃったのよ、マスター?」
彼女の他にお客さまが居なくて良かったと思った。
もし居れば、私はこの後彼女に真実を確かめる事ができないのだから。
「もし、人違いならお許しください」
私の真剣な眼差しに何かを感じたのだろう。
「な、何よ」
彼女の顔と声に不安から来る狼狽が浮かぶ。
少し間を置き、言葉を選びながらゆっくりと私は話し始めた。
「今から14年前、○○大学のアメフト部で大活躍し将来を嘱望されたひとりの名選手がいました」
彼女の顔が凍り付く。
「1部リーグ最終戦、優勝を賭けた試合でその選手はアクシデントにより左膝前十字靭帯断裂、彼を欠いたチームは完敗。その後復活を期してリハビリで無理した挙句、今度は右アキレス腱断裂」
彼女の指は小刻みに震えていた。
私はカウンターに視線を落とし、
「そして、復帰は絶望的となり、彼の選手生命は絶たれた・・・」
「私が新聞の紙面で知り得たのはここまでです」
ふたりとも動かず沈黙が流れる・・・
「○○さん・・・、ですね?」
顔を上げて、私は彼女の本名を問うた。
「参ったなぁ、まさか俺の過去を知る人とこんなところで出会うなんて・・・」
もう、女性口調ではなかった。
「あなたのプレーをテレビで見て心底ワクワクしました」
「巨漢でありながら俊足、クォーターバックに猛然と襲い掛かる姿
は今も脳裏に焼き付いて離れません」
「相手チームのクォーターバックの選手曰く、まるで凶暴な熊が爪を剥き出しにして突進してくる様だったと、試合後のインタビューでその時の恐怖を語っていましたよ」
「俺でさえ忘れてしまったそんな昔の事、よく覚えていましたね」
彼は静かに応える。
「アメフトは大好きでテレビで中継があれば録画してでも欠かさず観ていましたから」
「それに、その特徴的な顎の傷跡、化粧でも隠し切れなかったようですね」
「ゲーム中はほとんどヘルメットを被っているから気付かれる事はないと思ってました」
「実際、今までに俺に気付いた人なんていませんでしからね」
「こんな傷跡でバレるなんてこれっぽっちも思いませんでしたよ」
顎の傷跡に触れながら言った。
彼の指の震えはもう止まり顔の前で指を絡ませ組んだ。
そしてバックカウンター越しに遠くを見つめ、過去を懐かしむかの様にゆっくり語り始めた。
「あれは3回生の冬。チームの状態も俺のコンディションも絶好調、勝ってリーグ優勝、その先の"甲子園ボウル"も"日本選手権"も勝てると思っていました」
「激しく雨が降っていましたね」
当時のテレビ中継を思い出し私が言った。
「ええ、全く酷い雨でした。第3クォーター、ぬかるんで荒れた地面に足をとられた相手選手が前へつんのめり、彼のヘルメットがモロに私の左膝を直撃したんです」
「瞬間ブチっと鈍い音が全身に響き、自身に何が起こったのか判りました」
私は黙って頷く。
「その後はご存知の様にタンカに乗せられ病院へ直行です」
「痛みはどうだったんです?」
と、私。
「そりゃあ、酷かったっス」
もう、昔の体育会系の口調。
「でも、必ず復活してやる!って思ってました」
「そしてアメリカに渡って絶対NFLで活躍してやるって決めてました」
見ると、組んだ両手は白くなるほど力を込められていた。
「なのに・・・」
と、その先の言葉を促す。
「ええ、復帰を焦ってしまいアキレス腱を・・・」
「でも、まだやれたんじゃないですか?」
「俺もそう思ってました。医者がなんと言おうと、俺はやれるって思ってました」
「でも、どれだけ頑張ってももう以前の様には走れなくなりました」
「結局それで終わり、諦めました」
そう言った彼の顔にはさばさばした笑顔があった。
そして言葉を続ける。
「うちは母親だけの家庭で、その母親も身体が弱く病気がちであまり働けなくてね」
「歳の離れた弟と妹も居たんで、俺が頑張って稼がなきゃいけなかったんです」
「だから、大学も辞めてすぐに働きました」
「力仕事には自信があったから、建設現場、引っ越し屋、なんでもやりました」
「そんで酒屋のドライバーをしてる時、今の店のママに出会ったんス」
「そんで、何が気に入ったのか、俺をスカウトしてきたんス」
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「ショーを観たら、めっちゃ面白くて、お客さんもみんな盛り上がっていて、そんで考えが変わりました」
「初めは恥ずかしさで何も出来なかったんスけど、踊っているうちになんか俺も楽しくなっちゃって」
「今じゃ俺、チーママっス」
「あっ、それと、俺ストレートなんで今までのは全部演技っス」
そう言って彼はにこやかに笑った。
私も心底安心して、釣られて笑った。
私は新しくグラスを用意し、先ほどと同じく氷を詰めてステアする。
氷が溶けて出た水を捨て、バックカウンターから"ウンダーベルグ"を摘み上げる。
キャップを捻って開け、中身を全てグラスに注ぎステア。
そして、トマトジュースで満たしてタバスコを8ダッシュ。
そして、更にステア。
私の作業をじっと見つめていた彼に微笑みかけると、不思議そうな顔で見返した。
仕上げにブラックペッパーを削り入れ、彼の前の空になったグラスと取り替えて置いた。
「こちらは辛い過去を暴いてしまった事の私からのお詫びの一杯です」
彼はグラスと私を交互に見て尋ねる。
「これって・・・?」
「ええ、先ほどのブラッディー・マリーとは違います」
「こちらの"ウンダーベルグ"をベースのお酒に使いました」
と、言って彼に空になった小さなボトルを手渡す。
彼は受け取るとまじまじとあらゆる角度から見つめた。
「まぁ、何はともあれ一口お召し上がりになってみてください」
言うと、彼は恐る恐る口に運ぶ。
その仕草を見て、やはり熊だと思った。
未知の物を恐る恐る口に入れようとする熊さんだ。
「いかがですか?」
と、私。
「なんか薬の様な・・・」
「ええ、そうです。世界43ヶ国から厳選したハーブを元に作られたドイツ原産のお酒です」
「ドイツでは胃腸薬として、とても親しまれているんですよ」
彼は二口目を口に運ぶ。
「・・・美味い」
グラスを見つめて言った。
「二日酔いですよね?」
彼はイタズラを見つけられた子供の様な笑みを返す。
「バレてました?」
「ええ、それだけ目が充血なさってらしたら判って当然です」
彼は苦笑を浮かべた。
「俺、これからもここへ通わせてもらっていいっスか?」
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「あくまでも、オカマの"しずか"として」
「ええ、もちろん、いつでも歓迎しますよ」
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カウンターにぶつける勢いで頭を下げる。
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「誰にも明かしてないんです。なんか嫌で・・・」
「もう、とうの昔に終わった事っスから」
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「当然です、ご安心ください」
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彼は安堵の笑みを浮かべた。
そして、
「これって名前あるんスか?」
と、グラスを指して尋ねる。
「ん~、確か決まった名前は無かったかな」
と、応える。
「じゃあ、これ"しずかスペシャル"って俺が名付けていいっスか?」
「いいですね、決まりです」
今度は私から右手を差し出し、彼に握手を求めた。
両手でそれに応えた彼の握手は先ほどとは違い、まるで万力で締め付けられるようだった。
「イタッ!イテテテテッ!」
「あっ、すんません、つい昔の勢いで・・・」
危うく大切な利き手を潰されるところだった。
これが私と『ずっかちゃん』との初めての出会いでした。
「うるせぇっ!オカマはすっ込んでろ!」
「あら、随分な言いようじゃない仁さん」
しずかちゃんはそう言って仁さんの横の席に掛ける。
仁さんは途端に、しまったとばかり顔を上げ立ち上がるが逃げ場がない。
続いてしずかちゃんも立ち上がり、仁さんの顎をなでながら、
「このあたしにそんな口をきいていいのかしら~」
「誰があなたのツケを立て替えているのかしらねぇ~」
「い、いや、ほんの冗談だって」
「つい、口が滑ったんだよ~」
「許してくれよ~、ずっかちゃん」
仁さんはしずかちゃんの店でも常連なのだ。
仁さんはカウンターへ身を乗り出し、
「マスター、助けてくれよー!」
もはや悲鳴に近い叫び声。
「ふ~ん、お口が滑ったのねぇ~」
「そ、そうだよ~」
「悪気はなかったんだよ~」
「じゃあ、私も手が滑ってこんな事しちゃう」
言うが早いか、サッと腕を回して仁さんを羽交締めにし、そのまま軽々と持ち上げる。
これこそが正真正銘のベアーハグである。
「ウギャー!」
締められているせいで叫び声がくぐもる。
「まぁすた~ぁぁ!」
「しずかちゃん、それくらいで!」
さすがに助け舟を出す。
その声で、ようやく解放。
「これからはいい子にね」
言って仁さんの頭をヨシヨシと乱暴に撫で回す。
「判ったよぉぉ」
と、仁さん。
「はい、よろしい」
にこやかに微笑んで争いは終結。
「マスター、スペシャルお願いね」
と、しずかちゃん。
「はい、スペシャルね」
と、応える。
「チッ! とんだ災難だぜ」
と、小声で仁さん。
「なんですって!」
途端にしずかちゃんの一喝が飛ぶ。
「いや、な、何も・・・」
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このふたりのやり取りはいつも私を楽しませて止まない。
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