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これから
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しばらくすると立ち振る舞いが美しい、スラリとしたメイドが現れた。
「私はバラック様のメイドをやっております。アリアと申します。ご案内しますのでどうぞ中へ」
(美しい……何という静寂。その魔力は凪の如し。辺りに巡らせたそれは不快感を与える事は無い。常に主を守れるよう、警戒を怠らない)
無意識に何通りもの攻めを考える。もし魔法を放てばどう返してくるのだろうと、興味が尽きなかった。
挨拶と共に室内に丁重に招かれる。動作の一つ一つに気品が感じられる。一方リルも侯爵家の令嬢でもあったことから、綺麗な歩き方をしていたが、まだまだ甘く可愛らしい。屋敷のモノが珍しいようだ。
すれ違う他の使用人たちは皆緊張していた。表面上は凛としている。しかし、何時もと違うことに気が付く。酷く警戒しているときの魔法信号を出し、情報共有をしていた。
客室でバラックと再開し、お互いに元気でいた事を喜び合う。一年間どう過ごしたかを軽く話し、元気でいられることに改めてお礼を言う。恩を返すのとは別に、あの時に借りたお金を色を付けて返す。バラックは何かを察したように話を切り出した。
「さて、リルルム。ここに来たということは、何か困ったことでも?」
予めリムに話していた。現代の魔法を詳しく知る方法や、侯爵襲撃の深い情報は国の上層部が握っているであろうこと。だが、今のリルルムは既に死んだ者かつ、侯爵の権力を持っていない。
つまりはコネを利用して有名な学園に入り、王宮魔導師を目指せば、真実に辿り着けるかもしれない、と。
「はい。私は魔法を学びたいです」
「アールック学園に入学したい、と?」
「はい。出来れば推薦書を書いて頂きたく参りました。それと、おこがましいのですが、入学費用をお借りしたく参りました……」
バラックはよりにもよってと僅かに呟いた。苦い表情をしてしばらく考えた後に言う。
「悪いが、推薦書は無理だ」
「そう……ですか……色々とありがとうございました」
「待て、早まる出ない。通常の入試試験なら手配が間に合う」
「本当ですか!?」
五日後、入試試験が始まる。その間、この屋敷に居て良いと言われたので有難く受け入れた。また一歩目標に近づいた事で元気になったリルは体を動かせる場所に来ていた。試験の為に訓練をする。
『リル……魔法はともかく筆記は大丈夫なのか?』
それを聞いて口を開けてポカーンとしていた。どうやら気が付いていなかったらしい。慌てて書斎に駆け込む。意外にも、いや流石と言うべきか。もともと教育を受けていたため理解が早い。問題は試験まで五日しかないことだ。来年では遅くなると必死に勉強する。
「私はバラック様のメイドをやっております。アリアと申します。ご案内しますのでどうぞ中へ」
(美しい……何という静寂。その魔力は凪の如し。辺りに巡らせたそれは不快感を与える事は無い。常に主を守れるよう、警戒を怠らない)
無意識に何通りもの攻めを考える。もし魔法を放てばどう返してくるのだろうと、興味が尽きなかった。
挨拶と共に室内に丁重に招かれる。動作の一つ一つに気品が感じられる。一方リルも侯爵家の令嬢でもあったことから、綺麗な歩き方をしていたが、まだまだ甘く可愛らしい。屋敷のモノが珍しいようだ。
すれ違う他の使用人たちは皆緊張していた。表面上は凛としている。しかし、何時もと違うことに気が付く。酷く警戒しているときの魔法信号を出し、情報共有をしていた。
客室でバラックと再開し、お互いに元気でいた事を喜び合う。一年間どう過ごしたかを軽く話し、元気でいられることに改めてお礼を言う。恩を返すのとは別に、あの時に借りたお金を色を付けて返す。バラックは何かを察したように話を切り出した。
「さて、リルルム。ここに来たということは、何か困ったことでも?」
予めリムに話していた。現代の魔法を詳しく知る方法や、侯爵襲撃の深い情報は国の上層部が握っているであろうこと。だが、今のリルルムは既に死んだ者かつ、侯爵の権力を持っていない。
つまりはコネを利用して有名な学園に入り、王宮魔導師を目指せば、真実に辿り着けるかもしれない、と。
「はい。私は魔法を学びたいです」
「アールック学園に入学したい、と?」
「はい。出来れば推薦書を書いて頂きたく参りました。それと、おこがましいのですが、入学費用をお借りしたく参りました……」
バラックはよりにもよってと僅かに呟いた。苦い表情をしてしばらく考えた後に言う。
「悪いが、推薦書は無理だ」
「そう……ですか……色々とありがとうございました」
「待て、早まる出ない。通常の入試試験なら手配が間に合う」
「本当ですか!?」
五日後、入試試験が始まる。その間、この屋敷に居て良いと言われたので有難く受け入れた。また一歩目標に近づいた事で元気になったリルは体を動かせる場所に来ていた。試験の為に訓練をする。
『リル……魔法はともかく筆記は大丈夫なのか?』
それを聞いて口を開けてポカーンとしていた。どうやら気が付いていなかったらしい。慌てて書斎に駆け込む。意外にも、いや流石と言うべきか。もともと教育を受けていたため理解が早い。問題は試験まで五日しかないことだ。来年では遅くなると必死に勉強する。
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