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第二章 十二王家の目覚め

15話 話し合い

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 魔獣により、世界が徐々に衰退し、滅亡に向かっている事、この島の再起動の話し、空島の現状を説明した。その民を連れている代表者にも集まってもらう。

☆☆☆☆☆☆

参加者
クイーンアイリス
アルフィー
レティシア女王陛下
クライヴ
ヨーゼフ陛下
エルナ殿下
ディアナ
マックス
ロイク
ユイ

ブレイズブレイズアンビシオン
テオ陛下
ノイチ

☆☆☆☆☆☆


 テオは堂々としていたが、内心は焦っていた。目覚めて暫くした事で、冷静になっていた。アルフィーたちは従者でも何でも無い。両親も家臣もおらず、ノイチと二人だけしか居ない。

(不味い……)

 しかし、王として堂々と振舞おうとした。それが父の教えだからだ。

 まずはこの島、クイーンアイリスの方針だ。レティシアの方針は一番に人々を救いたい。空の島で暮らし、戦える力を蓄える。そして、いずれは魔獣を退治し、地上の精霊たちも救いたい。

 細かい事は話さないが、ヨーゼフも概ね同じ考えである。次にブレイズブレイズアンビシオンをどうするか。皆の注目が集まる。

「……い、一族……一族の復興だ! かつての繁栄を取り戻す! 民が誇れる島をここに作ろう!」

 ノイチがパチパチと一応拍手をしてくれた。そこでニヤニヤを隠したヨーゼフが言う。


「さて、それならば復興には民が必要であるな」

「……う、うむ」

「島を浮かせるための魔素。その枯渇も深刻である。現状はクイーンアイリスの魔素を借りておるわけだ」

「う、うむ……」

「独立するための……手助けが必要であろう?」

「うぅぅう! 何が望みか!」


「ハハハハ。そんなに気負う出ない。なんせ今は世界の危機。お互いに助け合おうでは無いか! なぁ、テオ国王陛下よ!」

「ぅ、うぬ!」


(怖い。裏で何か根回しするんだろうな)



 当分は二つの島を結合した状態で開発を進めていく。クイーンアイリスから民を数人派遣して、シオンの島も徐々に大きくしていく。

 新しく入る民をどうするかが問題だ。いずれ離れる事も視野に入れ、慎重に行わなければならない。今は臨時として、簡易なモノを採用。所属する島に自分の名前を登録する。

 その辺りはレティシアとヨーゼフとテオが随時集まり、話し合うらしい。恐らく空島の決まりごとが数々作られるであろう。

 アルフィーが丸め込まれそうなテオを横目に決まった事を言う。


「それでは、まずはシオ……ブレイズブレイズアンビシオンのためのイグールの苗を入手しましょうか。それと引き続き、グリフォンや人を集める事と、精霊を集める事ですか」


「ふむ。アルフィー殿。何か気になる事はないかね?」

「……やはり、魔獣の正体でしょうか……これは混乱を招くことになっても言葉にしなければと……」


 それには皆も聞きたかった知りたい事だろう。今までただの化け物だと思って居た魔獣。耳を傾ける。


「恐らくですが……かつての空の民は魔獣になったのでは無いでしょうか」

 テオが自身の記憶の断片と今まで聞いた話を照合させながら言う。

「余の居た時代に魔獣など居なかったはず……空島が滅んだ原因がそれならば多少は納得は出来る。だが、その辺りはまるで思い出せん。時代の終わりに何か大きな事があったはずなのだが……」


 皆はレティシアを見るが首を横に振る。クライヴが聞いて来た。

「だがよ。何で戻れるのと、そうで無いのがいる?」

「それは分からない。ただ、戻れた人は三人。共通点は人の形に近い魔獣……でも、もしかしたら例外も居るかもしれない」


 ディアナが目を細めた。

「検証が足りないと言う事か……」


 アルフィーの最後の言葉、それは妹のセラも含んでいた。これは自分の問題だと言葉にはしなかったが。そこでテオが堂々と言う。

「癒しの魔法を使える者を増やさねばな。だが、無理に人に戻す事は無い。長い間苦しんだのだ。先を繋ぐものに倒されるのならば本望であろう」


 アルフィーはそれを聞いて少し震えた。小さくも勇ましい一面を見たからだ。これが身近で王を見て来た者。自分も見習おうと思った。その二人の様子を見てヨーゼフの表情が僅かに和らいだ。


「もう一つ……俺の村の人は元々、流浪の民でした。そして、ユイさんの拳法に組み込まれているのは、もしかしたら、それと関りがあるのかもしれません」

「確かに似てるネ。昔師匠、言てた気するネ。それ納得ヨ」


「つまり……途中で別れた民が存在し、他の王家の者を戻す可能性もあると……考えます」


「ふむ……だとしたら……」


「はい、同盟を組めればいいのですが。もしもの事を考え、島の自衛手段を考えねばならないと……」


「ほう……アルフィーとやら。年齢の割に中々先を見通せるようだ。家来にしてやろうか?」


「レティシア…………様にお仕えしてるので、嬉しいのですが。申し訳ございません」

「……」


 テオは沈黙した。レティシアはそれを聞いて嬉しそうにしていた。エルナが頬を膨らませている。ディアナはその騎士の様な立ち振る舞いにうんうんと頷いていた。


 そんな時、島が大きく揺れた。

「なッ! 何だぁぁあ!?」


 クーとシオンが目を閉じた。そしてすぐに結論を出した。

「魔獣だ……」

「魔獣って!? 嘘だろ! 着地したのか!?」


「いや、魔獣が飛んでるねぇ……」


 クライヴとマックスは既に居なかった。ロイクが慌ててそれを追いかける。

「今まで飛んだ魔獣何て見たこと無い」

「……」


「面白い……ならば余の力を見せてやろうでは無いか!」

 ノイチは冷静に言う。

「それではまずは武器の調達からですね。テオ様」

「…………」

「私たち、目覚めたばかりでここに来たので……」


「急ぐぞ、ノイチ!?」

 二人は走って何処かに行った。ヨーゼフは頭を抱えた。奇襲に対してここまで弱いのかと。

「指揮系統も考えねばな。アルフィー殿」

「そ、そうですね」


「さて……どうするかね?」

「マックスさんとロイクさんは遠距離で攻撃が可能です。その他はグリフォンに乗るしかないと」

「アルフィー、私は島の人の避難を」

「ッ……分かった。ユイさんと一緒に島の人の安全確保を頼む。俺とエルナ殿下とディアナ嬢で魔獣を一回引き付けるから。怪我人がいれば治療も」

「うん! 分かった!」


「魔獣に癒しの魔法を試すから援護をお願いします」

「じゃあさっさと行くよ!」


 話し合いの時は今にも寝そうな様子を見せていたエルナは、力強く掛け声を放った。部屋を出る時に陛下が、エルナとディアナを頼んだと真剣な表情で言って来た。アルフィーは絶対に守りますと返し、走り出す。


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