晴明、異世界に転生する!

るう

文字の大きさ
23 / 137
第二章 四神

2-4 ハンター2

しおりを挟む
 ほんの数分待たされただけで、セインは父親の部屋に案内された。
 書斎に挨拶にいったことはあるが、侯爵の私室にセインが入るのは初めてだった。小さい頃はひどい人見知りで、セインは父親の顔をみると、まるで怪獣のように泣き叫んで大変だったと、ばあやがことあるごとに話していた。

「父上、先日はご迷惑をおかけしました。いろいろお心遣い感謝しております」

 セインは、入室するとすぐに姿勢を正して会釈をした。

「いやに堅苦しい挨拶だな。まあ、いい。そこにかけなさい」

 侯爵はそう言って、自らもデスクからテーブルがあるソファーに移動して座った。セインも頷いて、向かいに腰かける。すぐにお茶のセットが運ばれてくると、二人のもとへ湯気の立つカップが置かれた。

「お休み中に申し訳ありません」
「構わぬよ、それに帝都へ行く前に少し話したいと思っておったしな」

 侯爵はカップを傾けながら、セインの肩に乗っている火の玉を見た。

「式……といったか。不思議な存在だな。お前にそのような才能があるとは」
「今回のことで多少の妖力は得ましたが、変化の儀さえ終えてない半人前なのは変わりません」
「ふむ、この年まで変化しないというのは、わしも聞いたことがない。あるいは、の医師ならなにやらわかるやもしれぬな。相談するなら、こちらから……」
「いえ! そこまでしていただかなくとも平気です。身体に異常があるわけではありませんので」

 きっぱり断るセインに、侯爵はまだ何か言いたそうにしていたので、慌ててここへ来た本来の目的を明かすことにした。

「あの、今日はお願いがあって来たのです」

 セインは熱いお茶を一口飲んで、意を決したように顔を上げた。

「未開鉱山の探索がしたいので、ハンターになる許可を頂きたく参りました」
「……ハンターだと?」

 実のところ、ロルシー家にはハンターギルドに登録している者は意外と多い。なにしろ、上位のハンターは支援の届かない奥地まで、より深く探索を進めなければならない。その間、あらゆる物資が足りなくなるが、なにより穢れにより動けなくなる危険性が高くなる。
 例えば帰還魔法を使う魔法使いが、呪文封じの「穢れ」を受けでもしたら一大事だ。あらゆる魔法には、それを封じるアンチ魔法が存在する。だが、そのデバフを、穢れとして濯ぐことができるのが、穢れ払いの特質だった。
 毒であれ、呪いであれ、ほとんどの状態異常が、穢れ払いによって緩和、もしくは無効化される。
 これこそが、帝国にとってロルシー家が無視できない理由の一つだ。
 妖狐族は、人妖なのでもちろん人間社会では亜人扱いである。
 獣人や魔人と違うのは、人間からみて亜人は下等なもの、忌避するものだが、人妖に限っては近寄りがたき存在であった。
 例えば、竜人、すなわち竜は、古来より触れてはならぬ天災であり、場所によっては崇める対象にもなった。人魚は、恐ろしい海難事故を起こす天災であり、遭遇すること自体が不運とされた。
 彼らの起こす奇跡のほとんどは、人間が防ぎようのない自然現象である天災として扱われてきた。
 そんな中で、妖狐ももちろん人間にとって、天災であった。
 大昔には、複数尾の妖狐が、あらゆる気候を自在に操り、穢れを振りまき、病気と大災害を起こしたという伝記がいくつもあった。
 彼ら人妖は、いずれも独自の文化を築き、人間の力の及ばぬ秘境、または術により作られた隠れ里にて存在しているとされた。
 だが、普段は人間と変わらぬ姿ゆえ、気づかれぬうちに人間社会に潜り込んでいる者もいるのでは、などと都市伝説としてささやかれてもいた。
 実際にそれは本当の話なのだが、それはまた後程の話である。

「いや、うむ。ハンターになること自体は構わぬが……」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

天才王子、引き篭もる……いや、引き篭もれない

戯言の遊び
ファンタジー
平穏に暮らしたいだけなのに、なぜ問題が山積みなんだ……!?」 辺境に飛ばされた“元サラリーマン王子”、引き篭もるつもりが領地再生の英雄に――! 現代日本で社畜生活を送っていた青年・レオンは、ある日突然、 中世ヨーロッパ風の王国「リステリア」の第五王子として転生する。 怠惰で引き篭もり体質なレオンは、父王により“国の厄介払い”として 荒れ果てた辺境〈グレイア領〉の領主を任される。 だが、現代知識と合理的な発想で領内を改革していくうちに、 貧困の村は活気を取り戻し――気づけば人々からこう呼ばれていた。 『良領主様』――いや、『天才王子』と。 領民想いのメイド・ミリア、少女リィナ、そして個性派冒険者たちと共に、 引き篭もり王子のスローライフ(予定)は、今日もなぜか忙しい! 「平穏に暮らしたいだけなのに、なぜ問題が山積みなんだ……!?」 社畜転生王子、引き篭もりたいのに領地がどんどん発展していく! ――働きたくないけど、働かざるを得ない異世界領主譚! こちらは、以前使っていたプロットを再構成して投稿しています 是非、通学や通勤のお供に、夜眠る前のお供に、ゆるりとお楽しみ下さい

学生時代、私をいじめていた女と一緒に異世界召喚されたけど、無能扱いされた私が実は本物の聖女で、いじめていた女は災厄を呼ぶ魔女でした。

さら
恋愛
いじめていた女と一緒に異世界召喚された私。 聖女として選ばれたのは彼女で、私は無能扱いされ追放された。 だが、辺境の村で暮らす中で気づく。 私の力は奇跡を起こすものではなく、 壊れた世界を“元に戻す”本物の聖女の力だった。 一方、聖女として祭り上げられた彼女は、 人々の期待に応え続けるうち、 世界を歪め、災厄を呼ぶ魔女へと変わっていく――。

超能力者なので、特別なスキルはいりません!

ごぢう だい
ファンタジー
 十歳の頃に落雷の直撃を受けた不遇の薫子は、超能力に目覚める。その後十六歳の時に二度目の落雷により、女神テテュースの導きにより、異世界へ転移してしまう。ソード&マジックの世界で、薫子が使えるのは超能力だけ。  剣も魔法も全く使えない薫子の冒険譚が始まる……。

この子、貴方の子供です。私とは寝てない? いいえ、貴方と妹の子です。

サイコちゃん
恋愛
貧乏暮らしをしていたエルティアナは赤ん坊を連れて、オーガスト伯爵の屋敷を訪ねた。その赤ん坊をオーガストの子供だと言い張るが、彼は身に覚えがない。するとエルティアナはこの赤ん坊は妹メルティアナとオーガストの子供だと告げる。当時、妹は第一王子の婚約者であり、現在はこの国の王妃である。ようやく事態を理解したオーガストは動揺し、彼女を追い返そうとするが――

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

筑豊国伝奇~転生した和風世界で国造り~

九尾の猫
ファンタジー
亡くなった祖父の後を継いで、半農半猟の生活を送る主人公。 ある日の事故がきっかけで、違う世界に転生する。 そこは中世日本の面影が色濃い和風世界。 しかも精霊の力に満たされた異世界。 さて…主人公の人生はどうなることやら。

俺のスキルが回復魔『法』じゃなくて、回復魔『王』なんですけど?

八神 凪
ファンタジー
ある日、バイト帰りに熱血アニソンを熱唱しながら赤信号を渡り、案の定あっけなくダンプに轢かれて死んだ 『壽命 懸(じゅみょう かける)』 しかし例によって、彼の求める異世界への扉を開くことになる。 だが、女神アウロラの陰謀(という名の嫌がらせ)により、異端な「回復魔王」となって……。 異世界ペンデュース。そこで彼を待ち受ける運命とは?

処理中です...