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第三章 鉱山都市マリザン
3-10 初依頼
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ギルドマスターの紹介で、商業鉱山の穢れ払いの仕事を貰った。
商業鉱山は、すでに数年をかけてハンターが捜索し、魔物を掃討し、地図を作って、安全を確保したものである。けれど、新たに掘り進めていくうちに、瘴気や魔物に出くわしたり、事故などで穢れが発生したりもする。
仮にそういうことがないにしろ、安全祈願的なお守りとして、札を貼ったり、時には穢れ払いをするのだ。
いわゆる、危険のない、割と安全なクエストといえた。
「何かあったら穢れ払いも出来る方、とお願いしたのですが……」
言葉尻に、こんな子供で大丈夫ですか? という、遠慮がちな言葉が続く。
「ええ、大丈夫ですよ。先日も、大きな穢れを祓ったとも聞きますし、腕は確かです」
今回の依頼人に、マリーが胸を張って答えている。
――いやまあ、間違いではないけど。あんな規模の穢れ払いは勘弁してもらわないと。多少の穢れ程度なら、札でいけるし、なんならそれくらいのものなら、憑依することなくゆらが祓ってしまうだろうけれど。
セインは、大ぶろしきを広げるマリーに笑顔をひきつらせながらも、基本的には楽な、そして割と収入のいい仕事を回してもらったのだから文句はなかった。
商業鉱山の穢れ払いは、ロルシー家縁者の修業の場としても、小銭稼ぎの場としても大人気の案件だ。だいたいは札さえあれば、片が付く仕事だからである。
依頼人の話によれば、いつもはロルシー家縁者の方に依頼しているが、今回は場所が広いので、足りない分をギルドへ依頼書を出したとのことだった。
その話を聞いて、セインは少し引っかかった。また、マリーも怪訝な顔をしている。
「ギルドを通さずに、ロルシー家の方が依頼を受けているんですか?」
「え? ああ、ギルドに依頼するより割安で受けてくれるんで、ここ最近ひいきにしていましたが……なにか不都合でも」
二人の反応に、依頼人はいささか戸惑った様子だった。
基本的に、ロルシー家が穢れ払いを派遣する時は、ギルドを通したり、その土地の主の依頼だったりするのが普通だ。そうでなければ、ロルシーの名を使い放題になってしまう。
管理できない者が横行すれば、質が下がり、信用が落ちるのだ。
「札さえあれば、ある程度の穢れ祓いは一般人にもできないことはないけど、ロルシー家を名乗る以上、ギルドを通さないということは……」
「ええ、ないです」
セインの呟きに、マリーが頷いた。
ロルシー家製作の質のいい札は、ギルドや療養所、病院、教会などで手に入る。これは、帝国の補助により、割と安く設定されている。ただ、仕事で使うような大量購入ともなると、ハンター証に加え依頼証明、その他関係者であることの証明ができなければならない。
なので、似非祓い人や、無許可の商人、奴隷商人などの間に、パチモンの質の悪い札が出回ったりするのだ。
使われている紙、インク、文字、見る者が見ればそれは簡単にわかる。
「えと、依頼人……ブノワ商会さんですね。ギルド以外で穢れ払いを依頼するのは構いませんが、ロルシーを名乗れるのは基本的にギルドからの依頼だけです。もちろん、その方に事情があるのかもしれませんが……」
気を付けてくださいね、とマリーは釘を刺した。
札の取り扱いは帝国法が絡んでいるので厳格だが、ロルシー家の決まりは法律ではない。きちんと報酬に見合った仕事をしている限り、ギルドが取り締まることはできないのだ。そのことについて依頼人が損害を訴えない限り。
もちろん、ロルシー家としては見過ごすことができないので、セインは兄に報告だけはしておこうと思った。
商業鉱山は、すでに数年をかけてハンターが捜索し、魔物を掃討し、地図を作って、安全を確保したものである。けれど、新たに掘り進めていくうちに、瘴気や魔物に出くわしたり、事故などで穢れが発生したりもする。
仮にそういうことがないにしろ、安全祈願的なお守りとして、札を貼ったり、時には穢れ払いをするのだ。
いわゆる、危険のない、割と安全なクエストといえた。
「何かあったら穢れ払いも出来る方、とお願いしたのですが……」
言葉尻に、こんな子供で大丈夫ですか? という、遠慮がちな言葉が続く。
「ええ、大丈夫ですよ。先日も、大きな穢れを祓ったとも聞きますし、腕は確かです」
今回の依頼人に、マリーが胸を張って答えている。
――いやまあ、間違いではないけど。あんな規模の穢れ払いは勘弁してもらわないと。多少の穢れ程度なら、札でいけるし、なんならそれくらいのものなら、憑依することなくゆらが祓ってしまうだろうけれど。
セインは、大ぶろしきを広げるマリーに笑顔をひきつらせながらも、基本的には楽な、そして割と収入のいい仕事を回してもらったのだから文句はなかった。
商業鉱山の穢れ払いは、ロルシー家縁者の修業の場としても、小銭稼ぎの場としても大人気の案件だ。だいたいは札さえあれば、片が付く仕事だからである。
依頼人の話によれば、いつもはロルシー家縁者の方に依頼しているが、今回は場所が広いので、足りない分をギルドへ依頼書を出したとのことだった。
その話を聞いて、セインは少し引っかかった。また、マリーも怪訝な顔をしている。
「ギルドを通さずに、ロルシー家の方が依頼を受けているんですか?」
「え? ああ、ギルドに依頼するより割安で受けてくれるんで、ここ最近ひいきにしていましたが……なにか不都合でも」
二人の反応に、依頼人はいささか戸惑った様子だった。
基本的に、ロルシー家が穢れ払いを派遣する時は、ギルドを通したり、その土地の主の依頼だったりするのが普通だ。そうでなければ、ロルシーの名を使い放題になってしまう。
管理できない者が横行すれば、質が下がり、信用が落ちるのだ。
「札さえあれば、ある程度の穢れ祓いは一般人にもできないことはないけど、ロルシー家を名乗る以上、ギルドを通さないということは……」
「ええ、ないです」
セインの呟きに、マリーが頷いた。
ロルシー家製作の質のいい札は、ギルドや療養所、病院、教会などで手に入る。これは、帝国の補助により、割と安く設定されている。ただ、仕事で使うような大量購入ともなると、ハンター証に加え依頼証明、その他関係者であることの証明ができなければならない。
なので、似非祓い人や、無許可の商人、奴隷商人などの間に、パチモンの質の悪い札が出回ったりするのだ。
使われている紙、インク、文字、見る者が見ればそれは簡単にわかる。
「えと、依頼人……ブノワ商会さんですね。ギルド以外で穢れ払いを依頼するのは構いませんが、ロルシーを名乗れるのは基本的にギルドからの依頼だけです。もちろん、その方に事情があるのかもしれませんが……」
気を付けてくださいね、とマリーは釘を刺した。
札の取り扱いは帝国法が絡んでいるので厳格だが、ロルシー家の決まりは法律ではない。きちんと報酬に見合った仕事をしている限り、ギルドが取り締まることはできないのだ。そのことについて依頼人が損害を訴えない限り。
もちろん、ロルシー家としては見過ごすことができないので、セインは兄に報告だけはしておこうと思った。
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