80 / 137
第四章 ハンター
4-23 ヌシ
しおりを挟む
「せっかくだから、行く道のマップも作成しておくか」
「あっ、それなら私やります。このまま役に立たないのも申し訳ないし」
ゼフの言葉に、ゲイルが手をあげた。
「そうか、それなら頼めるか? 後方確認はセインとサキの二人で、気が付いたことがあれば言ってくれ。先行は引き続き俺がする。基本的にはブルシュパーティの後を追うが、魔獣の出現状態によっては引き返す。いいな」
先ほどの二股以降は、大した分かれ道はなく、たまに小部屋らしきものがあり、有用な発掘場所となりそうな場所をチェックしながら進んだ。
「この辺りは金鉱石ですね。上の階層より、採掘量は多そうです」
「はい、なるほど……書き終わりました」
「採掘調査もなしで、よくわかるな。たいしたもんだ」
ツクの助言をもとに、セインは採掘ポイントをいくつか指さし、マップを書くゲイルに教えた。それを見ていたゼフが、感心したように頷いている。
――あ……そうか。普通は採掘して調査するものなんだな。ちょっとやりすぎたか。
セインはマップ作りに夢中になり、ついつい調子に乗りすぎたらしい。調査チームしか採掘出来ないので、ツクの鑑定をフル活用してしまったのだ。
ちなみに、小部屋では魔物の遭遇が何度かあったが、ゼフパーティのお陰で、事なきを得ていた。どうやらブルシュたちは、小部屋の先に道がない場合、調査はせずに他のルートを進んでいったようだ。
マップ調査には、その辺もしっかり潰して行く必要があるが、おそらく彼らの狙いはヌシへの到達ルート一択のようだ。
開拓チームを補佐する討伐パーティはいくつかあり、魔物の討伐数はもちろん、ヌシを倒すことは、追加報酬、ギルドポイントを著しく上昇させ、ランク昇格に貢献することになる。
それだけではなく、ヌシを倒した者、またはパーティには、それにふさわしい二つ名が付くことがあるのだ。
よって、討伐パーティにとって、手垢のついていないヌシへの到達ルートマップは、垂涎の的なのだ。
「この先、うっすら明るいな。慎重にすすめ、音を立てるなよ」
口先に人差し指を立てて、ゼフが小声で注意を促す。どうやらゴールは近いらしい。
新たなルートはそれほど深くはなく、下へ行くルートもなかった。あの広場の先に、おそらくヌシのテリトリーたるスペースへの通路がある感じなのだろう。
そうして到着したそこは、まさに驚くべき光景だった。
「……緑色だ」
捻りのない、見たままの感想をゲイルは口走った。
岩の一部、もしくは半分以上が不透明だったり、透明だったりはするが、とにかく緑色だった。
「淡く、光っている。水晶じゃないな、なんだろう……」
『ふむ、玉……翡翠じゃな。そこかしこに転がっておるものは、たいして価値はなさそうじゃが、ものによってはかなりの代物もあるようじゃ』
呆然と呟くセインに、ツクが補足した。
「あれを見ろ……」
そしてゼフの指さす先に、言われるまでもなく全員の意識が向けられた。
大きな翡翠の混じった岩石のような化け物が、身体を丸めて眠っていた。これまで遭遇してきた種類の魔物も、その周辺でくつろいでいる。
そして、その手前には……。
「あっ、あの大剣……、それに赤いリュック」
「……そうか、見覚えがあるか」
そこには折れた大剣、曲がった斧、粉々になったスタッフ、ズタボロの荷物の切れ端などが転がっていた。
「荷物、だけ?」
そうセインが呟くと、ゲイルは「ひっ」と、まるでしゃっくりのような情けない声を上げた。
「あっ、それなら私やります。このまま役に立たないのも申し訳ないし」
ゼフの言葉に、ゲイルが手をあげた。
「そうか、それなら頼めるか? 後方確認はセインとサキの二人で、気が付いたことがあれば言ってくれ。先行は引き続き俺がする。基本的にはブルシュパーティの後を追うが、魔獣の出現状態によっては引き返す。いいな」
先ほどの二股以降は、大した分かれ道はなく、たまに小部屋らしきものがあり、有用な発掘場所となりそうな場所をチェックしながら進んだ。
「この辺りは金鉱石ですね。上の階層より、採掘量は多そうです」
「はい、なるほど……書き終わりました」
「採掘調査もなしで、よくわかるな。たいしたもんだ」
ツクの助言をもとに、セインは採掘ポイントをいくつか指さし、マップを書くゲイルに教えた。それを見ていたゼフが、感心したように頷いている。
――あ……そうか。普通は採掘して調査するものなんだな。ちょっとやりすぎたか。
セインはマップ作りに夢中になり、ついつい調子に乗りすぎたらしい。調査チームしか採掘出来ないので、ツクの鑑定をフル活用してしまったのだ。
ちなみに、小部屋では魔物の遭遇が何度かあったが、ゼフパーティのお陰で、事なきを得ていた。どうやらブルシュたちは、小部屋の先に道がない場合、調査はせずに他のルートを進んでいったようだ。
マップ調査には、その辺もしっかり潰して行く必要があるが、おそらく彼らの狙いはヌシへの到達ルート一択のようだ。
開拓チームを補佐する討伐パーティはいくつかあり、魔物の討伐数はもちろん、ヌシを倒すことは、追加報酬、ギルドポイントを著しく上昇させ、ランク昇格に貢献することになる。
それだけではなく、ヌシを倒した者、またはパーティには、それにふさわしい二つ名が付くことがあるのだ。
よって、討伐パーティにとって、手垢のついていないヌシへの到達ルートマップは、垂涎の的なのだ。
「この先、うっすら明るいな。慎重にすすめ、音を立てるなよ」
口先に人差し指を立てて、ゼフが小声で注意を促す。どうやらゴールは近いらしい。
新たなルートはそれほど深くはなく、下へ行くルートもなかった。あの広場の先に、おそらくヌシのテリトリーたるスペースへの通路がある感じなのだろう。
そうして到着したそこは、まさに驚くべき光景だった。
「……緑色だ」
捻りのない、見たままの感想をゲイルは口走った。
岩の一部、もしくは半分以上が不透明だったり、透明だったりはするが、とにかく緑色だった。
「淡く、光っている。水晶じゃないな、なんだろう……」
『ふむ、玉……翡翠じゃな。そこかしこに転がっておるものは、たいして価値はなさそうじゃが、ものによってはかなりの代物もあるようじゃ』
呆然と呟くセインに、ツクが補足した。
「あれを見ろ……」
そしてゼフの指さす先に、言われるまでもなく全員の意識が向けられた。
大きな翡翠の混じった岩石のような化け物が、身体を丸めて眠っていた。これまで遭遇してきた種類の魔物も、その周辺でくつろいでいる。
そして、その手前には……。
「あっ、あの大剣……、それに赤いリュック」
「……そうか、見覚えがあるか」
そこには折れた大剣、曲がった斧、粉々になったスタッフ、ズタボロの荷物の切れ端などが転がっていた。
「荷物、だけ?」
そうセインが呟くと、ゲイルは「ひっ」と、まるでしゃっくりのような情けない声を上げた。
0
あなたにおすすめの小説
天才王子、引き篭もる……いや、引き篭もれない
戯言の遊び
ファンタジー
平穏に暮らしたいだけなのに、なぜ問題が山積みなんだ……!?」
辺境に飛ばされた“元サラリーマン王子”、引き篭もるつもりが領地再生の英雄に――!
現代日本で社畜生活を送っていた青年・レオンは、ある日突然、
中世ヨーロッパ風の王国「リステリア」の第五王子として転生する。
怠惰で引き篭もり体質なレオンは、父王により“国の厄介払い”として
荒れ果てた辺境〈グレイア領〉の領主を任される。
だが、現代知識と合理的な発想で領内を改革していくうちに、
貧困の村は活気を取り戻し――気づけば人々からこう呼ばれていた。
『良領主様』――いや、『天才王子』と。
領民想いのメイド・ミリア、少女リィナ、そして個性派冒険者たちと共に、
引き篭もり王子のスローライフ(予定)は、今日もなぜか忙しい!
「平穏に暮らしたいだけなのに、なぜ問題が山積みなんだ……!?」
社畜転生王子、引き篭もりたいのに領地がどんどん発展していく!
――働きたくないけど、働かざるを得ない異世界領主譚!
こちらは、以前使っていたプロットを再構成して投稿しています
是非、通学や通勤のお供に、夜眠る前のお供に、ゆるりとお楽しみ下さい
学生時代、私をいじめていた女と一緒に異世界召喚されたけど、無能扱いされた私が実は本物の聖女で、いじめていた女は災厄を呼ぶ魔女でした。
さら
恋愛
いじめていた女と一緒に異世界召喚された私。
聖女として選ばれたのは彼女で、私は無能扱いされ追放された。
だが、辺境の村で暮らす中で気づく。
私の力は奇跡を起こすものではなく、
壊れた世界を“元に戻す”本物の聖女の力だった。
一方、聖女として祭り上げられた彼女は、
人々の期待に応え続けるうち、
世界を歪め、災厄を呼ぶ魔女へと変わっていく――。
超能力者なので、特別なスキルはいりません!
ごぢう だい
ファンタジー
十歳の頃に落雷の直撃を受けた不遇の薫子は、超能力に目覚める。その後十六歳の時に二度目の落雷により、女神テテュースの導きにより、異世界へ転移してしまう。ソード&マジックの世界で、薫子が使えるのは超能力だけ。
剣も魔法も全く使えない薫子の冒険譚が始まる……。
この子、貴方の子供です。私とは寝てない? いいえ、貴方と妹の子です。
サイコちゃん
恋愛
貧乏暮らしをしていたエルティアナは赤ん坊を連れて、オーガスト伯爵の屋敷を訪ねた。その赤ん坊をオーガストの子供だと言い張るが、彼は身に覚えがない。するとエルティアナはこの赤ん坊は妹メルティアナとオーガストの子供だと告げる。当時、妹は第一王子の婚約者であり、現在はこの国の王妃である。ようやく事態を理解したオーガストは動揺し、彼女を追い返そうとするが――
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
筑豊国伝奇~転生した和風世界で国造り~
九尾の猫
ファンタジー
亡くなった祖父の後を継いで、半農半猟の生活を送る主人公。
ある日の事故がきっかけで、違う世界に転生する。
そこは中世日本の面影が色濃い和風世界。
しかも精霊の力に満たされた異世界。
さて…主人公の人生はどうなることやら。
俺のスキルが回復魔『法』じゃなくて、回復魔『王』なんですけど?
八神 凪
ファンタジー
ある日、バイト帰りに熱血アニソンを熱唱しながら赤信号を渡り、案の定あっけなくダンプに轢かれて死んだ
『壽命 懸(じゅみょう かける)』
しかし例によって、彼の求める異世界への扉を開くことになる。
だが、女神アウロラの陰謀(という名の嫌がらせ)により、異端な「回復魔王」となって……。
異世界ペンデュース。そこで彼を待ち受ける運命とは?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる